お互いの秘密を話してみる
兄ちゃんに呼び出された日の晩、俺とネルは少し真面目な雰囲気になっていた。
「スキルの事を話す前に一つ、実は俺も結構面倒な秘密を抱えている、それを聞くかどうかネルが判断してくれ」
「ん、ついでだから私も話す」
ついでて、まぁいいか。
ということで、俺はネルに異世界から来た事、俺のスキルはGMからの派生の様なもの、GMの所為で城から追い出された事を話すことにした。
「アキは勇者様?」
「一応そういう事になるのかな」
指名手配書を出して、ネルに見せる。
「これは俺だ、ネルには違うと思うだろう」
「ん、似てる気がするけど違う人、断言できる」
一旦効果を消して再度見せてみる。
「あ、あれ?アキ?間違いない、そっくり」
「以上だ、俺も使い切れているわけじゃないが、あまり、というか絶対に変な事に巻き込まれそうだから隠しておきたい」
「ん、わかった、アキを城に持っていったら白金貨2枚、遊んで暮らせる」
連れて行かないでね?
「じぁあ次は私。 私はシェセプ・アンク。
アキは知らないだろうから説明すると、砂の国のシェセプ王国の王族と同じ。
これは王家だけがいる種類、つまり私は隠し子?」
お、おう、そっちもそっちで、かなりの秘密だ。
「スキルは回復再生、傷も体力も回復する、病気も治る、これもシェセプ・アンクの特徴」
だから疲れてるところを見た事がなかったのか、一度だけ倒れてるのを見たのはMPがなかったんだろうな。
「お互い大変だな」
「アキは自業自得」
いや、まぁ、そうなんだけど。
「アキ、それ私にもできる?」
俺の指名手配の紙を指差す。
多分さっき見せた効果を言っているんだろう。
「出来ると思うが、どうする?」
「猫獣人でいい」
「わかった、ほかになんかあるか?スキルなんかも獲得できるぞ?」
「今はいい、MPが足りない」
「MP無限なんて事もできるが」
その一言でネルが宇宙猫になってしまった。
しばらく放置してたらハッと意識が戻り、ネルが俺に迫ってくる。
「アキも私と同じスキル取って、無限頂戴」
なにか怪しい笑みを浮かべた後、そんなことを言い出したが、言われた通りにスキルを獲得すると、徐にネルが服を脱ぎ捨てて、襲いかかってきた。
馬乗りになった状態なので、逃げられそうにはない。
「文字通り朝まで寝かせない」
本当に朝日が登っても眠る事が許されなかった。
シェセプ・アンクって確かスフィンクスの事だったよな、人を食うって有名な話があるし、肉食なのは合っていた、かな。
ガクッ…。
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昼頃に目覚めて、俺たちはギルドに向かった。
ネルはまだ不安なのかフードを被っている、検証というか、解消のために銀の砂の人達を探す事にした。
あの人達は砂の国出身って言っていたから、シェセプ・アンクを知らないはずはない。
もしバレても大丈夫そうな人だし、最悪GMで記憶を消すつもりだ、できるかはわからないけど。
銀の砂の人達がギルドで昼食を食べているのを発見する。
「少しいいですか? 相談したい事があるんですが」
「お?いいぞ、なんでも話してくれ」
「その、あまり知られたくない話なので」
「わかった、ギルドに部屋を借りれるか聞いてくる、食べ終わるまで待ってくれるか?」
ギルドの部屋を借りると、早速本題に入り、ネルがフードを取ると真っ先にメグルさんがネルの元に駆け寄り抱きしめた。
「ネルちゃん可愛い!!やっぱり獣人だったのね!懐かしいわ!お友達にいたのよ!スゥーハァー…」
「えっと…そういう事を相談したいのですが」
「すまない、直ぐに引き離す」
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「なるほど、ここら辺では獣人は珍しいからな、でもそこまで隠さなくても大丈夫だと思うぞ?他の国と違ってカルガンテは比較的安全だからな」
「そうですか、それではもう一つ、獣人が危険な国を教えてもらっていいですか?今後の参考にしたくて」
「構わないさ、それくらいお安い御用だ」
あらかじめ用意していた別の相談事をして、怪しまれない様に切り上げた。
「それでは、ありがとうございました、また機会があれば合同で依頼でも行ってくれると嬉しいです」
部屋から退出しようとすると、メグルさんが行手を阻む。
「ネルちゃん!私たちは獣人に偏見とかないし、他の街でも後ろ盾になれるわ、やっぱり私たちのパーティーに加わらない?」
ネルの両手を掴み再度勧誘をする。
「無理、アキも問題がある、でも、ありがと」
メグルさんがあからさまにしょんぼりして、ネルの両手を手を離す。
「問題なかったろ? これからはフードを外して歩けるな」
「まだちょっと不安だけど、GMは凄い、もしかして拐われる心配もない?」
「そうだな、野営する時も見張り要らずだ」
「それは便利」
ネルの笑顔を見ると、GMの事を話して良かったと思う、もしかしたら相当苦労して今まで生きてきたのかもしれない。
俺たちは掲示板の前に立ち、昼からなんの依頼をしようかと見ていると、また兄ちゃんから、お声がかかった。
なんかしたっけ?
「そう警戒するな、ただの書類関係だから名前を書いてもらうだけでいい」
カウンターに出された書類の内容はCランクの一部の依頼を受けていい、というものだった。
「君たちをダンジョンに入れるために必要でな、ダンジョン意外にも簡単な依頼は頼むつもりだから、そのつもりでいてくれ」
つまり罠か、俺はダンジョンには行かないぞ!サインなんかしてやるか!
「そうだな、面白い話をしよう。
ギルドは名の上がりそうな冒険者の身辺調査をする、君たちも候補に上がっていて、ちょうど今君の調査をしているところだ。
明日にでも調査は終わるだろうが、少し気になる事があってな、君が冒険者になった日の前の情報が一切ない。
入国した形跡すらだ、おかしいと思わないか?私はもう少し調べたい気分だ」
「すいません、名前書きます」
GMで安全だとは思うが、兄ちゃんなら答えに辿り着きそうでゾッとしてしまった。
「賢明な判断感謝する。
私も君個人を調べるためだけに無駄金を消費したくは無いのでな、罪人でなければ冒険者ギルドは誰でも歓迎する」
心臓を鷲掴みにされた気分だ。
「アキ大丈夫?」
「大丈夫だ、俺がGMに慣れてないから起きた事だから夜にでも見直すよ」
俺は小声でネルにそう返した。
それからは適当な依頼を二人でこなして、宿に帰った。




