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ランクス

 オリビアは私の魔導により姿を隠しながら襲われている現場に向かっていた。


『襲われている方の人数は28人もいるから、助けるにしても私が全力の支援をするよ。』


『28人って事は襲っているのは人?』


『……そうだった。 オリビアは対人戦の経験がないから手加減が難しいか。』


『手加減も出来るよ?』


『ガブエルくんにしているような完全に手を抜くんじゃなくて、戦えないようにだけするのはかなり難しいんだよ。』


 オリビアの身体能力なら倒すことは出来るかも知れないけど、誤って殺してしまうかもしれない。


 私としては襲撃者達がどうなろうと気にはしないがオリビアにはまだ殺人をして欲しくないと思っていた。


『……そうなんだ。』


『今回は魔力剣ではなくて斬れない魔力棒にして戦おうか。』


『分かった!』


 まあ、棒だろうとオリビアの力で頭を叩けば死んでしまいそうなので魔力棒の周囲に風属性の魔導を使い、衝撃を与える力を付与する事にした。


 現場に到着する頃には3人で戦っていた人達もふたりが倒れて、一番強そうだった人がギリギリ耐えている感じだった。


『オリビア! やっぱり助けよう。 オリビアが相手にダメージを与えてくれたら私が拘束魔導を使うよ。』


『分かった! 手加減、頑張る!』


 オリビアは加速した状態のまま襲撃者の中に突っ込み、魔力棒を振り回す。


 襲撃者は賊みたいなやつらかと思ったら、まあまあ装備はしっかりとした兵士みたいなだったが、身体能力は低いのかオリビアの一撃で簡単に吹き飛ばされていた。


「なっ、黒い鎧の天使様?」


 良く見ると最後まで戦っていた騎士風の全身鎧を着た人はかなりのイケメンだった。


「あなたを助ける。」


「助かる。」


「くそ、天使が加勢に来るなんて聞いてないぞ!」


「なんだ、あの力はっ!?」


「魔法だ! 魔法の集中砲火で倒すんだ!」


 今のオリビアは黒い鎧を着た大人の女性で、遊び心で背中に羽をつけていたのだけど、みんながオリビアを天使と勘違いしているみたいだった。


 ってか本物の天使を見たこと無いのか?


 オリビアと天使を見間違えるなんて失礼なやつらだ!


「私も一緒に戦います!」


「……ひとりでいい。 気にしながら戦うのは難しい。」


「わ、分かりました。」




 それからオリビアが襲撃者を半分位倒したところで仲間を残して逃げていってしまった。


 倒した襲撃者は私が拘束魔導によりしっかりと身動きが出来ないように大地に縛り付けておいた。


「終わった。」


「ありがとうございます。 私はランクス・グラスと言います。」


 グラス?

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