真っ赤な肉にナブリブハーブ
海鳥の死から2日が経ち海鳥は突然死と処理された。
とどめを刺した4人の冒険者は元々の一人分の報酬もらい、残った報酬は港の復興に使われるそうだ。
海鳥の討伐の依頼を受けていたものは、解体代と交通費のような感じで半金額1枚が渡された。
そして、海鳥の素材はというと3分の2をサーリアさんが買取、残りは町に残った。
その買い取った素材はアイテムボックスの中だ。
あの量を買えるサーリアさんは、一体何者なんだ。
「何はともあれ、みんな無事で良かったわ。 貴方達の報酬はないようなものだけど、あんなにたくさん海鳥の素材が手に入ったのは嬉しい誤算だわ」
「いえいえ、宿代を出してもらって、馬車代も浮いてるのだから、俺達は問題ないです」
「そう、あの人達の方が可哀想」
あの人達とは、後からの合流組だ。
失敗扱いにはならないが、報酬は無し。 10日間の食費と馬車代が引かれただけだ。
「それじゃあ帰りましょうか、観光でもしたかったけどあんな状態じゃあね」
港の復旧作業で、今日は最低限の数しか船が出ておらず、店も半分近く閉まっている。
「そうですね、復旧が終わったらまたきます」
宿からお弁当を受け取り、俺たちは帰ることにした。
帰りの4日間GMを使ったので事件は全く起きなかったのだが、なぜかネルが馬車の操縦を積極的にやっていた。
メイリも右往左往する事なく進む。 何か様子がおかしい。
夕食の時に質問してみると、今回私は何もしてないと言って落ち込んだ。
せめて操縦だけでもって事だったらしい。
「そんな事気にしないでいいのに、俺も何もしてないぞ?」
「アキは荷物持ってる。 そのおかげで馬車を乗せてくれたし、宿代だってサーリアが出してくれた」
俺が口籠ると、サーリアさんが代わりに答えてくれた。
「そんな事も気にしないでいいのよ、貴方達はパーティーを組んでいるのでしょう。
今回はたまたまアキくんが活躍してるだけ。 じゃあ次はネルちゃんがそうなるかもしれない。 そうなった場合アキくんに同じ事思うの?」
「そんな事思わない」
「そういう事、パーティーなんてそんなものよ。 気になるんだったら一杯奢るか、労いの言葉をかけるのが、パーティーを長続きさせるコツよ。 一人の私に言われてもだけどね」
「分かった」
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「それじゃあ、馬車を預けてくるから、ギルドに報告してくれる? 夕食は奢るからおつかれ会でもしましょう」
サーリアさんと一旦別れ、ネルと二人でギルドに向かう。
「帰ってきたか、大変だったみたいだな。 言伝はきたが、直接話を聞きたい」
ギルドに入ると兄ちゃんと目が合い、そのまま報告をする。
「急に暴れ出した理由は謎だが、解明するにも解体した後か…。 素材はどうなった? ギルドに少しくらい降ろせるか?」
サーリアさんが大量に買い取った事を告げると、兄ちゃんの眉間に皺ができる。
「婆さんの独り占めか、買い叩かれそうだ。 ご苦労、十分に休むといい」
報告が終わり、サーリアさんと合流して外を歩く。
「どこにしましょうか、お酒はどれくらい飲める? 最近できた店で、東洋から来た珍しい食べ物の店とかどう?」
東洋か、異世界あるあるだと日本に似た島とかで、米や醤油なんかを求めるのがあるが、米はあるし東洋の方にそんな国があるかも知らんが、行ってみるのはやぶさかではない。
「じゃあ決まりね、海鳥で儲かるつもりだから、じゃんじゃん食べなさい」
東洋から来た店は、内装は変わった柄の布が掛けてあったり、象と蛙が合わさった石像が置いてあったりと、ちょっと変わった店だ。
厨房の方からはスパイシーな香りがして、カウンターにも乾燥した種やハーブらしきものが置いてあった。
「いらっしゃい、好きな席どうぞ」
テーブル席はなく、全て座敷で統一されていて隣の席との間には、花や蔓の模様した木の板がある。
文化統一しろよと突っ込みたくなる内装だが、この世界にはこういった文化があるのだろう。
座敷に座りメニューを見ると、発音がし辛そうな名前ばかりで、なんの料理か一切わからない。
名前の下に「〜の肉と〜のハーブを使って」みたいな事が書いてはいるが、まず俺は名前が書かれていても、なんの肉か分からない。
写真なんかがあればいいのだろうけど、写真自体がないのだから無茶な願いだろう。
「アキくんは決まった?ナブリブハーブなんかここら辺じゃ見ないし、面白いんじゃない?」
「はぁ、ぶっちゃけ何がいいか全く分からないので、それで」
「聞き慣れないものばかりだものね、あそこに置いてある種なんかは薬に使う事あるけど、乾燥させたら料理に使えるなんて、私も初めて知ったわ」
注文も終わり、軽く雑談していると料理が運ばれてきた。
真っ赤でドロッとしたスープに真っ赤な肉、輪切りのキノコと小さい牛蒡のような物が飾り付けてある。
スパイスの香りも相まってカレーの印象を受けるが、ぜんぜん辛くない。 甘辛って感じだ。
悪くない、そう思った瞬間に舌が焼けるように熱を帯びる。
「辛っい!!」
ギアを変えたように急に来る辛さが俺を襲う。
「初めての人だったか、ミー茶飲むといいよ」
店員が急いで飲み物を持ってきてくれたメガホンの様な形のコップに入ったものを確認せずに飲むと、すぐに辛さは落ち着き、一息つく。
ふむ、もう一口食べるか。
一口食べてはミー茶を飲む。 辛いのが分かっていても止まらない。
食べ終わる頃には汗がだくだくで、スッキリした喪失感に襲われていた。
赤い肉は噛めば噛むほど肉汁と辛味が襲いかかり、悲鳴をあげそうになったが、ミー茶がそれをすぐに相殺した。
キノコは噛むたびシャキシャキ音が鳴り、いいアクセントだ。
俺が食べ終わる頃には二人も食べ終わっており、二人とも手で顔を仰いでいた。
「辛かったけど、美味しかったわね」
滴る汗が色っぽい。
ネルは汗でローブが体に引っ付きラインが露わになっていて、中々にエロスを感じる。
「暑い。 早く出よ」
夜風が俺たちの身体を覚ます様に吹き、心地がいい。
「ごちそうさまでした。 明日はギルドで待っていればいいですか?」
会計を終えて店から出てきたサーリアさんに問いかける。
「そうね、6時くらいでどうかしら? 朝食でも食べて待っていて」
そう約束して俺たちは店の前で解散した。




