風牙 2
オリビアと私は風牙と名乗る謎の男と試練のダンジョン内で遭遇していた。
風牙の強さは圧倒的で、オリビアだけでは勝ち目がないかもしれないほどだった。
「くっ、ダンジョン内だから上位個体との通信も出来ないか……、ならば一旦ダンジョンから出るか。」
「行かせない!」
現在、私は剣に変身したまま風牙の手元にあるので、オリビアは必死に私を取り返そうとしていた。
「私とあなたでは実力差がかなりあるのは分かっているでしょう?」
「そんなのは関係ない!」
「ふむ、あなたはまるで子供の様な感じですね?」
これは私も覚悟を決めないとダメかもしれないな……
『オリビア、この前に話した契約の2段階目は覚えてる?』
『……うん。 でも、あれってゾディアの負担が凄いんでしょ?』
『負担が凄いって言っても所詮は魔導書だから痛みや疲れがあるわけではないから平気だよ。それよりもオリビアにもリスクがあるのが心配だけど、この男に対して無傷で勝つのは無理そうなんだよね。』
『あの内容なら私にとってはリスクじゃないから大丈夫だよ。』
『……そっか、なら今から2段階目の契約をやろう。』
『うん!』
『そしたら、あと3分だけ時間を稼いで。契約の準備に少しの』
私には少し前に新しいスキルを取得する機会があったのだが、それはマスターとの契約の2段階目が出来るというスキルだった。
1段階目はオリビアと初めて会った時にやったリンクを繋ぐ契約だったのだが、2段階目の契約は契約者と半融合するというもので、2段階目以降になると契約を解除することは不可能になる代わりに、オリビアの身体を私が一時的に使用する事が出来るというものだった。
多分だけど、私がオリビアの身体を使えれば大量の魔力を使用した魔導が使えるようになると思っていた。
リスクに関しては、契約解除が出来ない点以外にもいくつかありそうだが、実際にやってみないと分からないという事だった。
「……顔つきが変わりましたね。なにか覚悟を必要とする事をする気ですかね。」
「……」
「なら私も手加減はしないほうが良さそうですね。」
風牙は右手をオリビアの方向に向けると、手のひらに高密度の空気が感知された。
『オリビア、多分見えない空気の弾を撃ってくるから全て避けて! 1発でも食らうと契約の準備が解除されちゃうかもしれない。』
『分かった。』
オリビアは私の話を聞き、眼を閉じて集中する。
「眼を閉じて私の攻撃をかわせると思っているのですか?」
オリビアにはこういう時のために周囲の気配を察知して回避する練習をしていたのだが、成功率は半々という感じだった。
あとは風牙の放つ攻撃速度次第だろうか……




