魔導師との戦い
筋肉質な男はアレスくんが勇者だと分かると躊躇いなく巨大な剣を振りかざしていた。
ドゴン!
「ほう、これを回避したか。」
「くっ、あなたたちは何者なんですか!」
「俺たちか? まあ、勇者ならどうせ殺すし名乗っても良いか、俺は超体改試作タイプ456の魔導師、烈火だ。」
「私は魔導試作タイプ678の魔導師、香燐よ。」
「試作タイプの魔導師……まさか、まだ存在していたのか?」
「そうよ、子供の勇者だと私達魔導師を見るのは初めてかしら?」
「いや、魔導師が生きていたのは数千年前の筈だ、生きている人などいるわけがない。」
「ふふふ、そんなに月日が経過してたかしら? でも現実に私達は生きているわ。」
「話なんてしてないでとっとと戦おうぜ、それにせっかく二人いるんだし、どっちを相手するか決めようぜ?」
「相変わらず烈火は脳筋よね。」
「あ? 超体改試作タイプなんだから仕方ないだろ、戦うことが生き甲斐なんだからな。」
「私はどっちを相手しても平気よ。」
「なら俺はこっちの女の相手で良いか? 女の方が危険な匂いがするからよ。」
「あなたが危険な匂いがするって言うからには相当やばそうね。」
「ああ、かなりヤバイ気がするぜ。」
『オリビア、ここで戦ったら村に迷惑がかからないようにアレスくんを担いで人気のない場所まで逃げよう。』
『分かった。』
オリビアは私の話を聞くとすぐにアレスくんを担いで村から走りだした。
「えっ? ちょ、お姉さん!?」
「村から離れる。」
「あっ、なるほど……ってそれなら僕も自分で走れますから!」
「たぶん、担いで走った方が速い。」
「……確かにお姉さん、速いですね。何者なんですか? 普通の冒険者が出せるスピードではないですよ?」
「それは秘密。」
「おい! 待ちやがれ!」
うわっ、あの筋肉質な烈火と呼ばれていた男はオリビアと同じ様に女を担いで追いかけてきていた。
スピードはオリビアと同等くらいか?
「お姉さん、あの二人が本当に魔導師なら他にも仲間が何人かいるはずです。ですから仲間に連絡を取られないようにするために走りながら広範囲の魔力妨害をする魔法具を使用したいのですが、いいですか?」
「うん、大丈夫。」
風牙の時はダンジョン内だったから仲間と連絡を取られなかったが、地上ではいつ連絡を取られるか分からないのでありがたい。
本来ならば私が可能だったのだが、契約をしたことにより魔導が一つしか使うことが出来なくなっていたのだ。
たぶん、オリビアから主導権を譲って貰わないと自由に魔導は使えないかもしれない。




