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クリスマス 特別編

 私はオリビアへのサプライズでクリスマスというものを実行しようと考えていた。


 クリスマスというのは異世界の勇者が持ち込んだ風習で、異世界の偉い人の誕生日を祝うのが始まりらしいけど、勇者が広めたのは赤い格好で鶏肉とケーキを食べるというものだった。


 料理を作るの自体は得意だから問題ないのだけど大きな問題がひとつあった。


 それは、食材を買うお金が私には無いという事だった。


 鶏肉ならば街の外にいる野生の鳥を倒せば良いのだけど、ケーキとなると難易度がはねあがる。


 欲しい食材は卵、砂糖、クリーム、小麦粉だ。


 私はどうしようか迷いながらも分身体を出して、値段調査もあり、街中を歩いていた。


 一応、クリスマスとされる日まではあと3日か……


 ……助けてくれ。


 ん?


 微かに助けてって声が聞こえ、その中で体力が低いもの若しくは倒れている人がいないかを探索魔導する。


 結果は該当者ゼロ……


 あれ?


 オカシイナ


 私の集音性能なら半径10m以内には居るとおもったんだけどな……


 私が歩いていたのは大通りだったが、近くの小道に入ってみると赤い服を着たおじいちゃんが倒れていた。


「おじいちゃん大丈夫?」


 私はなんで探索魔導に引っ掛からなかったのにと疑問に思いながらも回復魔導をおじいちゃんにかける。


 あれ?


 回復魔導に効果がないぞ?


 回復魔導は生命体なら必ず何かしらの反応が私にかえってくるのだけど、それが無いって事はこのおじいちゃんは生命体では無いという事になる。


「ちょっと服を脱がすよ」


 私は反応の無いおじいちゃんを無視して服を脱がしてみると、そこには機械がびっしりと詰まっていた。


 そして心臓部分には巨大な魔石と呼ばれる石が内臓されている。


 なるほど、このおじいちゃんは魔法人形なのか……


 しかし、何で遥か昔に禁忌とされて製造中止になったはずの魔法人形がこんなところに倒れているんだ?


 もしかして、現代では禁忌ではないのか?


 それならば魔法人形が倒れているのも納得出来るな。


 見た感じ魔法人形が動かなくなった原因は魔石の魔力がゼロになったからみたいだから、私はとりあえず魔力をチャージしてみる。


 しかし、この魔法人形は……


「魔法人形サンタクロースは再起動します……」


 何とか再起動するみたいだな。


「……むっ、わしはまだ動けるのか?」


「私が一時的にあなたの魔力を回復させたからね」


 おじいちゃんは私の姿を見るなり驚愕の表情をする。


「あ、あなたはゾディア様!?」


「えっ?」


「まだ生きておられたのですね……」


「私を知ってるの?」


「知ってるも何も、わしはゾディア様に造られた魔法人形、サンタクロースです。覚えていませんか?」


「悪いけど、覚えてないな……。 私は魔導書に転生していてね……」


 私はサンタクロースに転生してからの事を簡単に説明し、転生の際に記憶もかなり失くなっているのを話した。


「そうだったのですね。わしはゾディア様から子供達の夢を叶える為に造られた魔法人形の内の一体なのです」


「でも魔法人形って禁忌指定されて全て破壊されなかったっけ?」


「ゾディア様の造る魔法人形は普通のとは違い、探索に引っ掛からず、半永久的に稼働するよう造られたので天使ごときに破壊なんてされません」


「あっ、そうなんだ」


「しかし、わしはそろそろ限界が近いです」


「うん、魔石もそうだけどパーツのほとんどが限界を超えているよ」


「ですが最後にゾディア様と会えて嬉しかったです」


 そしてサンタクロースはオリビアの為にプレゼントを用意してくれると言ってくれたので、ケーキやクリスマスチキン用の食材だけ欲しいと伝えた。


「食材だけで良いのですか?」


「うん、今の私には食材を買うお金すら無いからね」


「でしたら……」


「ああ、お金はいらないよ。不自由ってのも楽しいもんだからさ」


「わかりました。それでは明日にでも指定された食を用意しておきます」


「うん、ありがとうね」


 こうして私はオリビアへのクリスマスプレゼントをするための食材をゲットしたのだった。

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