決着
風牙は金属製の球を周囲に浮かせたと思ったら、徐々に金属製の球が風牙の周りを回り始めた。
「この魔導金属で生成した球は当たれば骨は粉々ななるくらいの威力がありますから、なるべく使いたくは無かったですが、魔導書を回収、封印が最優先事項ですから仕方ないでしょう。」
魔導金属と呼んだ球は更にスピードを上げていき、30個ほどあった球は風牙の周りを覆う壁の様にも見える位のスピードになっていた。
このスピードで頭にでも当たれば即死レベルの凶悪さがあるな……
『オリビア、私に身体の主導権を貸して!』
『分かった。』
オリビアの返事と共に私は身体の感覚が流れ込んできた。
身体の感覚を取り戻したのはどれくらい振りだろうか?
そして、オリビアの内蔵されている潜在魔力量を感じる事が出来、凄さを再度実感していた。
これだけの魔力量があればほとんどの魔導をしよう可能だろうと思う。
『オリビアは大丈夫?』
『なんかふわふわしてる感じがする。』
『分かった、なるべく早く終わらせるよ。』
私とオリビアが身体の主導権を入れ換えられるのはとても便利な能力にも思えるが、これにもかなりのリスクがあり、長時間主導権を入れ換えているとオリビアに主導権を返した時に身体をうまく使えなくなる後遺症が発生してしまうのだ。
だから主導権を切り替えるのは24時間で20分から30分が限界ではないかと予想していた。
安全を見るなら15分以内には主導権を返すのが良いかもしれない。
あと主導権を私に切り替えると左手に魔導書がくっついている感じになり、実際には右手しか自由に使えなくなるのが若干不便な点だろうか。
「時間も無いから一気にけりをつけさせてもらうよ。」
「あなたの身体能力では、この高速回転する魔導金属製の球を対処するのは不可能に近いですから、なにをやっても無駄ですよ。」
「それはどうかな?」
私は右手を風牙に向けると次第に金属製の球はスピードを落としていき、どんどん地面に落ちていった。
「な、何が起きたのですか!?」
「他人の魔力操作を遠隔でやっただけだよ。」
魔導書の時は直接触れなければ他人の魔力操作は不可能だったが、今なら風牙との距離に流れる魔力を伝い操作することも可能だった。
「そ、そんな事は不可能です! 上位個体の一部でも不可能なのに……」
「なら私はその上位個体より更に凄いって事だよ。」
「上位個体より凄い存在など魔導王ゾディア様しか……、まさか?」
「私がそのゾディアだよ。」
「そんな事はあり得ませんよ! 仮に肉体的にゾディア様を継承していたとしても、ゾディア様の精神はもう既にこの世にはありませ……」
バタッ
私は風牙の魔力を使い、意識を吹き飛ばし気絶させることにした。
「いろいろな偶然が重なって復活したんだよ。本当なら君を殺した方が良いんだろうけど、オリビアの身体で殺しはしたくないから記憶だけ消させてもらうよ。」
私は風牙の記憶を操作したあと、身体の主導権をオリビアに返すのがだった。




