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八百万の神々と千年王国の竜  作者: 涼城 鈴那
北の大国と氷雪の虚像

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102/215

北の大地の冒険者


俺は北の大地に戻って来た、ビーストテイマーのマルクスとして。


イグニスの街での出来事は俺の不安も杞憂も何もかもを消し去ってくれていた。

改めて歌の力は凄いのだと思った、言葉の選び方一つでここまでも人の心を動かせるものなのかと。吟遊詩人という職業の凄さを思い知らされた気がした。


アレックスの体調も本人が宣言した通り一日で回復してしまい、俺達は次の目的地へと向かった。目的地は内陸の街『マッツーラ』、魔物が段違いに強くなるそうだ。


面子はチームのスポンサー「クラウス」、俺、ビーストテイマー「マルクス」、戦士の「アキラ」、「スコット」、「メイ」、吟遊詩人の「アスコール」だ。


チームのバランスとしては滅茶苦茶だ、回復役と魔法職が皆無の脳筋集団である。

回復役など当たらなければどうという事は無いし、魔法職なんて詠唱時間が必要な者も無駄だ、「スコット」と「メイ」の岩石投げと丸太投げで遠距離も問題ない。


マッツーラに向かう馬車の中ではアスコールが状況に合わせて音楽を奏でてくれたりしている。思い返せば、音楽の有る生活は久しぶりだった。


────────────────────



「ヤバい!アリオラムスの獲物にちょっかい掛けちまった!」


風雪の中、討伐依頼の牛の仲間のコーブレイを狩っていたいた所、うっかりアリオラムスが狙ってた獲物を奪っちまったらしい。


アリオラムスはこの辺りでの食物連鎖の頂点付近にいる恐竜の一種だ、とても10人程度のチームでどうにかなる相手じゃない!


獲物を奪われた奴は怒り狂ってこっちに向かってきやがった!疾走する10m近い巨体はあっという間に距離を詰めて来た、もうチームとしては戦えない、バラバラに逃げるしかない!頼む一人でも多く生き残ってくれ!


こんな時の為に普段から話し合っている『自分の身は自分で守れ、狙われたら仲間と違う方へ走れ。』今がその時で、最悪な事に奴の狙いは俺らしい!

いざ襲われる立場になると約束事なんて放って置いて逃げる仲間の後を追いかけたい衝動に駆られる。


しかし、そんな隙を与えてくれるはずも無く、奴はそのデカイ口を開けて俺目掛けて来た、ヤバい喰われる!手にした両手剣を振り回すが怯むはずもない、その時。


アリオラムスの巨大な頭部が急激に横を向いた、いや強い力で引き寄せられたんだとやっと理解出来た。見れば奴の頭部にひも状の物が幾重にも巻き付いている。

奴はそれに引かれた様だが、あの10m近い巨体を一体どうやって!?


「おいお前!さっさと逃げな!ケガするぜ!」

フードを目深に被り、左手に鞭?を持った男がそう言いながら現れた、コイツがこの巨体を抑え込んでるのか?なんて力だどっちが化け物かわかったもんじゃねえ!


しかしなんとか助かった様だ、慌てて逃げようとしたその時、横から恐ろしい勢いで突っ込んできた「女!?」がアリオラムスの胸に勢いそのまま右の拳を叩きこんだ。何かが折れる鈍い音があたりに響き、奴が雄たけびに似た悲鳴を上げ暴れようとするが鞭が邪魔で動けない。


さらに突っ込んできた男が手に持つ杖で奴の頭部を強打すると、頭部の半分が消し飛んで奴は倒れ痙攣し、やがてそのまま動かなくなった。


一体俺は、夢でも見ているのだろうか・・・。



────────────────────


街の手前でデカイ恐竜みたいな奴に襲われてる男を発見し助ける事にした。

北の大地での冒険者デビューだ、派手に行こう。俺はイグニスの街での杞憂も憂いも無くなった気楽さで、思い切り身体を動かしたい衝動に駆られ馬車から飛び出した。


「飛翔」で飛んで鞭で木を掴んで巻き取る、この動作に慣れると凄い早い速度が出る。そして何故か俺は空中に居る間は恐怖心が薄れて、前方に見えて来た恐竜程度、脅威とも思えないでいた。


鞭の射程距離に入ると同時に鞭を伸ばす、恐竜の頭部に巻き付いた鞭は恐ろしい力で締まり、暴れる恐竜の行動を制限する。男は逃げない、動けないのか?


「おいお前!さっさと逃げな!ケガするぜ!」


一寸マルクス風味で言ってしまったが変じゃないよな?というか今はマルクスだ。

そこへ遅れて来たメイが突っ込んで胸部に拳を叩きこみ肋骨をへし折る。

更に「スコット」が杖で頭部を砕いてトドメを刺した。


あれ?この男まだ逃げてないのか?


────────────────────


俺達は倒した恐竜は放って置いて馬車に戻り、改めて街を目指す。


馬車の中では「クラウス」から「どうだった?」と聞かれたが、そんな強い奴じゃなかった事を報告した。馬車に残っていた「アキラ」からも


「その鞭、マ・・ルクスの『飛翔』と凄い相性いいんだな。」

と言われた、メイと「スコット」の疾走より早いのが予想外だった程に移動が速い。


「ア・・キラが出て行ってたら、途中で置きざりになってたかもな。」

・・・何か、話し難い。何処で誰が聞いてるか解らないから常に仮名で呼ぶようにしてるのだが、「マサキ」「マルクス」と「アレックス」「アキラ」は最初が同じなんで間違い易い。「アキラ」「スコット」はどうでも良いんだが。


「なんか言い難いな、「マルクス」じゃなくて弟の名前にすりゃ良かったのに。」

「弟も『マリウス』なんだよ!どっち選んでも同じなんだよ!」

「何で、ビーストテイマーは「マ」から始まる名前ばっかりなんだよ?」

「あ!ノルマールのビーストテイマー全員「マ」から始まるのか!?」

俺と「アキラ」との会話に「クラウス」が笑う笑う。


「まぁ最初は仕方ないとしても、街じゃ気を付けてね?」


そんな会話をしていると、目前に「マッツーラ」の入り口が見えて来た。

さぁ、この街で俺達の北の大地での冒険者としての生活が始まるのだ。



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