謎の魔導書
私は目覚めたら何故かものすごく両親から心配されてしまった。
「どうしたの?」
「やっぱり昨日の記憶はないのか?」
「昨日の記憶?」
昨日……何か大変な事があった気がするんだけど、何か記憶にもやがかかったみたいに昨日何をしていたか思い出せなかった。
「うーん、何か思い出せない。」
「無理に思い出さなくても良いのよ。」
そう言われると何があったのか気になってしまったので両親に聞いてみる。
「私に何があったの?」
「昨日の夜中……というか今日の朝だけど、オリビアが庭で倒れていたんだよ。しかも全身に小さな擦り傷をつけてね。」
「傷自体は大したこと無いから数日で消えるだろうが、俺達もオリビアに何があったのかは分からないんだ。」
「誰かが侵入したのなら私達が気が付かない訳ないし、オリビアが勝手に出ていくとも思えないから謎なのよ。」
「そうだったんだ。あれ、これは?」
何があったんだろうと考えていたら布団の上に置かれた一冊の本が視界に入った。
「ああ、オリビアが庭に倒れている時にその魔法書を持っていたんだよ。」
「オリビアはその魔法書が大好きよね。」
「ああ、あの時の俺が古本屋で選んだチョイスは間違っていなかったんだな。」
「……あれだけの本を買えば一冊位は気に入るのがあるでしょ。一体いくら使ったのよ?」
「うっ、ま、まあ良いじゃないか、オリビアの輝かしい未来への先行投資みたいなものだ。例え俺のおこずかいが半減しようと後悔は無い!」
「相変わらずの親バカよね……ってオリビアどうしたの!?」
「えっ? 何が?」
「何がって、泣いてるじゃないの!」
「お、おい、どこかやっぱり痛いのか?」
「え、どこも痛くないし平気だよ。でも何だろう……この本を見てるとぽっかり何かが無くなった気がする……」
何でだろう……
この本を見ていると大切な何かを忘れている気がして悲しい気持ちになっていた。
たぶん、それで涙が出たんだと思うんだけど、それが何なのかを思い出せないでいた。
それから数日間は安静のため、学院はお休みして暇をしていたので、例の魔法書を読んでいたけど内容が難し過ぎてよくわからなかった。
この魔法書についてお母さんにも聞いてみたけど、知らない言語で書かれているので読めないと言っていた。
私は読めないながらも、魔法書を開いていると気持ちが暖かい感じがしたので学院を休んでいる間はずっと魔法書を眺めていた。
そして、魔法書を眺めているとふと、ゾディアと魔導という言葉が頭の中に浮かんでくる事が良くあった。
「ゾディア、魔導……」
何だろう?
この2つの言葉を考えると悲しくなるのと同時に嬉しい気持ちにもなっていた。
私はいつかこの魔法書を読める様になりたいと思うようになっていた。
★
数日後……
体調はかなり良くなっているから両親に外出したいと話しても、念のためにもう少し安静にしておくように言われていた。
私の中では何故か身体は絶好調だと分かるけどなぁ~
仕方ないので暇な私は部屋にある剣術の本を読むことにした。
部屋には魔法書の他にもお父さんが買ってきた本がたくさんあるので、暇潰しの読者にはちょうど良かった。
しかし、いろいろな本を読んでみても、あの読めない魔法書がずっと気になっていた。
記憶には無い筈なのに何故か私はこの魔導書を知っているという確信はあった。
ん?
私は何で魔法書を魔導書と?
……魔導書
後ちょっとで思い出せそうなんだけど、思い出せないモヤモヤした気持ちで数日間を過ごしていた。
コンコン
「ん?」
お父さんが部屋に入ってきた。
最近、両親は冒険者として街の外で魔物退治などが忙しいらしいけど、今日はお休みみたいだった。
「オリビアにもそろそろ剣術を教えていこうかと思っているんだが、どうする?」
「やりたい!」
「そうか。ならオリビアの調子が良くなったら教えていこう。」
「もう調子はいいよ?」
「いや、もう少し安静していた方がいい。」
「ええっ~、早く魔導剣術をマスターしたいのに!」
「ん? 魔導剣術ってなんだ?」
「えっ、あれ? 魔導剣術ってなんだっけ?」
「俺も聞いたこと無い名前だから、部屋にあった本のどれかに載っていたのかもしれないな……」
「うーん、思い出せない……」
無意識で剣術と聞いたら魔導剣術って言葉がパッと思い浮かんでいた。
「お父さんは魔導って知っている?」
「いや、知らないな。オリビアはその魔導という言葉が気になるのか?」
「うん。」
「なら、俺の方で調べとこう。聞いた事が無いから分かるとは限らないけどな。」
「ありがとう!」
『……オリビア、今は無理に思いだなくても大丈夫だよ。今の私ではこの声をオリビアに届ける程の存在力は残ってないけど、いつか一緒に冒険しようね。』
ん?
何故かモヤモヤが消えていく感じがする。
『それまでは……』




