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八百万の神々と千年王国の竜  作者: 涼城 鈴那
鉱山都市と管狐の三姉妹

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神剣「ファルコ-ラスティコ」

「馬鹿な!邪神戦で当時の使い手と共に行方知れずとなった剣が何故!?」

国王の叫びに謁見の間に居たマサキ以外の全員が驚愕する。


余りにも予想外な代物の出現で謁見の間に重い沈黙が訪れた。

永らく行方不明となっていたツヴェルグ同盟国の宝剣が何故か宝箱の中に。

邪神戦を間近に控えた現在、再び戦乱の中へと躍り出る為に現れたか。


謁見の間の沈黙を破ったのはエヴァルトラウティ王女だった。


「邪神戦では帝国の剣聖クスタヴィに貸与されて彼と共に失われました。」


「・・・この神剣は再び、救国の英雄の元へ馳せ参じたに違いありませぬ!」

王女の叫びに近衛騎士団員の中にも頷く者が現れる。国の崩壊を目論む輩を打倒し、震災に見舞われた国民全てを救い出した英雄の手にこそ神剣は相応しい、と。

この男は誰一人開けられなかった『開かずの宝箱』まで開けてしまったのだ。


「マサキ様、さあ、この神剣を御手にお取りくださいませ。」

「エヴァよ、神剣を他国の者に渡すなど・・・。」

「父上は約を違えるお積りですか!?マサキ様は宝箱を開けられたのです!」

王女は言い縋ろうとする父王を黙らせた。


「救われた多くの民の命、国の平穏よりもこの剣を惜しまれますか?」

もともとこの宝箱を開ける寸前まではこの世に存在しなかった剣なのです。マサキ様が開けなければ未来永劫この中に死蔵されていたかも知れないのです、と王女。


「失礼ながらこの剣を陛下やウァーレンが持っていても何の役にも立ちますまい。」

王女は『ファルコ-ラスティコ』を手に取り、両手で頭上に掲げ叫ぶ。


「神剣は救国の英雄の元へ!異議のあるものは居るか!?」

近衛騎士団全員が『異議なし』の意を込め、その手を天に就き上げ鬨の声を上げる。


「神剣は英雄の元へ!」

「英雄の手にこそ神剣を!」

近衛騎士団の圧倒的支持で『ファルコ-ラスティコ』はマサキへと譲渡された。



マサキは王女から神剣を両手で受け取りつつ『俺、剣は使えないんだけどなぁ。』と内心困惑していた。その時、マサキはふと宝箱の中に何かがあるのに気付いた。

何だろう?これは?金属製の柄に革の紐のような物が繋がり、巻いて纏めたもの。


『・・・革の・・・鞭?』


────────────────────



その後、後日改めて王国主催での祝賀会を催したいと打診されたが、城下の復旧が済んでいない事を理由に断った。そんな金と暇があるなら復興の方が優先だろう。


王女はしきりと残念がっていたが俺の言う事が道理なので承知してくれた様だ。

しかし、復旧が済むまでの延期で中止ではないと念押しされた。


本来の俺達の用件は「炎の大結晶」の魔力をチャージする事で、それ自体は済んだのだが、震災の爪痕を残すこの街から離れるのも後ろ髪をひかれる思いがする。


そんな折、暁様からこの街から少し離れた所にパワースポットのような場所があり、雷撃を喰らって若干の後遺症が残るアキラの治療に出向いて来ると仰る。

アキラをメイの背に乗せて移動すれば、2日程で戻るからこの街で待っててくれとの事だった。


待つのは問題ないのだが、唯一の問題がもう一人いた邪神の使徒の行方だ。


山から岩を落としていた使徒は暁様が近づいて来ると見るや、全力で脱兎の如く逃走したらしい。やつらも暁様相手に1体1では勝ち目が無いと理解しているのだ。

そいつが暁様の留守を狙って襲ってくるかもしれないと心配したのだが、


『奴らは大した強さではない、一人では何も出来んだろう心配いらん。』


先日の戦闘でも、大地を揺らすだけでは直接の大きな被害は出ていないのである。

あくまで二人一組で一人が大地を揺らし、もう一人が巨石を落下させて飛行艇や市民を巻き添えに始末、あわよくば暁様を岩で押しつぶせれば、との考えだったようだ。


あの後、落下しそうな巨石は片付けられているし、先日程の脅威は無くなっている。

そう考えると大丈夫なのだろう、俺は暁様とアキラを背に乗せたメイを見送った。


────────────────────


暁様達を見送った俺は、アレックス、フリッツにスーとミアの元へ戻った。


「アレックス、これお前が使ってくれ。」

と、俺は『ファルコ-ラスティコ』をアレックスに差し出した。


「はぁ?これお前が貰った物だろ?お前が使わないのか?」

「おい、俺にこれが使えると本気で思ってるのか?」

いや、今は使えなくても練習すれば使えるようになるだろう?とアレックスは言うが、俺がアレックス以上にこの剣を使えるようになるとは到底思えない。


「スーはこの剣、使えるか?」

「私は刀以外は使った事がない。その剣はアレックスの剣と同型よね?」

「確かに俺が使ってるグラディウスと同型だけど・・・。」

「俺は一生かかってもアレックス以上には使いこなせない。」


慣れた剣と同じ型の神剣をアレックスが使うのと、剣を扱えない俺が神剣を扱うのでは、例えるなら100m走でアレックスは90m先からスタートするような物だ。

勝てる道理の無い無理ゲー過ぎて戦意の沸きようもない。しかし。


「俺にはもう一つ貰ったコレがあるからな。」

そう言って俺は腰に装着していた『鞭』?を指し示した。


「この中で鞭を使った事のある者は?」

皆に聞いたが、全員が使った事が無いという、俺も当然ない。ならば、スタートラインは全員一緒だ。もしかしたら俺にも鞭の才能があるかも知れないし、ムチはそれ程殺傷能力が高くないのが俺に向いてるかもしれない。



そんなわけで『ファルコ-ラスティコ』はアレックスに貸与と言う形で押し付け、俺は名もない『鞭』を扱う事になった。


────────────────────


俺達は武器屋に行き、試し切り用の場所を借り、専用の藁束を購入した。

アレックスが『ファルコ-ラスティコ』を抜きその感触を確かめた。


「・・・これかなり軽いな、振り易いが切れ味がどうなんだろう?」

アレックスは神剣を振る、先ずは素振りで左右に切り返して袈裟切り。


「軽い・・・切り返す時なんかは重さが無いように感じる位軽い。」

軽すぎて弾かれるかも知れないなと、アレックスは藁束を準備し剣を構えた。

真っ直ぐ立った1m程の藁束を左右の振りで上部から10cmずつ位を斬り飛ばす。


「!?・・・当たる瞬間に重さが増えた?重さが変わるのか!?」

アレックスは驚愕した、この剣は振り方で重さが変化する性質がある様だ。

普通に振るときは重さを感じない程度に軽い為、速度は上がり切り返しも容易になるが、目標に当たる間際に普段より重さが増し、切れ味が増す特性があるという。


その特性のお陰で普段より疲れも溜まらず、長時間の行動が可能になる、その上。


「振る時に少し手首を捻れば、風に乗って刃が飛ぶと言うか・・・。」

言ってる意味が解らなかったの聞き返すと、水平に振っても少し刃を起こして角度を付けると風に乗る翼のようにベクトルが変わるらしい、それを飛ぶと表現した様だ。


「凄い剣だ。使い熟せばとんでもない力を発揮できそうだ。」

アレックスは神剣を鞘に納めると俺に『本当に良いのか?』と聞いて来た。

「だから俺は使えないって。」

何度目のやり取りだこれ?貸与だ貸与。預けてるんだから大切にしろよ?


「そうか・・・剣聖クスタヴィの使った神剣を・・・俺が・・・。」

アレックスは感慨深そうにそう言って自らの腰に神剣を佩いた。


「マサキ、其のムチ振ってみたら?」

そうスーから勧められた、折角試し振り出来る場所に居るんだ、やってみるか。

腰から鞭を外して解く、改めて見ると長さは5m程もあるのか。


精密な装飾が施された金属製のグリップを右手で握る。何か違和感を感じる。

えらく握り辛いがこんな物なのかな?と思いつつ藁束を狙って鞭を振ってみる。

鞭は手元で大きくうねり、そのうねりは根元に近い所では大きく動いたが、先端にいくに従ってうねりは弱くなり先端は地面から離れなかった、長すぎないか?これ!?


もう一度振ってみるが、動きはそう変わらない。鞭を使う博士が主人公の映画を見た事あるけど、あれはこんなに長く無かったよな!?やっぱり長すぎだろ、これ!?


後を見るとスーが下を向いて肩を震わせている。スーが笑ってる姿を見るのは良いが、笑われてるのが俺だと凄い複雑な気がする。


「まぁ、ムチとか使った事ない人間が大半なんだから焦らなくて良いんじゃない?」

フリッツから笑顔でそう言われた「誰でも最初は初心者だから」と納得したがフリッツも笑ってるよな絶対。


ビーストテイマーには鞭使いも居ると聞いたので、帰ったらマルクス兄弟に聞いて見るか。それまでは独学で練習あるのみだな。




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