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~黒の旅団(後編)~

「どうやら予定通り、その団長マスターでよさそうだね? 」

 その声に都は慌ててマスクを外した。

「えっと、すいません。助けて頂いたみたいなのに、お名前も伺ってなくて… 」

「助けた… って言うより、これから助けて貰うんだけどね。あたしの名前はクロム。あんたらに合わせて黒夢。この世界の召喚士さ。」

「えっ!? 」

 クロムの言葉に都は顕かに戸惑っていた。

「まぁ、あんたを… 団長マスター召喚ぶのに、かなり魔力を消耗しちまったからね。当分は戦力外だ。魔力の無駄遣いじゃなかった事を祈るよ。」

 なおも戸惑う都の様子を見かねて明日香が口を開いた。

「召喚師は普通、無作為にしか召喚出来ないんだ。実際、あたしが召喚されたのも、たまたまらしいし。で、強い魔法使いを教えろって言うから最強魔法少女の都の話しをしたって訳。」

「ちょっ、ちょっと待って!」

 明日香の説明を聞いた都は、顕かに動揺していた。

「私、別に最強じゃないし、そもそも魔法少女ってゲームの中の話しでしょ!? 」

 そんな都に明日香は軽く人差し指を振った。

「チッチッ。あたいが薪の束、抱えて来たの、見たろ? 見た目は本当のあたいなんだけど、パワースキルはゲームの中並み。まぁ、そうでなけりゃ得物が振るえないんだけどね。」

 そう言って明日香はイタズラっぽくウィンクをした。

「やっと見つけましたよ、クロム。」

 聞き慣れない男の声に明日香は身構えた。

黒衛クロエ黒守クロス黒護くろさね、黒夢と黒雪姫を守って! 」

「私はいいっ! 黒夢を守れっ! 黒姫士くろきしは、そっちの蜥蜴をっ! こ奴の相手は私がするっ! 」

 都は黒いマスクを着けると、そう指示を出した。

「おや、伏竜に気付きましたか。お仲間を信頼するのは、いいですが、か弱い細腕の彼女に竜が倒せますかな? 」

「人を見掛けで判断しちゃいけないよ? 顕現、斬龍刀っ! 一刀両断っ!」

 明日香は、その手の中に自分の背丈より遥かに巨大な太刀を出現させると、軽々と振り下ろして伏竜を切り伏せた。

「な…なんという馬鹿力… 」

「黒姫士の剛力に見とれている場合ではないのではないか? 」

 気付けば男の頭上から黒い雪のような物が舞い落ちて来ていた。

「な、なんだ、この黒い物は。なんだ、この音楽は? 」

 黒衛や黒守は顔を見合わせて首を捻った。

「我が名は黒雪姫。雪の如く舞い落ちるは黒使蝶の鱗粉。その中で聞こえるのは死を告げる告死調の調べ。おとなしく帰るのであれば、今日の処は見逃してやろう。」

「くっ… 今日の処はおとなしく退いてやる…。」

 男はそれだけ言うと姿を消した。


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