第13話『勇者の必殺技』
楽しんで書くこと、大事。
今日の魔王城も薄暗い。しかし、とある一室には明かりが灯っていた。
そこには壮絶な光景がある。魔王の姿も……。
しかし、今日の魔王は一味違う。
腹が痛いのは勿論のこと、頭まで痛いのである。
そう、二日酔い。凶悪すぎる敵に魔王は立つことが出来ない。
「魔王様ッ!!」
「うるさいッ! お前は大声の達人か!?」
「何ですかそれは!!」
本当に意味がわからない。
周囲に疑問を散らしまくる魔王は再び横になる。
「そんなことより、魔王様! 勇者のところへ行かなくていいのですか!?」
「勇者がココに着たら全部解決するだろう」
「えー!?」
今更ッ! 今更すぎるッ!
いいや、魔王だって最初からわかっていたはずなのに。これではオモチャの前で駄々をこねる小さな子供状態だ。
「しかし、勇者の顔も見ずに魔王城に招いてしまって大丈夫なのですか? 潜り込んだ魔物の絵ではうますぎて何が何だかわからないですし!!」
その魔物の手には美化されまくった勇者達の絵の描かれた紙が握られていた。
ちなみに、潜り込んだ人が似顔絵を描いているところを二人に襲撃され超絶勇者の絵が出来上がったわけである。
うますぎるが現実にいそうにない人間が描かれている。
「ぬ、ぬうう。そうだな、顔がわからないせいで勇者ではない人間が何度魔王城へ入ってきたことか」
その度に魔王城のウ○コ臭さに負け、故郷へ帰った者の姿があったことか。
ちなみに魔王城に清掃係はいない。
姿はわかれど明確な情報を入手できていない魔王達。
「よし、顔を確認しに行くぞ! 我の顔もしっかり覚えてもらわなくてはな!!」
ついでに恨みでも買って何としてでも魔王城へ足を向けさせよう、そういう作戦である。
何という知的な魔王。キャー、魔王様カッコイイー!
……これでいいんですか?
「100点をやろうッ! ナレーター、上出来だ!!」
満面の笑みの魔王。
~ 勇○者 ~
「勇者様ッ!」
「ん? 何だ? って、コイツは誰だ!? ドン・ヨークか!?」
「お金じゃ性別の壁は超えられません! っていうか顔見たらわかるでしょう!!」
濁った赤い目、その髪の色も瞳の色と同じ色で染まっている。
魔王様からの連絡では伝説の悪魔とか何とか。
「まさかコイツも……」
「そうだな。お前、足が速そうだな」
「わかるのか!」
「いや、僕に負けたばかりでしょう!!」
負けた直後なのに何で自慢できるの!?
「負けは認めよう。しかし、わたしは勇者を倒さねばならないッ!!」
戦闘態勢に入る伝説の悪魔。しかし、勇者(男)は余裕の表情。
この力の波動がわからないはずが無いのに……。
ピリピリと震える空気。
それこそが伝説の悪魔の強さの証。僕の足なんてプルプルして……って!?
「スライム!? 何でスライムが僕の足に!?」
「そーれ、スラバスター!」
「うぎゃー! ってあんたかーーー!!」
勇者(女)が背後から僕を狙っていたようで。
……ッ、そうだ! 僕が避けて伝説の悪魔にスラバスターを当てれば!!
「いくぞ!!」
「む、無理っぽ――」
「勇者に不可能はないッ! 見よ、成金奥義ッ! 『札束吹雪』!!」
何処からそんなものがー!?
「な、弱点を突いてきただと!? 何故……」
「金が弱点!?」
い、意外だ――
「なァッ!?」
「スラバスター……ガトリングッ!!」
ズドドドドドドッ!!
い、意識がー。
~ ナレーター ~
伝説の悪魔の話をしよう。
……一行で終わる。
彼女は……貧乏だッ!!
次回! 勇者爆発!!(仮) お楽しみに!!