一難去ってまた一難
マリーの浄化の力が安定してきた頃、マリーの元に一通の手紙が届く。それはこの土地を治めている男爵令息からの手紙だった。
手紙をギルドに託した人物は、エルヴァー男爵家の使用人だそうだ。令息が一足先に先触れを、と言う事でメソンの街のギルドに手紙を預けたらしい。
知りもしない人から手紙を受け取るのは如何なものだろうか……とマリーが困惑していたのだが、手紙の押印がエルヴァー男爵家のものである事を理由に、受け取ることを決めた。
ユラニブレ聖王国では貴族ごとに印が決められており、偽造は大罪だ。その事をギルドは知っているからこそ、これが本物だと理解していた。なによりギルドは預かっただけで、勝手に内容まで見る事はできないためマリーに受け取ってもらい、他の人間ーー特にローザーーに手紙の内容を確認してもらいたいとの思惑がギルドにはあった。
デュポンド公爵家の件もあった。だから問題を起こす人間もいないだろうが……
ギルドから受け取ったマリーは、夕食時全員がいる場所で手紙の内容を確認する。
そこには後三日程でメソンの街に着く旨と、そこで感謝を述べたいと言う旨が書かれていた。そんな手紙にローザやヴィンスたちエスト公国一行は顔を顰めた。
「何故今なのかしら?まだエルヴァー男爵家の領土は全て終わっていないわよね?」
「ええ、この後予定していたショマールの街以外にもあと数カ所あります。エルヴァー男爵家の令息でしたら、長男のダニエル殿でしょう。かの家は長男、長女、次男の三人兄弟で、長女と次男の二人はまだ未成年で幼かったはずです」
ローザの問いにはパスカルが答えるが、何故男爵令息がここに来るのか、その答えは出ない。
「まずは様子見……かしらね」
そう呟くローザの顔は、心なしか憂鬱な様に見えた。
**
その翌日夜。
セルジュは自身の部屋の窓を開けて外を見ていた。だが彼もただただぼんやり見ていたわけではない。月明かりが彼を照らす頃、それは急に彼の元にやってきた。
白い鳩の様な鳥……連絡用の魔鳥だ。
彼は嘴の手紙を受け取ると、中身を黙読し始める。そこにはセルジュが求めていた回答が書かれていた。そしてもう一つ、金色の細い腕輪の様なものが同封されている。
セルジュは気づいたのだ。
今までマリーを守ってきたつもりになっていたセルジュだったが、実はマリーに守られていたのかもしれない事に。そしてこのままではマリーは自分の側を離れてしまうかもしれない事に。
だからセルジュはマリーを害悪から守ることに決めたのだ。そのための手段として王太子に助けを請い願った。
彼は勇者とはいえ、一平民である。武力はあるが、権力が足りない。万が一を考え王太子に連絡を取ったが、正解だった様だ。
セルジュは決意を新たに、少しづつ歩み始めていく……
お待たせして申し訳ございません!
この作品の執筆を再開します。
まだ書き溜められていないので、もしかしたら毎週月曜に投稿はできないかもしれませんが……
この部分は突貫で書いたので、整合性が合わない部分があるかもしれません。
気になる点があれば教えて頂けると幸いです。




