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~魔王への道~

「残念ながら、その通りだ。先の特異点が何故、未だに居るのか… 。まぁ、ヘスペリス女王の治世には共に戦った仲だ、答えてやろう。元々我らはアマテラスに天国を追われた堕天の身。その天国とデュシス女王は手を組もうとしている。ならば、そこに我の居場所は無い。」

「それで今度は地獄行き? 」

 まるで鬼炎峰は眼中になさそうだが、セレスティアの深紅のレイピアは確実に鬼炎峰を捉えて離さない。

「少し違うな。今の地獄は光を手にすべく、攻勢を仕掛けている。それは不夜城を陥落し、天国を手中にしようとする強硬派から極楽王城まで陥落させ天国と講和しようとする一派まで様々だ。だが、我が求むるは闇の世界。この世界を闇に染め上げる。」

「あんたの強さは知ってるわ。でも、一人でそんな事、出来ると思ってるの? 」

「いや。」

 そう言ってサマエルは鬼炎峰の脇へ降り立った。

「そこで鬼炎峰、我下僕となれ。ここでセレスティアに討たれたくはなかろう? 」

 地獄の六禍戦といえば泣く子も黙ると言われた存在である。だが、目前の敗北を受け入れる気にはなれなかった。

「わ、わかった… 手を組もう。」

「そうではない。対等ではないのだよ。」

「わ、わかった… 配下になろう… 」

「言葉遣いがなってないが… まぁよかろう。これを授ける。」

 サマエルはそう言いながら鬼炎峰の胸元に何かを押し付けた。いや、埋め込んだと云う方が正しい。その瞬間、見た目は変わらないが、その纏う気配はは遥かに禍々しく巨大になっていた。セレスティアも油断なく身構えていた。

「さすがに判るか、こやつが如何に強くなったか。この二対一は如何に緋眼のセレスティアと云えどキツいぞ? 」

 これがサマエルのハッタリではない事を対峙したセレスティアは感じていた。が、次の瞬間、鬼炎峰目掛けて一本の矢が飛んで来た。それをサマエルが剣で払ったがセレスティアが距離をとるには充分な間となった。

「反応が鈍いな。硬化させた方が早いか。さて、この場に割って入ってきた酔狂は何者か? 」

 サマエルの視線の先には一人の少女が立っていた。

「そうね、その子が緋眼のセレスティアなら、さしずめ碧眼のマリーベルフォンセとでも名乗っておこうかしら。挨拶代わりよ。豪雨矢スコールアローっ!」

 それはまさにレインというレベルではなく、豪雨のように矢がサマエルたちに降り注いだ。それが止んだ時にはセレスティアやマリーベルフォンセはカレンたちを連れて姿を消していた。

「このスキル… 奴も装魔という事か… 。」

 サマエルは自分は無傷だったが隣の傷だらけの鬼炎峰を見て追う事を諦めた。

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