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ようこそ魔力至上主義の教室へ(教室の案内だけ)

こんにちは、綾瀬優です。(。・ω・)ノ

長くなるかもしれないと前回書いてましたが、そんな事はなかったです。

どうぞごゆるりとしていって下さいな♪



「ここがミーナ達のクラスなのか…?」



 俺は教室の前で立ち止まりミーナに問いかけた。俺たち以外に誰もいないのでとても静かだ。



「はい、そうですよ。私達のクラスはSクラスと言って、他にもAクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラス、Eクラスという風に別れています」


「そうなのか……ちなみに何かを基準に別れてたりするのか?」



 こういうゲームとかでもよく使われるやり方は大抵、何かを基準にしている。



「ええ、これらのクラスは魔力量の違いでわけられています。Sクラスが一番上、Eクラスが一番下となっていて、魔力量が多ければ多いほどAクラスやSクラスに……魔力量が少ないとDクラスやEクラスに別けられるという感じですね…」


「なるほど……魔力量で別れていたのか…」



 ミーナの説明に俺は一応納得する。



「ちなみにこの制服は学年はもちろん、クラスごとにも微妙にデザインが変わってるんですよ。…私達Sクラスの生徒は制服に刺繍(ししゅう)されている薔薇(ばら)が青色と虹色なんです」



 そう言ってミーナはくるりと回ってみせる。確かに制服には、背中の方に大きく二つの薔薇がデザインされており、その色は青と虹色に染色されている。



(確か青薔薇の花言葉は《神の祝福》で、虹色は《無限の可能性》だったかな……。この制服のデザインを決めた人はなかなか洒落(しゃれ)たことをする……)



 そんな事を思った俺は小さく笑った。まぁ、この世界に花言葉という概念があるのかすら分からないけど…。例えあったとしても意味が違うかもしれないし。


 そしてその制服を見た俺は、確かミーナとアルティナってSクラスだったなと先程の会話を思い出した。



「やっぱりミーナとアルティナって実は凄い人だったり?」


「いえ、そんなことは…」


「あるだろう…」



 謙遜するミーナにアルティナがツッコミを入れた。まぁ、アルティナの言っていることは事実だしな。ミーナは照れたのか顔を伏せる。可愛い。そんな様子のミーナにアルティナは「全く…謙遜し過ぎなんだから……」と呆れたように言った。


 俺は教室の中も気になるので扉を開けて入った。教卓の後ろには大きな黒板があり、その前にはずらりと半円状の机が、中央にある階段の一定の段差ごとに並んでいる。その構造は、まさに大学の教室を連想させる。



「教室を見た感想はどうでしたか?」


「…まるで大学の教室だな」


「だいがく…?」



 俺の後ろから感想を聞いてきたミーナに俺は素直に答えた。大学はこの世界にないのか、ミーナは頭に疑問符を浮かべていた。



「うん、教室はいいかな。もう十分見たし」



 俺はそう言うと教室を出る。それに続いてミーナとアルティナも教室から出てきた。



「じゃあ、次は――――」



 と、ミーナ言いかけた時に、俺は複数人の靴音と気配を察知した。



「あら、こんなところで何をしているんですの?」



 俺は声がした方へと視線を向けると、そこには数人の女子生徒がいた。声を掛けてきた生徒はその先頭に立っており、多分リーダー的存在なんだろうなと推測する。


 輝くような金髪碧眼(へきがん)にミーナと同じ制服を着ている。顔は少しムッとしていて不機嫌そうである。制服が同じということはミーナ達のクラスメイトなのだろう。



「ロザリエットさん……」



 ミーナの表情が少しばかり暗くなる。嫌そうな顔はしていないけど苦手という感じだ。



「誰…?」



 俺はアルティナへ問い掛けた。すると、アルティナは少し声を潜めて答えてくれた。



「彼女はロザリエット・ベルファスト…。五大貴族の一つ、ベルファスト家の令嬢であり、その名に恥じぬ才能を持っている。そして戦闘技術では他者を圧倒するトップクラスの天才だ…」



 アルティナが丁寧に説明してくれるが、彼女はどこか心配そうにミーナを見つめていた。俺は視線を戻し、ミーナとロザリエットを見る。


 

「いえ、私は……特に何もしていませんよ」


「あら、それは随分(ずいぶん)とお暇なんですね。少しは魔法を使えるように努力したらどうなんですの?」


「…………………」



 ロザリエットはミーナを挑発する。周りの取り巻きの達もクスクスと小さく笑う。それでもミーナが何も言い返さず沈黙したのがいけなかったのか、ロザリエットは余計に機嫌を悪くした。


 そしてアルティナの後ろで話を聞いていた俺は、ロザリエットの言葉からなんとなく事情を察した。



(俺が召喚された時に魔法は一度も使えなかったって言ってたな……。ん?魔法は使えないのにSクラスにいるってことは……あー、なるほど。そういうことか…)



 パズルのピースが当てはまっていく感覚。今までの会話から考えると確実に繋がっていく。


 そんな俺の様子に気付く事なく(俺自体が気付かれてないかもしれない)、ロザリエットは捲し立てた。



「だいたい、何故魔法も使えないような貴女がエリートクラスであるSクラスにいるんですの?魔力量が多いというだけでこの教室に居座っている貴女を見ているだけでわたくしはとても腹立たしいですわ…!」


「……………………」



 やはりそうだったか。ミーナがSクラスにいる理由……魔法は使えなくとも魔力量が多ければSクラスに配属される。ロザリエットはそれが気に入らないのだろう。


「何の役にも立たない貴女はご自身の家に帰られてはどうですか?貴女がこの教室……いえ、この学院からいなくなっても誰も気には止めないというのに……。そもそも、貴女は―――――」


「その辺で止めてもらえないか?」



 少し重さの感じる声音でアルティナは、ロザリエットの話を無理やり(さえぎ)った。話している途中で遮られたのが(しゃく)に触ったのか、ロザリエットはアルティナをキッと鋭い目で睨む。



「騎士侯爵(こうしゃく)家の分際でわたくしに意見するというんですの?」


「私の父上は王家直属の親衛隊隊長でな…。王に、今までの出来事を父上にそれとなく報告させれば問題視くらいはされるんじゃないか?」



 アルティナがそう言って睨み返すと、ロザリエット「くっ…!」と苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。



「………っ!…行きますわよ……!」



 そう言うとロザリエットは取り巻き達を連れて通りすぎて行った。通りすぎる時、俺の存在に気が付いたのか不審な目を向けていたが、やがてどうでもいいというように歩き去って行った。



「ミーナ、大丈夫か?」


「…ええ。ありがとう、アルティナ」



 ミーナは感謝の言葉を述べながら微笑む。その表情に先程までの暗さは感じなかった。



「くくく……それよりも格好よかったじゃんアルティナ…」


「ち、茶化すんじゃない…!」


「あたっ…!」



 俺が(ひじ)でアルティナを軽くつつきながら茶化すと、アルティナは恥ずかしそうに顔を背けて俺の頭に拳を落とした。そんな俺とアルティナのやり取りを微笑しながらミーナは楽しそうに見ていた。


 それにしても、アルティナの拳……。加減はしてくれているのだろうがなんせレベル1なんでかなり痛い。今のでHPが一割くらいもってかれた気がする。



「さて、次は学生寮……と言いたいところだが、止めておいた方がよさそうだな」



 アルティナが神妙な面持ちで言う。ミーナもそれに同意なのか反対しない。



「なんで?」



 俺は理由がいまいち分からずつい、聞いてしまった。



「マナはここの生徒ではないだろう?学院の生徒でもない者が学生寮にでも入れば間違いなく不審者扱いされて面倒な事になるだろうな」



 アルティナは言うが、そこは俺でも分かる。俺はアルティナが言っている事とは別に、疑問に思っているところを聞いた。



「いや、そこは俺でも分かる。でもミーナとアルティナがいれば大丈夫なんじゃないの?」



 俺の質問にミーナとアルティナは「あー……」と納得したように声を揃えた。俺は頭に疑問符を浮かべて小首を傾げた。



「今までに召喚獣を召喚する魔法陣で人間が召喚されたことは前代未聞ですから…」


「だからこそ、私達が言っても周りは信じてはくれないさ」



 信じてもらえない……か。それも無理はないかもしれない。今までに一度も魔法が使えなかった生徒が魔法を使い、更には召喚獣ではなく人間を召喚するという前代未聞の出来事を起こしたのだ。信じる方が圧倒的に少ないだろう。



「困ったな……それなら今後の生活に支障が出るかもしれない」


「あの、一ついいですか…?」



 俺が今後の生活と対策などを考えているとミーナが不安そうな顔で話し掛けてきた。



「…?いいよ、一体どうしたんだ…?」



 俺が承諾するとミーナは慎重に、言葉を選ぶように話し始めた。



「マナさんは……そうやって今後の事を考えていますけど、元の世界に帰りたいとは思わないんですか…?今までマナさんを見てきましたけどそういう風には見えなかったので…」



 その質問はアルティナも思っていたことなのか軽く頷いている。



「えいっ」



 俺は小さく溜め息を吐くと、ミーナの前まで歩いて頭を軽くチョップした。



「あたっ……」



 ミーナはチョップされると思わなかったのか、(はと)が豆鉄砲をくらった様な顔をしている。俺はそんな様子をお構い無しにチョップした部分にポンと手を乗せて優しく撫でた。


 さすがに背伸びすることはないが、もう少し身長が欲しいです。頭を撫でるのに手を上に挙げなきゃいけないのは不恰好なので…。



「俺は元の世界に帰りたいとは思ってねーよ。元の世界には誰も待ってくれている人はいないし」



 俺はかつて幸せだった過去に想いを馳せながら、ミーナ達に向かって笑ってみせる。



「だから気にするな。俺はこの世界で生きていく方が退屈しなさそうだと思ってるし。むしろせっかく二人に会えたのに別れるのは寂しいだろ?」



 ちょっと格好付け過ぎたかな……?俺はそんな事を思いながらミーナを見る。ミーナは俺の言葉にキョトンとしていたが、やがて嬉しさを(こら)えきれないといったように「はいっ…!」と満面の笑みで頷いた。



「それで、実際どうする?」


「そうだな……」



 アルティナが真面目な顔つきになり、俺たちは気を引き締める。今のところ解決策がなく、どうしようかとうんうんと(うな)っている。



「それなら私に任せてもらおう…!」



 突如として聞こえてきた声に俺たちは驚き、辺りをキョロキョロと見渡す。しかも聞こえてきた声はなんだか最近聞いたことあるような声なので、とても嫌な予感がする。



「私はここにいるぞ」



 その言葉を聞いた瞬間、ズガンッ!!と、何かを蹴破(けやぶ)るような音が上から聞こえたので俺たちは天井へと視線を向けた。



「「「なっ…!?」」」



 上を見上げた俺たちは驚きのあまり言葉を詰まらせる。


 なんと天井の一部が外れており、そこから見慣れた人物が顔を覗かせていたからだ。



「「が、学院長…!」」



 信じられないといった様子でミーナとアルティナがその人物の名を呼んだ。この時ばかりは俺も、キャリアスさんのダイナミック登場に唖然(あぜん)とした。



もう少し話がスムーズに進むように努力したいです。(考えなしの無鉄砲ですが…)

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