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こんな展開は初めてだ…!

大体このくらいの量で書きたいと思ってます。マイペースにやっていくので次回はいつ頃投稿するのかは未定です。



 真っ暗な視界の中、少し寒さを感じた俺はうっすらと目を開ける。そこには石畳の床とぼんやりと光る幾何学的(きかがくてき)な模様がある。



(あれ…? ここはどこだ…??)



 疑問に思い横たわっていた身体を起き上がらせる。


 周りを見渡すと後ろには古めかしい祭壇のようなものがあり、前を向くとローブを着た一人の美少女が祈るような姿勢でこちら見て固まっている。少し幼さの残る顔立ちに青みがかった長髪、くりっとした水晶のような瞳。出ているところは出ているモデルのような体型である。


 そして、その後ろにはもう一人、ポニーテールの少女が壁に背中を預けてこちらを見ている。整った顔立ちに燃えるような赤い髪と瞳。鍛えられているであろうスリムな体型だ。こちらもローブを来ているが帯剣(たいけん)している。



(え…!? 何? どういう状況なんだ…!?)



 あまりにも突然の状況に頭が混乱する。確か俺は大決戦イベントの報酬を貰ったあとログアウトしたはず…寝た記憶はないが普通ならベットの上にいたりするものだと思うのだが…現在は石畳で出来た床の上である。



「………………………した………」



 目の前にいる青髪の美少女がボソリと何かを言った。聞きそびれた俺は耳を澄ませて聞こうとした次の瞬間…



「やりましたっ!!やっと私も召喚獣を呼ぶことが出来ましたっ!」



 と、いきなり大声で叫ぶので心臓が止まりそうになった。ビックリするわ…


 青髪の美少女は後ろで背中を預けていた少女の方へ行くと嬉しそうにしながら両手を広げて少女を抱き締めた。赤髪の少女も「ああ、良くやったわ」と言って青髪の美少女を抱き締め返している。



(…えぇ? ナニコレ?)



 俺は一人悩むも答えは出ない。当たり前か…


 数分後…やっと落ち着いたのか抱き締め合っていた二人は手を放し、今度は俺の方へと向き直る。



「それにしても人型の召喚獣か…今までに見たことも聞いたこともないぞ…」


「ええ、それは私も同じです」



(召喚獣…? 一体何の話だ…?)



 二人の少女は何やらブツブツと話し合っている。俺は俺で二人の会話から出てきた単語を考えている。


 召喚獣…召喚した者に(つか)える魔物のこと。召喚者によって召喚され従魔(じゅうま)の首輪を()められるか、奴隷紋(どれいもん)を刻まれる。


 二つはそれぞれ効果が違い、従魔の首輪は知性の低い魔物につけて全ての権限を召喚者が持つことになる。奴隷紋の場合は知性の高い魔物に刻み、ある程度の権限を魔物が持つことが出来る。尚、知性の高い魔物は上位のものとされ、これを契約という。


 俺の知っている知識は大体このくらいのものだ。まぁ、その知識もMMORPGアルザストルーナが元なのだが。もし、その知識が正しければ目の前にいる青髪の美少女は召喚者であり、召喚術師になる。


 しかもよく考えれば魔法陣の上にいる俺は召喚された召喚獣ということになり、知性が高いので奴隷紋を刻まれることになるのだが……やめよう、これ以上は考えたくない。


 そんな事を考えているとこちらを見ていた青髪の美少女が話し掛けてきた。



「あの、私が言っている言葉は分かりますか?」


「ああ、問題ないぞ」


「「ッッ!?」」



 返事をしたら驚かれた。いや、俺がその反応に驚いてるんだが…



「召喚獣が…(しゃべ)った…」


「人の言葉を理解する召喚獣は高位の存在と知られているが…まさか言葉を理解するだけでなく発音出来るとは驚いた…」



 二人は(いぶか)しげに見ている。いや、そんな珍生物でも見るような目はやめてくれませんかね…?非常に落ち着かないのですが…それに俺は魔物ではなく人間ですし。



「君、名前はあるか?」



 赤髪の少女がこちらへ歩いて来ると問い掛けきた。俺はコクリと首を縦に振り肯定する。



「でしたら…あの、お名前を教えてください」


夜刀神(やとがみ)真奈(まな)だ」


「ヤトガミ…?」


「マナ…?」


「ああ、ヤトガミが名字でマナが名前だ」



 俺の名前を聞いて二人とも不思議そうな顔をしている。



「それで、君たちは?」



 今度はこちらが問うと素直に答えてくれた。



「私の名はアルティナ・ランデストだ」


「それで、こっちはミーナ・クロスフィア…見ての通り大人しい性格の美少女だ」



 赤髪の少女…もといアルティナは青髪の美少女ミーナを紹介した。そして紹介ついでに美少女と言って誇らしげにしている。


 それには俺も同感なので特に何も言わない。隣にいるミーナが恥ずかしそうにしながらアルティナを(にら)んでいる。アルティナはゴホンとわざとらしく咳をすると真面目な顔つきになった。



「さて、君はミーナに召喚されたと自覚はあるかい?」


「え、うん、まぁ…」



 いきなりアルティナが顔を近づけて聞いてきたのでちょっとしどろもどろになりながら、曖昧な返事をするとミーナがクスリと小さく笑った。その表情はとても可愛らしい。


 少しミーナの表情に見惚れているとアルティナが俺を見て苦笑いすると話を続けた。



「君…いや、ヤトガミの事について色々と気になるところはあるが、まずは奴隷紋をヤトガミの身体に刻むのだが要望があれば身体の何処にでも刻むので指定して欲しい」


「なっ!? ち、ちょっと待ってくれっ!」



 いきなり奴隷紋を刻むとか言われたので俺は慌てて待ったをかけた。なんとなく予想はしていたが本当にやるとなると慌てたりする。混乱するのも無理はない。第一、俺は奴隷になるつもりはない。そんな俺の考えを読むようにアルティナが口を開ける。



「言っておくけど召喚獣は必ず従魔の首輪を嵌めるか奴隷紋を刻むかしなければならい。もし、逃亡なんてしたら冒険者ギルド本部から各国へと討伐依頼が出され、四六時中冒険者などに追いかけ回されることになるがそれでもいいのか?」


「いえ、全力でお断りさせていただきます!」



 アルティナから逃亡した後の末路を聞いて俺はビシッと姿勢を正して逃亡を諦めた。指名手配なんてさすがにされたくないし、四六時中襲われないか警戒しなければならないので精神的にもかなりきついだろう。そんなことはごめんである。



「だったら私のパートナー(奴隷)になって下さい!」



 ミーナが目を輝かせたて俺へと懇願してくる。その可愛いらしい表情に耐えながらも俺は何とか他の方法を探すがいい案が思いつかない。



「あの…悪いようには絶対しません。ちゃんとした生活と安全を私が保証しますっ!」



 思い悩んでいる俺を見かねたのかミーナはそんなことを言った。例え召喚獣(俺は人間だが)でも相手を気遣える優しさと器の広さを持っていることに少し感動する。今の俺にはミーナが天使に見える…!(錯覚)



「ちゃんと餌もあげますからっ!」


「俺は餌付けされるのかっ!?」



 せっかく感動していたのに今のセリフで台無しである。これでは召喚獣ではなくただのニートじゃん…



「んで、何処に奴隷紋を刻むんだ?」


「奴隷は確定事項なんですね…」


「でなきゃ悲惨な末路を辿(たど)ることになるぞ…?」


「それは本当に勘弁して欲しいです…」



 苦笑いをしながら俺は諦めることにした。すぐに諦められるのも一種の才能だと誰かが言ってた気がするし。悪いようにはしないとミーナは言ってる…ここは信じるしかないようだ。


 俺は何処に奴隷紋を刻んでもらうか悩む。背中…?は微妙だな…だったら胸…はないな。女の子に見られるのは恥ずかし過ぎるし…だったら手の甲が妥当かな…利き手ではない左手の甲にするかな…



「左手の甲でお願いします…」


「ああ、分かった」



 俺はアルティナの前に左手の甲を差し出す。



「ミーナ、こっちに来てくれ」


「分かりました」



 アルティナはミーナを呼ぶと小さなナイフを渡した。



「それで何するんだ?」


「奴隷紋を刻むには召喚者の血が必要なんですよ」


「へぇ、そうなんだ。初めて知った…」



 やはり所詮はゲームやアニメの知識。何でもその通りという訳ではないようだ。


 ミーナは渡されたナイフで自分の親指の表面を軽く切る。そこから少量の血が出てくるのを確認すると俺の左手の甲に血をつけ、次に魔法陣へ血を一滴落とす。


 すると、ぼんやりと光っていた幾何学的模様の魔法陣は急に強烈な光を発して俺の左手の甲…正確には左手の甲についた血に集まり、血が紋様へと変化していった。紋様が出来る時に痛みはなかったのは少し驚いた。やはり小説やアニメとは違うんだなと再認識した。



「はい、これで終わりました」



 ミーナがそう言うと急速に光はやみ、俺の左手の甲には綺麗な赤い奴隷紋が刻まれている。



「やってしまった……」


「仕方ないさ。呼ばれてしまってはどうすることも出来ないからな」


「それは…分かるけど…」



 うーん、なんとも言えない感情が俺の中で渦巻く。これしか道がなかったとはいえ、本当にこれであっていたのだろうか………と。



「遂に…私も召喚魔法を使うことが出来るのですね…!」


「ふふっ、それは良かったなミーナ」



 なんかミーナがプルプルと震え感動している。それを優しい目でアルティナは見守っている。俺は聞きたい事がいくつかあるので聞いてみることにする。



「なぁ、召喚獣を召喚する事はそんなに凄いことなのか?」


「いや、召喚者なんて凄くもないし、私たちが通う魔法学院では普通にいるぞ?」


「じゃあ、何でそんなに感動してるんだ…?」



 アルティナはミーナを優しく撫でながら俺の質問に答えてくれた。



「ミーナは召喚魔法を使っても今までに成功したことがなかったんだ…」


「そうなのか?」



 俺はミーナの方へ視線を向けて尋ねると、ミーナは恥ずかしそうにコクリと小さく首を縦に振った。どうやら事実らしい。



「原因は分からないが、初級の召喚魔法すら出来ず色々と悔しい思いをしていたんだ…」


「そうか…」


「でも、やっと召喚魔法が成功したんですし…大丈夫だと思います……」


「だったらいいんだけど……」



 ミーナが笑顔で答えるが本当にそうだろうか…?


 大体ではあるがミーナの事情を把握する。人間諦めの悪い生き物だからなぁ…もし、ミーナが成功しても何かしら文句を言ってきたりする人がいるかもしれない。まぁ、いないに越したことはないんだけどね。



「それにしても人型とはいえ、まさか()()()が召喚されるとは思わなかったな」


「………………………………………………………………は?」



 アルティナの何気ない言葉に俺の思考は一瞬で停止した。いや、女の子?一体誰のことだろうか…?



「ええ、私も()()()が召喚されるなんて思いもよらなかったです…」


 

 ミーナまでアルティナに同感だと言わんばかりの様子だ。心なしか実に嫌な予感がする。



(まさか…二人とも盛大な勘違いをしているのでは……?)



 そう思った瞬間、俺は今すぐにでもその誤解を解かなければならない。このままではいずれ大惨事間違いなしである。



「一応、聞くけどその女の子とは一体誰のことだ…?」


「…………? 何を言っている? 召喚された女の子なんてお前しかいないだろ…?」



 ちっがーーーーーーーーーーーーーうッッ!!


 俺は心の中で頭を抱えて盛大に叫んだ。アルティナが何言ってるんだこいつ…?みたいな目で俺を見ている。やはりと言うべきかミーナも不思議そうにしている。



「ほら、どう見てもお前は女の子だろ?そういう顔つきしてるし」



 アルティナがローブの内ポケットから取り出した手鏡を俺に向ける。


 その中に(うつ)っているのは腰まで伸びた黒髪と幼さの残る顔つきにくりっとした漆黒の瞳、背丈は小さく何処からどう見ても見た目だけは女の子である。



「いやいや、確かにこんな姿だけど俺は(れっき)とした男だぞ…?」


「「……………え?」」



 今度はアルティナとミーナが声をハモらせて固まってしまった。あの、そんな信じられないというような顔をしないでくれませんかね…?この姿で生きてきた今までの人生を否定された気がしてならないのですが…


 しばらくすると固まっていた二人は再起動したが、様子が変だ。



「ヤ、ヤトガミも、嘘がへ、下手だなぁ…あはは」


「そ、そうですよねっ!…も、もう! 冗談だったんですか…!」


「いや、嘘でも冗談でもないからな…?」



 俺が至極(しごく)当然のように答えると嘘や冗談ではないと感じ取ったのか、やはりと言うべきか二人とも信じられないという表情で驚愕(きょうがく)している。



「ど、どどどうしようっ……! アルティナ! わ、私ったら殿方を奴隷に…!」


「お、落ち着けっ! ミーナ! そもそもヤトガミは召喚獣だっ! 人ではなく、獣なのだっ!」


「誰が獣だっ!!」



 俺が男だと知り、ミーナは混乱してそれを少なからず動揺(どうよう)したアルティナが落ち着かせようとして俺を獣だと言う。失礼な。



―――――10分後―――――



「落ち着いたか、二人とも」


「うう、申し訳ないです…」


「すまない、私としたことが…」



 俺は祭壇に腰を掛けて二人を見下ろす。(なお)、ミーナとアルティナは申し訳なさそうに揃って正座をしている。



「さて、俺はミーナの奴隷となった訳だが……はっきり言って俺をどうするつもりなんだ…?」


「どう……ですか…?」



 ミーナが小さく首を(かし)げる。実に可愛い仕草に顔が緩みそうになるが我慢する。



「うーん、特に……何も?」


「そうだな、ミーナは召喚魔法を使えるようになるために練習していたんだし…」


「召喚獣と契約して……。その後は考えてなかったです…。召喚魔法を成功させるのに必死でしたので」


「まさかの用なしっ!?」



 俺は思わず祭壇で(うずくま)る。結構精神的ダメージが大きい。あれ、目から塩水が……



「だったら帰ることは出来ないのか…?」


「召喚獣ならともかく人型は例がないからなんとも言えないな…」



 アルティナが難しそうに顔をしかめる。



「あの、一つ訂正させて欲しいんだけど…?」



 俺が手を挙げて言うと二人は不思議そうにこちらを見る。



「さっきから思ってたんだけど、俺は人型の召喚獣ではなく、歴とした人間なんだけど…?」


「「…………………………………」」


「………おーーーい」



 このパターンは何度目だろうか…呼び掛けてみるも返事がない。ただの(しかばね)のようだ…


 って、そんな事言ってる場合ではない…。



「……っ! まずいな。ますます君を帰せそうにない」


「…………そ、そうですね。召喚獣を呼ぶための魔法陣から人が出てきたということ事態が異常(イレギュラー)ですから。正直、帰す方法の見当もつきません」



 アルティナとミーナは申し訳なさそうに呟く。予想していたとはいえ、帰れないとなるとそれなりに想うところもある。まぁ逆に言えば()()()()程度なんだが。



「取り敢えず、このことは学院長に報告した方がいいだろうな」


「ええ、それもそうですね」



 話を聞く限りどうやら学院長のところへ報告しに行くらしい。なんか色々と面倒な事になりそうな気がするが、俺もついて行った方がいいのかもしれない。いや、ついて行かなきゃ駄目か…。



「ヤトガミも一緒についてきてくれないか?」


「ああ、俺もそのつもりだ…」


「なら決まりですね。いつまでもここにいるわけにはいきませんし…早く行きましょう」



 ミーナはそう言うと部屋の大きな扉を開ける。その後にアルティナがついていく。俺もこの薄暗くて少し不気味な部屋から早く出たいので二人の後へついて行く。



(………はぁ。…これから俺はどうなるのだろうか…?)



 少し不安になるも何故か絶望する気にはならなかった。多分、なんとかなるだろうと馬鹿っぽい事を思ってしまう。そんな俺自身に少し苦笑すると、俺はこの薄暗い部屋から出ていくのだった。



―――神聖歴1258年、こうして全てが始まった。




[おまけ]


作者「あー、なかなかいい展開が思いつかない…」

マナ「それで大丈夫なのか…?」

作者「まぁ、なんとかなるさ…きっと…」

マナ「駄目だこりゃ」

作者「出来ればミーナさんとの会話を増やしたいですね」

マナ「宜しく頼むよ」

作者「文章力がないのが悩みだけどね」

マナ「そこは努力と根性で何とかしてくれ…」

作者「話…続けばいいなぁ…」(死んだ目)

マナ「おーーーーいッッ!!」


続く……………かも?

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