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~正義の在処~

「陛下、本日の謁見は… 」

 終わりましたと言おうとしたエウノミアの声を遮るように扉が開いた。

「何事ですか、ミハエル。貴方に謁見の予定はないはずです。退室なさい。」

 エウノミアの声にも無視するようにミハエルは進み出た。

「またクロムが召喚を行ったようだな? それも朱鷺坂の仲間なそうじゃないか。何故、極楽の為に召喚をさせない? 」

「今は天国と同盟関係。それに実里は蘭々の仲間でもあるの。問題はないはずです。」

 デュシスの力強い言葉にもミハエルは納得しない。

「そんなに同盟関係が大切ならアマテラスにお輿入れでもされては如何かな? そうすれば、天国と極楽は統一され国の守りは強固となるでしょう。貴女のような飾り物の女王でも少しは民草の役に立てるというもの。」

「冗談じゃない。何でデューシーが、そんな政略結婚みたいな真似しなきゃいけないのよっ! 」

 デュシスの脇に居た蘭々が叫んだ。

「また泥棒猫か。もはや、この王政に期待は持てぬな。この場でアナトレー王朝に終止符を打つとしよう。」

 ミハエルが剣を一閃すると、放たれた光の刃が一直線にデュシスに向かった。

絶対防御アブソリュート・シールドっ!」

 直撃寸前でミハエルの攻撃は防がれた。

「何者だ? 」

風の旅団(ウィンド・レギオン)副団長サブマスターアイギス。あんたの言う朱鷺坂の仲間ってやつさ。」

 実里は目の前に居るのが聖煌将、鎧聖のミハエルと呼ばれる強者である事を知らない。ただ、眼前の凶賊を放ってはおけない、そう思っていた。

「このミハエルの攻撃を止めるか。やはりクロムが召喚する装魔はデュシスの装魔より数段優れているようだな。」

「あんたの眼は節穴かい? 蘭々は役目が違うだけで、あたしと比べても何も劣るところはないよ。」

「そうか? だが、貴様が攻撃を防げても攻撃の手段はあるまい。」

「ちっ… 城内でなければ圧し潰してやるのに… 。」

 ミハエルも実里の言葉の意味を計りかねていた。装魔である以上、何かしらの能力を持っているのは分かる。だが、今の言葉は絶対防御以外に別の能力がある事を示唆している。それも城内では使えないほど強力なものらしい。だが、今は使えないのであれば恐れる事はないと思われた。

「それなら僕が剣となるよ。」

 実里とミハエルの間に一人の影が降り立った。

「月煌将、月読のセレネル。義により、お嬢さん方に助太刀しますよ。」

「義? 今の王朝に何の義があると? 」

「ミハエルの正義は庶民を守る事なんでしょ? でも僕は王家もまた国民だと思うし、国民は王家の打倒なんて望んではいない。むしろ支持されている。」

「支持があろうが民草の為にならない王家など不要。」

「ヘスペリス女王の頃とは正義の在処は変わってしまったんだね。」

 セレネルは剣を構えたが、逆にミハエルは剣を収めた。

「ミハエル? 」

「勘違いをするな。互いに違う道を選んだのだ。いずれ相見《あいまみ》える事になろう。その時まで、その命、預けておく。」

 そう言い残してミハエルは去っていった。

「なんだったの、あいつ? 」

 実里の疑問に誰も答える者は居なかった。

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