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八百万の神々と千年王国の竜  作者: 涼城 鈴那
鉱山都市と管狐の三姉妹

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ツヴェルグ同盟国へ

俺達は4人と1柱はドワーフ達の国「ツヴェルグ同盟国」へ向かう事となった。


「ツヴェルグ同盟国」は位置的には「アイントラハト共和国」と地続きでその南に位置しているそうだ。王国から同盟国へ向かうには海路を行かなければならない為、前回同様に王国領のハンデルの港から船に乗る事になる。

俺達は馬車でハンデルの港に向かった。


馬車の中でフリッツから同盟国について簡単に説明を受けた。


共和国と同盟国の中間にある深い森が事実上の国境となり、同盟国の国土の中央付近に聳え立つ「フェルデルング山」の麓から中腹にかけて鉱山都市が形成され、「鉱山都市ツェントラーレ」が事実上の首都とされ、全国民の半ばはそこで生活している。


鉱山では様々な鉱物が採掘されており、麓の街で精錬され鍛冶や彫金などの技術に優れたドワーフ達によって加工され、国家を支える一大産業となっている。


目的の炎の大結晶はその鉱山都市の山の内部深くに存在しており、坑道を進んで向かう必要があるのだが、現在其の坑道が落盤事故で埋まってしまっているという事だ。


本来ならば坑道の一つを掘り返すなどドワーフ達にとって造作も無いはずなのだが、それが遅々として進んでいない原因が何なのかを先ずは探らなくてはならない。



説明を受けているうちに港へと辿り着いた。

漁船、客船共に多くの船が係留されており相変わらず賑わいのある港だ。

前回同様フリッツが乗船手続きに向かってくれた、今回も時間が惜しいため帆船ではなく自走船に乗る事となる。


しかし、考えてみれば俺は帆船には乗った事が無い。一度位は乗ってみたいが中々そんな時間は取れないだろう。邪神の問題が片付けば時間が取れるかな?と考えたが、仮に無事斃せたとしても俺は元の世界に戻る事になる為、乗れないのだろうな。

・・・・戻れるんだよな?


出航の時間となり再び自走船に乗り込んだ。

暁様はさっさとマストの上に行ってしまった、アキラも暁様のお供ですぐ傍に控えている。乗員から何度か危ないから降りるよう言われていたが、聞く耳を持たないので結局放置されてしまった。


暁様の周りには時折、海鳥たちが集まってくる。鳥たちは神様に挨拶に来ているのだろうし、暁様も彼らに指示を出している場合もある。王国では魔獣が暴れていると知らせてくれたのも一羽の燕だった。通信手段の無いこの世界では非常に貴重な情報網だ。


『マサキよ、桜達が外に出たがっておる様じゃ。』

暁様にそう言われ、管狐達は竹筒から自由に出入りできないのか、と気付いた。

俺に直接言えば良いのにと思いつつ、『自由に出入りしていいぞ。』と念じてみる。


管狐達は竹筒から飛び出すと思い思いに船内中を走り回りだした。

アレックスやフリッツ、他の船員達の目の前をちょろちょろしているが彼らには全く見えない様だ。それどころか触れても気付かれていないらしく、好奇心旺盛にあらゆる場所を走り回る、見ていると閉まったドアの隙間も難なくすり抜けており、実体という物がないようだ。


しばらくその動きを目で追っていたが、桃の姿が無い事に気付いた。


『あれ?桃は何所だ?』


そう思った瞬間、視界が切り替わり何故か俺の後姿らしきものが視界に映った。


『!?』


思わず後ろを振り向くと同時に、視界の中の俺が振り返りお互いの視線が合った。

あっ、と思った時には視点は俺自身のものとなり、甲板の手摺の上で此方を見る桃と目が合った。どうやら桃の見ているものが俺にも見えていた様だ。


試しに『桜。』と呼びかけてみると、視界に大写しの暁様が広がった。

今度は『椿。』と呼ぶと、船内の風景が視界に広がる。


なるほど、彼女らの見たものが俺に見えるという事か。

ちなみに音声はどうなんだろうと思い『桜。』と呼ぶと、海鳥の鳴き声がすぐ傍で聞こえて来た。『椿。』と呼ぶと船内での乗組員の会話のやり取りが聞こえてくる。


管狐はこういった使い方も出来るのか、情報を共有できる距離を探ろうとしたが、この船程度の距離ならどこでも問題なく届く様だ、Wi-Fi並みにはあるようだな。

この船上では限界の距離が測れないので、陸に上がってからまた確認しよう。

そもあとは彼女らの自由に行動させた。


夕刻近くになって同盟国の港町カロローゾへ到着した。

港町という事もあって、共和国のドゥーレの港と雰囲気は良く似ている。

しかし、どこか少し活気に乏しいように感じる。大半の住人たちはどこか生活に疲れたような表情をしているように思える、そうでない者はおそらく俺達のような他国の人間なのではないだろうか?


今夜はこの街で宿をとる事になる、大通りに面した割合立派な宿屋のエントランスに向かいカウンターで手続きをする。

前もってフリッツからは『極秘任務だから偽名を使え』と言われていたので宿帳に『マサキ』ではなく『キュータロー』と書いておいた。

なにか事件でも起きない限り調べられることも無いだろうし、問題あるまい。


それぞれ荷物を部屋に置いた後、一階の酒場で夕食を摂った。

暁様は相変わらず酒を飲んでいるが管狐達は普通に人の食べる物を食べられる様だ。

テーブルの上に並んだ料理の間をちょろちょろしながら好きな物をつついている。


アキラが肉料理を喰っている、以前は手掴みだったが見た目が悪いのでナイフとフォークを使わせている。しかしナイフを肉に突き刺してそのまま齧り付いている。

「・・・・・アキラ・・・まぁ良いか。」

以前よりはマシだ、何も言うまい。どうせ俺の言う事を聞くはずがない。


その後、食事が済むと各々自由行動に移った、毎度同じような行動だ。

フリッツは情報収集、アレックスは武器、防具の確認、暁様とアキラが街の外へと向かう。俺は街の道具屋、雑貨屋巡りに向かった。


流石にドワーフの国だけあって、彫金士による精巧なアクセサリーなんかが売っている。かなり細かい作りなので結構な額なのかと思えば、驚くほど安い。

元々手先の器用なドワーフの中でも、更に細かい作業に特化した優れた彫金士にとっては空いた時間で片手間で出来るそうで、他国ではありえない価格となっている。


店主が言うには「ツェントラーレ」に行けば彫金士ギルドがあり、そこでオーダーメイドも引き受けてくれるそうだ。

『アクセサリーか、『ヴィルトカッツェ』の皆のお土産とか良いかもな。』

どうせ鉱山都市に行くんだ、ついでに彫金士ギルドに寄ってみよう。

そう決めた俺は店主に情報料代わりに銀貨を1枚チップとして渡し、店を後にした。


大通りを歩くがやはりいイマイチ活気に乏しいようだ、酒場も何件か営業しているが客の入りはどこも半分に満たないようだ。共和国のドゥーレの港街と随分違うな、と思いながら歩いていると、路地から声を掛けられた。


「お兄さん、アクセサリー探してるの?面白い物あるよ?」

ドゥーレではナディアに声を掛けられたが、今回の声は男の子だ。


「面白い物?うーん、間に合ってるかな?」

そう断ると、後ろから男二人が現れて退路を断たれた。


「まぁ、そう言わずにちょっとこっちに行こうか、兄さん。」

と、半ば強引に路地の奥へと誘導されて行く。

『俺って声掛け易いのかな?』と思いつつ歩くと、合計5人の男に囲まれた。


生憎と暁様もアレックス達も近くには居ない状況だ。

さて、どうしたモノかな・・・。




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