表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/101

~禍根~

団長マスターっ! 」

 亜空間から戻ったのを、真っ先に見つけたのは蘭々だった。皆は全てが終わったと思っている。美子たちは宴の準備に忙しそうだ。朱鷺坂には、この状況に水を差す気にはなれなかった。

「朱鷺坂… 」

「まだ、クロノスでいいぜ。けど、皆は還してやってくれないか? 」

 声を掛けてきたアマテラスに朱鷺坂はそう答えた。アマテラスもまた、全てが終わった訳ではない事を知っているのだろう。

「いいのか? 」

 皆を還す。それは、この世界に自分と同じ世界の人間が居なくなる事を意味する。朱鷺坂がこの世界に来てから、それなりに経ち、こちらの知人も増えただろう。

「お前ぇさん、他の装魔みてぇに、こっちで友人作ってねぇだろ? 」

 どうやらアマテラスは、皆を還した後、朱鷺坂が孤独感に襲われるのではと心配しているようだ。宴の途中からパラパラと還りだす者もいた。

「あんたは知らないだろうけど、ボイス文字テキスト会話チャットしてたって、画面ディスプレイの前には1人で居るんだ。ソロクエストだと思えばどうって事ないさ。」

「その面白そうなクエスト、マルチは出来るの? 」

 振り向くとセレスティアが立っていた。

「最後まで1人で格好つけさせねぇぞ。」

 志田も声を挙げた。

「あんたが喚ばせたんなら、最後まで責任取ってよね。」

「副団長、なんかニュアンスが… 。」

 いつの間にか、実里と蘭々もやって来た。

「もうサマエルは倒したんだ。還れ還れ。」

「無駄よ。貴方が同行を認めないなら、黒の旅団は単独でも動く。極楽の装魔として。」

 仮面を着けた時の都は強気だ。

「この先は、この世界からしたら異世界同士のぶつかり合いだ。拙いと思ったら躊躇せず還れよ。でないと本当に還れなくなるからな。」

 この残ったメンバーは、どうせ説得しても聞く訳がない。朱鷺坂は仕方なく同行を認める事にした。

「クロノス、この世界の危機を任せてすまない。」

 アマテラスも、この先の戦いに天国の軍が役に立たない事を知っていた。かといって天帝が自ら動く訳にも今回ばかりはいかない。

「蘭々、気をつけてね。」

 デュシスは、ただ友の身を案じていた。

「志田… アントリオン… 影狼… なんとお呼びすれば… ともかく無事をお祈りしています。」

「ほら、コロコロ名前を変えるからだ、ウスバカ。」

「だから妙な箇所ところで切るなと… もう、いいっ! 」

 風の旅団の三人、黒の旅団の三人、砂の旅団の一人、それにセレスティアを加えた8人は先に進む事にした。ゲームであれば拡張パッケージの追加イベントというところか。そう単純ではない事は全員が覚悟していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ