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八百万の神々と千年王国の竜  作者: 涼城 鈴那
氷の女王とドラゴンの山

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エピローグ「ビーストロード」

王国、ノルマールの街の冒険者ギルドに一通の報告書が届いた。


その報告書は通常の郵便物とは違い、一目でそれとわかる警告色の革製のパックに入れられ中身が重要なものと誰にでも判断できる状態となっている。

更に今回の書類は届き次第に即開封し、可能な限り多数で閲覧、または読み上げ報告を要する早急な情報共有が必須の報告書として指定されていたのである。


最重要報告書が届いた時点で冒険者ギルドに居た者たち、職員含め約30名が集められその眼前で開封、報告書の読み上げが声の良く通る女性職員によって行われる。

滅多に発令されないその扱いに全員の表情に緊張が走る。


『アイントラハト共和国イグニス領付近 ベルゲ山脈山頂付近にて、邪神の使徒と思われる「翼竜人」1体を撃破!』

「撃破」の単語にその場にいた者たちの感嘆が溢れ歓声に変わった。


「虎獣人に次いで2体目撃破か!スゲェ!」

「これで邪神の復活が厳しくなったんじゃないのか!?」

「このままいけば世界は救われるぞ!」

「一体誰が討伐に成功したんだ!?」


『・・・討伐者は「ビーストマスター」・・・単独での討伐・・・です!』

「ビーストマスター」の名称にその場の者達が静まり返った。


「・・・あー、また奴の仕業か・・・。」

「・・・・そりゃあ、あんな使い魔連れてりゃぁ、な。」

「全く、どこであんな良いペット見つけたんだか。羨ましいぜ・・・。」

報告を聞いたものは皆、マサキの運の良さ、白い犬の強さに嫉妬を感じていた。


『いえ・・・それが・・・マサキ個人での単独撃破と報告されてます!』


女性職員の訂正に現場は一瞬静まり返り、その内容がようやく理解された時


「はぁぁぁぁぁぁあああ?」

「絶対!ちがうだろ!あいつにそんな力はねぇよ!!」

「白い犬なら納得だが、マサキじゃ無理無理無理!!!!」

「虎獣人だってS級含む多数の騎士団員で歯が立たなかったんだぞ!?」

口々に絶対に何かの間違いだ、無理筋だ、の大合唱が始まった。


『「神罰」(パニッシュ)の改良技、「堕天」(フォールダウン)にて撃破・・・』


「神罰の改良技だと!?あれ以上の技なんてあるものか!!」

テーブルを叩きつけ、ひと際大声で否定したのはギルドマスターのカールだった。


「俺は都合3回この目で神罰を見たがな、あれ以上の技なんて土台無理な話だ!!」


いいか?「神罰」ってのは「飛翔」で数百m上空まで翔け昇りそこから武器を加速させて対象物に命中させる技なんだ!マサキの奴にマネ出来るわけがない!とカールはつい数週間前に見たばかりの技がどんなに凄かったかと全員の前で力説する。


「そうだ!俺も見たがあれ以上の技なんてあるはずがない!」

「その報告者は『神罰』見た事が無いってだけなんじゃねーのか!?」

「そうだ!『神罰』知らない田舎モンだからそんな報告出来たんだ!」

「大体何だ?『堕天』だぁ?登録したての冒険者が付けそうな名前だぜ!」

『堕天』のネーミングセンスの無さを嗤う冒険者達、そこへ報告が続く。


『「堕天」の概要は目標を剣で貫き、その状態で上空4000m超まで上昇後、一気に急降下して対象物を大地に叩きつける大技・・・・だそうです・・・。』


女性職員も記入してある文字列を読んでいるだけで、内容が理解出来ていない。


「剣で貫いて・・・上昇・・・?」

「・・・は?・・・・4000m?・・・」

「いや・・・・いくら何でも・・・・」

「・・・・原理は解るが・・・無理だろ?・・・無理・・・だよね?」

「・・・あのマサキが・・・?」


『報告書の作成、技の命名、現場での確認は、アレックス、フリッツの連名です!』


「・・・・・・・・・・・・・」


アレックスとフリッツの二人の名前が出た時点で、疑いようのない事実だと確認出来たものの、誰もが現実を受け入れられず静寂に支配された冒険者ギルド内。

そう言や「神罰」もフリッツの命名だったか・・・「堕天」かぁ、いい名前だ。


その長い静寂を破る者が入り口のドアを開け、複数人でギルド内へ入って来た。


「マスター、ただいま戻りました!・・・で報告終了っと。」

いきなりのマサキ、アレックス、フリッツ、変な男と白い犬の出現にギルド内は驚愕に包まれた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!マサキだぁ!」

「何処から入ってきやがったー!?」

「なんなんだよ!コイツ一体何なんなんだよ!?ああ!?」

「堕天って何なんだよ!?いい加減にしろ!」


「おいおい、報告の義務があるから来たってのに何だその扱い?」


マサキの不満顔に、ヤバイ奴の機嫌を損なってしまったかと恐怖する一同、アレックスとフリッツの二人は状況が把握できたらしく、顔を見合わせて笑っている。


ギルドマスターのカールは目ざとくマサキの連れた白い犬の変化に気付いた。


『あの犬!「ちょっと変わった白い犬」に進化していやがる!!??』

しばらく見ていない間に額に赤い文様と、眼の淵に赤い色が発現している!?


以前よりも神秘性を増したその表情に心の内を見透かされそうに感じてしまう。

そしてその「ちょっと変わった白い犬」が、こちらを見て明らかに笑ったのを確認できてしまったカールは三度その毛髪を犠牲にするのであった。



────────────────────



後日、マサキに対し「野獣の主人」たる「ビーストマスター」の称号に替えて新しく「野獣の支配者」たる「ビーストロード」の称号が贈られた。




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