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~黒姫士~

「とはいえ、叡智のオモイカネ、九尾の玉藻、軍神スサノオを一人でお相手するのは身が持たないかも? 翔鬼、お手伝いお願い。」

 だが、何事も起きない。

「どうしたの、翔鬼? 返事くらい、なさいっ! 」

「それどこじゃねぇっ! 」

 やっと返ってきた答えは、上空から、それも眠鬼の意図に反したものだった。しかし、上空の様子は眠鬼が張った黒い霧の所為でわからない。

「策士、策に溺れる… って奴? 」

 声と共に船上に一つの人影が降り立った。

「何者? 」

 眠鬼の問いに玉藻が口を開いた。

「あちきの、お目付け役。本に信用あらしまへんのぉ、黒姫士はん。」

「自覚してるみたいだから言っちゃうけど、悪いけど白狐もあんたも怪し過ぎなの。」

「あやかしが怪しきは当たり前ぞな。」

 玉藻と明日香のやり取りを呆れて見ていた眠鬼に明日香が気付いた。

「あ、オバさん初めてだよね。あたしは黒の旅団、黒姫士の明日香。」

「これ、明日香とやら。それ地雷じゃて。」

 オモイカネが声を掛けた時には、もう遅かった。黒い霧がまたも槍のように明日香を襲った。

「何っ? 」

 槍は明日香の鎧を貫けず、まるでガラスのように砕けて霧に戻っていった。

「竜血を浴びてるあたしの鎧は騎士装備の中じゃ物防、魔防共に最強クラス。生半可な攻撃は通らないよ。顕現、斬龍刀っ! 」

「ここは海の上よ? 馬に乗らない騎士なんて歩兵も一緒じゃない。それも足場の不安定な船の上で、そんな自分より大きな剣って。意外と人材不足? 」

「あんたら、報連相が出来ないの? 」

「ほうれん草? 」

 怪訝そうな眠鬼の様子に玉藻も呆れた。翔鬼が来ているという事は多少なりと情報が共有されていても不思議ではない。

「黒姫士はんは騎士は騎士でも竜騎士。何度攻めて来ても勝てんは、その横連携の悪さかねぇ? 」

 明日香が軽々と巨大な斬龍刀を掲げると、雷光が黒い霧に巨大な影を落とし、続いて雷鳴と咆哮が響き渡った。眠鬼はその影の大きさにも驚いたが、その周囲に他の影が無い事に表情を曇らせた。

「あの数の小鬼インプが全滅!? 」

 眠鬼はやっと翔鬼の『それどこじゃねぇ』の意味を理解した。

「黒焔龍、上が片付いたんなら次いくよっ! 」

「イツモナガラ龍使イノ荒イ奴ダ。」

 黒焔龍の愚痴に明日香は苦笑しながら、掲げた刀を持つ手首を翻した。すると黒焔龍は顕現する時のような漆黒の焔ではなく、眩いばかりの純白の炎となって剣の中へと消えていった。

「変幻、聖龍刀っ! 」

 それまで明日香の身の丈よりも巨大だった斬龍刀が普通の刀の大きさになっていた。

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