18話 夜叉(1)
二週間諸事情(主に体調不良)で更新出来ず申し訳ありません。
来週からはちゃんと更新します。
日野和泉との会食から一週間、未だ日野からの返事は来ず、その間に叡智は尋問を受けていた。
原因は明確である。
『神谷叡智、一学期中間テストで、絶対女王にまさかの全科目満点での圧勝!?』という出来事であった。
この勝負の勝者は敗者に何でも命令出来るという条件があり、それを中央広場で高々と宣言したため、何百人という生徒が証人になっているのに加えて、神谷叡智が日野和泉を連れてどこかに行ったところを多くの生徒が見かけているため、『神谷叡智は日野和泉に対して淫らな行為に及んだ』というデマによって、昼休みに空き教室で男子たちによる事情聴取という名の尋問を受けていた。
「一週間に何回言えば良いんだ!?何をしたも、僕はただ日野を食事に誘っただけ、別に君たちが考えるようなことなんかしてないって!」
「嘘だ!今日和泉様が来たとき珍しく思い詰めたような表情をしていた!そういった責任を取らないといけないようなことをしたに違いない!」
幾度となく来る嫉妬の混じった言論を叡智は反論で裁き続けても、話を聞こうとしないだけではなく、決めつけで話し続け、それに賛同する生徒に少し怒りが湧き上がってきており、強硬手段に出ることも選択肢にいれ始めていた。
だが、彼女の顔を見ていると、確かに日野が思い詰めたような顔をしていたのは確かである。
少しやり過ぎたかと思う反面、向こうに人が行かないことにいらだちを覚えた。
「ったく、何で俺がこんな目に合わなきゃならないんだ!」
放課後、帰宅した叡智は日々積み重なった不満を葵に吐露していた。
「う~ん…叡智君の自業自得では?」
「だがな!まぁどうやって1位取ったとか、どういうインチキをしたのかならまだ分かる。そんなの慣れっこだからな!だが、日野和泉に何をしたのかなんて話すわけがないし、第一そんな怪しまれるようなことはしていない!それを何回も何回も!なんなんだあいつら!?」
珍しく苛立ちを隠そうとせず、愚痴を吐く叡智に対して、
(さらっと言ってるけど、1位取り慣れてるって言ってる?)とジト目で睨む。
「でも、一回会って話してみたいな~。その日野和泉さんって人。以外とああいうタイプって話しやすかったりしない?」
「お前…日野和泉って言ったら五摂家のうちの一家、日野家のご令嬢だぞ。そんな警戒心もなくお前のような平民と思われている人間と話すなんてあいつのプライドを考えるとあり得ない」
楽観的な思考をする葵に対して、叡智は世間知らずめ、と言わんばかりに言った。
…が、叡智の思惑は珍しく外れたようである。
「おいおい、嘘だろ…」
あれから数日後の昼休み、食堂にあるコンビニで軽食を買い、自分の席で昼食を取っていた叡智は窓の外の中央広場を眺めていた。
そこには、義妹である藤原葵と日野家ご令嬢、日野和泉、そして浪華燎という3人で談笑しながら食事を取っていた。
元々日野和泉は他人と食事をせず、一人黙々と食事を食べていたのを知っていた叡智は、葵の行動力と浪華のコミュ力に感心する一方であった。
それにもう一つ、気になった点があった。それは、
(弁当でかくね…)
一般家庭に出てくる重箱に入れられたおせち料理の如く豪華に彩られた食材の数々、これが毎日のように登場し、あの日野和泉という少女の胃袋に収納されていく様を見ていると最早恐ろしさすら覚えるほどでるある。
叡智は手元に持つイチゴミルクのストローを咥え、教室を出ると、屋上に続く階段を上る。
昔は屋上にも上がることが出来たようだが、安全面を考慮してか、現在では立ち入り禁止となっているため、人は誰一人としていない。
「…白咲」
「はい、叡智様」
叡智の呼びかけに瞬時に答えたのは、神谷叡智の側近、白咲夕凪であった。
その姿は神谷邸でのメイド姿とは異なり、日茜学園の制服を着ている。
「日野和泉の近辺を探れ。捜査員の人数は問わん。できる限り、多くの情報を集めるよう伝えてくれ」
「承知しました」
叡智の命令を聞いた白咲は叡智の前から姿を消した。
(…さて、そろそろこっち側も、動くか)
叡智はズボンのポケットからスマホを取り出し、画面を確認する。
そこには、このスマホを中心とした近辺のマップと日茜学園の敷地内、赤く点滅する点が二つ存在していた。
(なぁ?お前はどう動く?)




