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八百万の神々と千年王国の竜  作者: 涼城 鈴那
最終章「闘神の顕現と究極の依り代」

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狐竜


マサキの意識が途切れ、大地へと落下し叩きつけられる直前、白狐により回復魔法をかけられたその身体は、白狐の背で受け止められ、大地の上へと横たえられた。


邪神の攻撃でマサキ同様にダメージを受けたその身体は、普段よりも更に神々しく輝く。白狐は天を仰ぎ、大きく一声吠えると短く神呪を唱える。


『我、「狐竜」と成るを「応竜」に託さん。』


『・・・遂に我らが悲願、成った。』


マサキの薄れかけた脳内に白狐の声が響き、マサキはなんとか正気を取り戻した。

自分の傍らに眩しく輝く九本の尾を持つ白狐の形をした光があり、光は急激に膨れ上がり、その光から天空へと青白い光が勢いよく昇天したのが見えた。


『暁様!?』


その光が昇天したのと入れ違いに天空からアレックスがマサキの傍らに降りてくる。


「マサキ!大丈夫か!すまん!俺の為に!」


己を庇い邪神の魔法に打たれた白狐とマサキを案じ、アレックスが大地へ降り立つ。

アレックスの声に我に返ったマサキは、二人一緒に居るところを邪神に狙われたら不味いと気付き、


「アレックス!邪神はどうした!一緒に居ると危ないぞ!?」

まだ半分覚醒しきっていない頭でアレックスに訴えるが、アレックスは空を指す。


「邪神はアレにご執心のようだ。何なんだアレは!?」


アレックスが指し示した空を見ると、先程天空に昇天したと思しき青白い月の様な光が、天の紅い月と並んで輝いているように見えた。邪神は青白い月に対し異常に警戒し、敵対して攻撃を加えている最中だった。


その光球の大きさは先ほどまで王都の上空に妖しく輝いていた邪神の封印の大きさと同じか少し小さい位で、封印よりは高い位置で月の様に輝いている。


当初は魔法攻撃を加えていた邪神だったがまるで効果が無いと悟ったか、直接鉤爪で攻撃したり、殴打を繰り返してみたが、何の変化も無い事に困惑していた。いや、恐怖を抱いていると言った方が正しい程、他を無視して天の光球に攻撃する。


マサキの脳内に白狐の声が響いてくる。


『マサキよ、天に輝く「狐竜」はお前の霊力と「徳」とを喰らって蘇った事で、お主の事を創造主と仰いでおる。お主は創造主として「狐竜」に名を与え「応竜」をこの世に復活させるのだ。』


「狐竜」?「応竜」?なんだそれ?というか、また名前を付けるのか?


マサキは天に輝く青白い月の様な「狐竜」と天に相変わらず在る紅い月を視界に収めた時、自然とその単語が思い浮かんだ。『紅い月』に『蒼い月』・・・そうだ『蒼月そうげつ


「お前の名は『蒼月』だ!目覚めろ!『蒼月』!!」


マサキの叫びに青白い月は膨張して破裂し、白狐と出会った神殿に祭られていた「応竜」、『蒼月』がその場に顕現した。


『クォアァァァァァァァァァァァァァァァァ』


マサキの声に反応し、創造主より新たな名を与えられた『蒼月』は歓喜の咆哮を上げ、天空にその姿を現した。東洋の龍に近い長い身体に四肢と蝙蝠の翼を持つ、黄金色に輝くその身体は「応竜」の成長した姿「黄金竜」に近い。


眼前に顕現した「黄金竜」に本能的に反応し、改めて攻撃を加える邪神。

「狐竜」の時点では攻撃が全く通らなかったが、実体を伴う「黄金竜」にはダメージが通る。しかしそのダメージも邪神と同じく瞬く間に修復される。


攻撃を喰らった「黄金竜」も邪神に対し反撃に出て、その長大な尻尾を叩きつけ、受けた邪神の右腕を抉りながらその身体を弾き飛ばす。弾き飛ばされた邪神は大地をその身で削りながらようやくダメージから回復する。


「あのドラゴン、邪神と互角に戦っているぞ!いけるんじゃないか!?」


アレックスが天空で繰り広げられる邪神対黄金竜の戦いに感嘆の声を上げる。

確かに俺達と戦っていた時には余裕さえ見せていた邪神だったが、「蒼月」相手にその余裕はどこかへ消えてしまった様だ。


『マサキよ、「蒼月」に分け与えていたお主の霊力は既に必要ない。これでお主は自由に空を飛べよう、「蒼月」の傍らにあって存分にその力を振るうがよい。』


大地に横たわっていた白狐の姿をした白い光の塊が、少しずつその大きさを増していく。その胎内で「応竜」を育てていた白狐そのものにも大きな変化が現れようとしていた。


「マサキ!?お前の相棒が!?」


アレックスが白狐の変化に気付く、あれだけの強さを誇る使い魔が何かに変化をしようとしているのか?それとも目的を果たしたことで消滅してしまうのか?


『暁様!どうされたのですか!?』


驚くマサキが先ほどまで「暁」だったものに問いかける。



『マサキよ、お主が呉れた依り代が我の力に見合わなくなったようじゃ。『応竜』に分け与えていた我の霊力が戻ってきた。我はこれより本来の姿に戻る。』


マサキが依り代として「稲荷神社」からインスピレーションを得た「九つの尾を持つ白狐」の姿をとっていた神が、「応竜」の復活と言う目的を果たし、マサキとアレックスの目の前で本来の姿を取り戻そうとしていた。


その時、邪神が「蒼月」に向けて放った魔法が躱され城壁の上の魔導士一行への直撃コースに入った。白狐だったモノは飛び上がり魔導士の眼前で反射魔法を展開し、魔法そのものを邪神に向けて跳ね返す。邪神に直撃した魔法はその身体を大きく削る。


「おお!英雄の使い魔が!助かった!」

「相変わらず凄く広い防御範囲!城壁すら無傷なんて!」

「ワンちゃん!ありがとうね!」


こちらの世界では「狐」というイヌ科の動物は居なかったのか、それとも犬との違いが曖昧で犬と一緒に扱われているのか、この世界の人々からは「白い犬」として認識されていた依り代が遂にその役目を終えたのだ。


城壁の上から大地に降りつつ、白狐だった姿が白く丸い月の様に変化する。

遂に仮初の依り代たる「九尾の狐」の姿を捨て、神本来の姿を顕現する時が来た。


中型犬ほどの大きさだったその身体が大きく膨れ上がり、馬ほどの大きさの白く輝く体躯へと変化を遂げる。そして一瞬の後、白い閃光を放ち本来の姿の神がマサキの目の前で顕現した。



それは、神秘的な白く輝く毛並みの九つの尾を持つ「九尾の狐」の姿だった。




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