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~4人目の装魔~

 柱の陰から姿を現したその青年の出で立ちは、陽子には見慣れたようで見たこともないような妙な感覚に捉えられていた。顔には白い狐の半面、服は平安貴族のようでもあり、現代風でもある。

白狐びゃっこか。行って貰えるかい? 」

「天帝自らが動いたとなれば事が大きくなるだろうしね。いいよ。」

「ちょっと待ったぁっ! 自分で朱鷺坂を名代に立てておきながら、信用出来ないっての? 」

 強い剣幕でアマテラスと白狐の間を割った陽子の耳に別の笑い声が聞こえてきた。

「ほ~っほっほっ。陽子はんは相変わらず短気やのぉ。」

 その姿を見て陽子は身構えた。

「玉藻… 九尾のあんたが、なんで、この世界に居るのよっ? 」

「そりゃ、あちきは主様ぬしさまの使い魔でありんす。」

 そう言って玉藻は白狐の袖を掴んだ。

「これも蘭々の方言みたいに変換にかかるのかしら? ってか、使い魔って事は白狐、あんた特異点? 」

「異世界から、この世界に召喚された者を、そう呼ぶのであれば、特異点という事になるかな。」

 どうも陽子には、この回りくどい言い回しが気に入らない。だが、それ以上に引っ掛かる事がある。

「特異点って三国の主が即位した時にしたに召喚する存在じゃなかったの? 」

 それに答えようとした白狐を制してアマテラスが口を開いた。

「確かに、通常の特異点については、その通りだ。こいつらは…異端者ってのか? 」

「結局、こっちに振るのか? 仕方ないな。我々を召喚んだのは三国の主ではないんだ。昔は、この世界にも召喚師が居たんだ。彼等は一種の召喚石を使う事で国の主でもないのに召喚する事が出来たんだ。」

「だぁ~っ! 面倒な話しは朱鷺坂あいつにしてやって。あたしは面倒臭いのは嫌いなのっ! 」

「どうやら、同行する事には同意頂けたようだね? 」

 やはり陽子には白狐の口調が癇に障る。

「言っとくけど、おかしな真似したら承知しないからねっ! 」

「おやおや、それは怖いな。」

「大丈夫ですよ。一尾の小娘なんか、主様には爪一本、掛けさせやしませんから。」

「へんっ! 狐の価値は尻尾の数で決まるんじゃ無いんだよっ! 」

 陽子と玉藻のやりとりを白狐とアマテラス、そしてイザナは半ば呆れて聞いていた。とにもかくにも、地獄側が仕掛けて来る前に極楽に戻った方がいい事には違いない。白狐が間に入った事もあり、陽子と玉藻は一時休戦する事にした。

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