オリビアと勇者
オリビアは試練のダンジョン1階を攻略したので変身したあとにダンジョン入口へ戻ってきていた。
『今日はこのまま帰ろうか。』
『うん、あれ?』
『どうしたの?』
「アレスくん?」
オリビアはクラスメイトのアレスくんを試練のダンジョン入口付近で見かけて、声を書けてしまった。
「えっ? 誰ですか?」
アレスくんは不思議そうな顔をするが、今のオリビアは黒い全身鎧を着た大人の女性に変身しているのでアレスくんが分からないのも無理はないだろう。
しかし、ダンジョン内で変身しておいて良かった。
「あっ! えっと冒険者仲間から勇者が来ているって聞いていたから……」
オリビアもその事に気がついたみたいだけど、声をかけてしまったので誤魔化したけど、大丈夫かな?
「そうだったのですね。特にこっちへ来たことは隠していなかったけど、もう冒険者にまで噂が広がっているなんて凄いですね。」
「アレスくんも試練のダンジョンへ?」
「そうですよ、元々試練のダンジョンは勇者を育てる為に女神により作られたダンジョンですからね。」
「そうなんだ、今日の攻略は終わり?」
「はい、今日はもう街へ帰ります。 お姉さんも今日のダンジョン攻略は終わりなんですか?」
「うん、もう終わり。」
「なら一緒に帰りませんか? 僕用に馬車が用意されているんですけど、少し広いので余裕がありますので。」
「走ればすぐだし大丈夫。」
「そうですか……」
「おい、そこの女から試作タイプ286号の匂いがするぞ。」
「本当ですか? あなたの嗅覚を疑うわけではないですが、本当ならば試作タイプ286号はこの女性にやられたという事になりますよ?」
「それにあの女が持ってるのは魔導書じゃないか?」
「確かに微かですが魔導を感じますね……という事は試作268号は彼女にやられたと考えるのが妥当ですね。」
オリビアがアレスくんと話していたら、男女の二人組が話ながらこちらに近づいてきた。
試作タイプ286号ってのは先ほどまで戦っていた風牙の事だろうから、まだ仲間がいたみたいだ……
男の方は筋肉質な長身で背中には巨大な剣を背負ってはいるが、鎧ではなく普通の服を着ているというアンバランスな感じで、女の方は風牙と同じ様なローブを着ていたが女から感じる魔力の質が異質な感じがしていた。
この二人は風牙よりも遥かに強そうな気がする。
「あなた達はなんですか?」
二人はオリビアの方に真っ直ぐ歩いてくるのを遮る様にアレスくんが立ちはだかる。
「あ? 俺たちはそっちの女には用があるが、ガキには用はないから話しかけるな。」
「僕は勇者としてあなたたちの言動を無視でかきません。」
「そうか、お前は勇者なのか。ならお前も俺たちの敵だな。」
そう言うと筋肉質な男は背中に担いでいた巨大な剣を躊躇いなくアレスくんに振りかざした。




