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風牙

 オリビアは試練のダンジョン内にて風牙と名乗る男と対峙していた。


「魔導書ってなんの事?」

 

「隠しても無駄だよ。魔導の気配が微かだけど君から感じられるんだ。そして君が魔導師ではないのなら魔導書を持っているしかないんだよ。」


「……」


『もう隠すのは無理そうだね。』


『そうかも……』


『なら逆に情報を引き出せないかな?』


『やってみる』

 

「さあ、魔導書を渡してもらおうか。」


「嫌。」


「魔導書を渡してくれれば君には危害を加えないと約束しよう。」


「魔導書を渡して何をするの?」


「それはもちろん魔導書を封印するからですよ。魔導書は人が持つには危険なものなのはわかりますよね?」


「封印なんてさせない!」


 オリビアは剣に変化している私を使い、風牙と名乗る男に斬りかかる。


 しかし、オリビアの攻撃は風牙に当たる前に見えない壁があるかのように止められていた。


 この斬りつけた感覚だと……


 オリビアのスピードに反応出来ていないのに攻撃を防いだのを見ると、風牙の周りには常に空気の様な膜で覆われているみたいだ。


「無駄です。」


「むうっ!」


 今度は連続して角度を変えながら斬りかかるが、全てが風牙に届く事はなかった。


「驚異的な身体能力ですが無駄ですよ。そして私が攻撃をする前に魔導書を渡して下さい。」


「ゾディアは絶対に渡さない!」


「……ゾディア? 君は何故その名前を知っているのかな? ゾディア様の名は歴史から消える様に資料などは全て破棄したはずですよ。」


 風牙は私の名前を聞いた途端、優しい表情から急に険しい表情に変化していた。


 そして先ほどまでは空気の膜により弾いていたオリビアの連撃が膜に触れたら動きを止めてしまった。


「う、動かない……」


「答えなさい、何故ゾディア様の名はしっているのですか!」


 ドゴンッ!


「きゃあ!」


 風牙がオリビアの腹に手を当てたと思ったら、強い衝撃により壁に吹き飛ばされ、その衝撃でオリビアは私を離してしまう。


「早く答えないと次はもっと強い衝撃を与えますよ。それに武器はこちらに……」


 この風牙は身体能力や反射神経が特別凄いことは無さそうだが、身体を覆う空気膜だったり、先ほどの空気圧による攻撃を見る限りオリビアより圧倒的に強いのが分かった。


「この剣から微かですが、魔導の気配がしますね……? この剣はなんですか?」


「返して!」


 オリビアは剣が無いので素手で風牙を殴ろうとするが、その攻撃は全て弾かれていく。


「ま、まさかこの剣が魔導書……? いや、そんな事があるのか? これは私に与えられた権限内の情報では処理できない……、至急上位個体に連絡しなくては……」


 私が魔導書ではなく剣に変身している事にひどく動揺しているみたいだ。


 魔導書の事を詳しく知っているみたいだったから、私が魔導により変身出来る事も分かりそうなものだが、変身出来る事は分からないのは何故だろう?

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