勇者システム
アレスくんは何故か私の転生前を知っている感じの口振りだった。
「なんで知っているの?」
「ん? 魔導王ゾディアの事かい?」
「うん、いろいろな歴史書を読んだけど魔導王ゾディアは一切無かった。」
「まあ、それはそうだろうね。魔導王ゾディアや魔導師に関しての情報は魔族によってほとんど消去されたから残っていないんだよ。」
「魔族が?」
「魔族というよりは魔神が魔族に指示したというのが正しいかな。魔導王ゾディアによって魔神はほとんど抹殺されたから、生き残った魔神は第2の魔導王が誕生するのを恐れたんだろうね。」
「アレスはなんでそんなに詳しいの? 勇者だから?」
「そうだよ。僕には勇者システムがあるから……っと、これは秘密にしておこうかな。 次の魔法計測も楽しみにしているよ。」
そう言いながらアレスは先に魔法計測施設へ向かっていった。
『もう少しゾディアの事を聞きたかったのに……』
『確かに私も記憶喪失部分の情報を知っていたら聞きたかったけど、あまりオリビアの方からは聞かない方が良いかな。』
『どうして?』
『私に関しての情報がほとんど無いのにオリビアがいろいろ聞きたがったりしたら怪しいからね。』
『そうだね……』
私の転生前の記憶は魔導に関するものと勇者や魔族、その他が襲ってきた時のものしかないから、生まれてから青年時や亡くなる時の記憶は一切思い出せていなかったのだが、魔導書に転生してからは知らなくても不便は無いかなぁと思っていた。
しばらく学院の端まで歩くと、急に巨大な施設が見えてきた。
「こちらは魔法計測の他に魔法練習場、教師の為の魔法研究、魔法具管理から魔法具作製などいろいろな事をやっている場所ですが、生徒は勝手に立ち入らないようにしてください。」
「魔法の練習をしたい場合は使えるんですか?」
名前は覚えていないが、可愛い感じの男の子がエサーナ先生に質問していた。
「はい。大丈夫ですが必ず教師同伴になりますので、まずは私に相談してください。私か他の教師が空いていないと使用許可はおりません。ちなみにひとりの教師が担当出来る範囲は3人までですから、ほとんど前もって予約していないと使用は出来ないです。」
「ええっ~」
男の子は魔法の練習を凄くやりたかったのか、がっかりしていた、オリビアやガブエルくんは街の公園で魔法を使っていたけど、男の子も公園で練習すれば良いのではないだろうか?
『なんでオリビアたちみたいに公園で魔法の練習をしないんだろうね?』
『そう言えばそうだね。公園ならすぐなのにね。』
「まあ、ほとんどの人はまず魔法を使う前段階の魔力に認識するところからの練習になるでしょうね。あっ、ちなみにオリビアさんは今回の魔法計測は無くても良いですか?」
「何で?」
「反射神経や球投げの感じで魔法計測をやると結界を破壊してしまうかもしれないからです。クラス対抗戦の時は結界を専門にしている教師が数人いるので良いのですが、今日は私しかいないので結界を強化出来ないのです。」
「私は魔法が使えないよ?」
「えっ?」




