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11話 不吉な予感

翌週、実力テストの成績が返却された。

既に通常授業は始まっており、中学時代の貯金がない者はまったく授業に追いつくことができていない。

その筆頭こそが…

「363人中360位、教科平均…43点…」グシャ、と叡智はそう書かれている紙を握る。無論、これは叡智のテスト結果ではない。神谷邸の椅子に座る叡智の前には正座されられている藤原葵がいた。

「なにか言い訳があるなら聞くぞ」「いやーあのぅ…実は実力テストやるって言われた時点から勉強しても間に合わなかったからしてもしなくても変わんなかったっていうか…」と言い訳が言い訳になっていないことを話す葵にとんでもない目で圧力をかける。

「終わったことだ、悔いても仕方ない。次の定期テストはよい結果を残せるように勉強しておくことだな」とため息をついて言った。

「あのう…一応叡智くんの成績を参考までに見せて貰っても…」と申し訳ないように言うが、まったく好奇心を隠せていなかった。

(ちょっとぐらい自分の心配をしろよ)と心の中でつっこむが、伝わるわけもなく、自分の結果が書かれている用紙を見せる。

「んな…えぇ…」と葵は引いたように体を反らす。

その用紙には全教科満点、学年順位1位と書かれていた。(叡智ってまじで天才だったんだ)と葵は関心する。

「でも…大丈夫なの?目立たない?」と散々自分に言っていた、目立つな!、を自ら無視している叡智に問う。

「お前とは違うからな、そのくらいの分別はある。」と言う叡智に反射的に、「どういう意味じゃ!」とつっこんでしまった。当然、叡智はそんなことお構いなしに話す。

「年5回の定期テストではともかく、実力テストでの結果なんて誰も興味ない。それに、今回はテスト結果上位の張り出しがないからな、今どきは普通ないんだが、何しろ一昔前の規則であることに加えて、生徒同士の競争意識をあげるためだってよ。」と自分の結果を見ながら言う。

「なら…問題ないのかな?」「少なくとも担当した教師の何人かには怪しまれるかもしてないが、まぁどうとでもなる」とあまり興味がないような様子を見せる。

だが、神谷叡智の予想はどうやら外れるようである…


ある暗い部屋、スタンドライトの小さな光だけがあたりを照らしている。部屋は葵の部屋と同じかそれ以上の大きさかつ、家具や本など様々なものがある。

そして、スタンドライトの前、机と向き合っている少女がいた。彼女の手には実力テストの結果が書かれた紙が握られていた。

「私が…2位…」ギリッ、とその少女は歯ぎしりをしていらだちを隠せずにいる。

「今回の実力テストは順位発表がない。私一人じゃ特定は無理…か。」そう言うと、少女は立ち上がり、部屋の電気をつける。そして、ベッドに横たわって言った。

常磐ときわ、今回の実力テスト1位の生徒を取り急ぎ探しなさい。」「かしこまりました」

部屋の外、ドアの付近から女性の声が聞こえる。

「必ずや…次の中間テストで…私が王座を奪還する…」

そう覚悟を決める彼女の目はルビーのように赤く燃え上がっていた。


「ひっくしゅんっ!」耳の奥がキーンとした叡智はそれを治すため唾を飲んだ。(誰かに噂されてるような…)という感覚が叡智に走った。(まあいいや)そう思った叡智の目の前には5個のモニターがあり、市場状況など様々な情報が映し出されていた。

そこには同時刻、ルビーのような赤い瞳をもつ少女の数枚の写真があった。

(次はこいつだな…。さてと…)と叡智は椅子の背もたれに寄りかかり、天井を見つめた。

「まずは…一手だな…」

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