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八百万の神々と千年王国の竜  作者: 涼城 鈴那
氷の女王とドラゴンの山

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帆のない船とプラム熱

「風」の大結晶のある「アイントラハト共和国」は「ジギスムント王国」の東の海を渡った大陸にある為、船で向かう事になるそうだ。

両国を結ぶ航路は複数あり、港町ハンデルから出る船に乗れば目的地ドラゴンの山に一番近いドゥーレの港に着くため、馬車でハンデルへと向かった。


ハンデルの港は百隻超の漁船が係留されている漁港と大型の船が停泊する港に分かれた大きめの港町だった。馬車から降りて港湾施設のある主通路を進んでいると、大型の帆船に荷物を積み下ろしをする活気のある場所にたどり着く。


このどれかの船に乗るのだろうが、手続等は解らないので全てフリッツにお任せだ。ちなみにアレックスもこういった手続等はいつもフリッツが率先してやってしまう為、自分でやった事が無い事に気づいたそうだ。重宝する奴だ、フリッツは。


乗船時間になって案内された、これから乗る船を見て驚いた。

「・・・帆が無い?」

港に停泊する船を見渡すと帆船が大半だが、帆のない船もちらほら見かける。

「最近こういった帆のない船が増えてきてるんだよ。」

フリッツが言うには数年前から魔石を利用した動力機関が共和国の天才技師に開発されて、船に限らず陸上を走る荷車もあれば、ドワーフの国の「ツヴェルグ同盟」では空を飛ぶ船まで実用化しているそうだ。


なんでも魔石に魔力を注入するとある方向に魔力を噴出する性質を利用して回転運動を作り出し、それを歯車やクランク等で目的の運動に変換するという物らしい。

この動力のお蔭で通常の帆船に比べ速度は倍にもなっているそうだ。


「運賃は通常の3倍するんだけど、どうせ王国持ちだし時間の方が貴重だよ。」

そうだった、今回の依頼に関しては諸費用は全て王国が持ってくれる為、旅費や滞在費、必要な武器道具に至るまで手出しは一切必要ないのだ。

どこかのRPGの様に一人の勇者に魔王を倒すよう命令するだけでお金も武器も用意せず丸投げという方がおかしいのである。

ちなみにアカツキ様の分も運賃が必要だったらしい、まぁタダだし良いか。



俺達の乗った船は共和国目指して出港した、大体半日の船旅だそうだ。

この船は運賃3倍なだけあって個別に客室が用意されており、個室から複数人で利用する部屋まであり俺達は4人用の船室を使用しているのだが、皆で甲板に出て海を眺めている。窓が開かないし窮屈なのだ。


午後の気持ち良い海風に吹かれ船は海上を疾走する、この船は帆は無いのだが船橋の上に周囲の監視用のマストがありアカツキ様はマストの一番上に陣取っている。流石神様は高い所がお好きらしい。


乗船後一時間ほど経った頃、客室の方が騒然とし始めた、何事かと思えば船室で病人が出たらしい。それも人に伝染する病気である可能性があるという事で船員たちが処理に走り回っている。


「船内のお客様は甲板にでてください。プラム熱の消毒を始めます。」

マスクに手袋姿の船員が客室に声を掛けて回り、乗客を甲板へと誘導している、乗客も特に慌てた様子もなくむしろ談笑しながら船員の指示に従って甲板に上がる。

病人を個室に隔離して入り口から周囲の通路と部屋まで消毒が行われている、そのあまりの手際の良さに驚いていると


「このプラム熱に罹患するのはよくある事なんだよ。」

割と一般的に発生する感染症なので対策も用意されており、消毒と専用の薬を服用しさえすればそんなに騒ぐ程の事ではないらしい。


「動物の死骸とかから発生するから近寄っちゃ駄目だよ。」

フリッツにそう言われ、以前フリッツが言っていた事が思い起こされた。

「そういや、前にフリッツがファットラビットの死骸を回収してたのって・・・」

「うんそう、このプラム熱を防ぐためだったんだ。」

「紅玉」集めの時にフリッツが本当の目的と言っていた「死骸の回収」はこの感染症を防ぐ為だったのか。


「今から行く共和国はこのプラム熱の発生が多い国だから注意してね。」

アレックス共々フリッツから注意された。なんでもこの病気の治療薬の原料のとある植物が乱獲によって減少しており、非常に手に入り難く価格も高騰しているらしい。


「この植物が採取できる場所ってドラゴンの棲む山位しか無くなってるんだ。」

その説明にこの植物の貴重さを改めて思い知らされた。




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