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【完結】地味でも大冒険!『古の森の黒ドラちゃん』  作者: 古森 遊
1章☆雪をお口に入れるんだ!の巻
8/297

8-ブランはキラキラ

 そんな風にしばらく飛んでいたら、いつの間にか足のはるか下には、ブランのお家のある山の、ふもとが広がっていました。


 ブランの住んでいる山は、ふもとには深い森があり、だんだんと上に行くほど緑が少なくなり、そして雪が積もっていました。


「雪!」


 黒ドラちゃんが叫びます。


「うん、ようこそ、我が家へ。さあ、行こう!」


 ブランが先になってどんどん山の上の白いところを目指して飛んでいきます。山の上の方は吹雪でしたが、ブランの後に続いて飛んでいると、不思議と風も雪もぶつかってきませんでした。


 かなり上の方へ登って(だんだんと頂上に近づいているんだろうなあ)と思っていると白い山にぽっかりと黒い穴が開いているのが見えました。


「あれが、ブランのおうちー?」


 黒ドラちゃんが叫びます。

 叫ばないとなんとなく吹雪に負けそうな気がするからです。


「そうだよー!」


 ブランも叫び返してきました。ぽっかり開いた穴の中に、吸い込まれるようにブランと黒ドラちゃんは入っていきました。


 外から見たら、真っ黒けの穴に見えたブランのおうちの中は、不思議とほんのり明るくて黒ドラちゃんは不思議だなあと思いました。キョロキョロあたりを見回していると「こっち、こっち」とブランが奥の方へ進んでいきます。ほの暗い穴の中でも、ブランのキラキラは良く見えました。それも不思議だなあと黒ドラちゃんは思いました。黒ドラちゃんもお外で陽の光を浴びればキラキラですが、ここでは光りません。


「暗くてもブランはキラキラだね」


 黒ドラちゃんがつぶやくと「僕は輝竜なんだ」とブランが言いました。


「きりゅう?なあに、キラキラしてる竜ってこと?」


「まあ、簡単に言うとそんな感じ」

 ブランが奥へと進みながら答えます。


(じゃあ、簡単じゃないとどうなるのかな?)黒ドラちゃんはちらっと考えましたが、目の前にいきなり広がった光景にびっくりして考えていたことを全部忘れちゃいました。


 ブランのおうちの奥は、キラキラと輝く大小様々な石の塊だらけでした。

 色々な種類があるらしく、透明だったり中に筋が通っていたり、光が閉じ込められているように見えるものもありました。


「すごい!すごい!すごい!きれーい!」

 黒ドラちゃんが興奮して叫びます。


 触ってみたくて手がワキワキしちゃいます。でも、これはきっとブランの宝物に違いありません。

 勝手に触ったらいけないよね?と黒ドラちゃんがブランをみると「ぜひ手に取ってみてよ」と言ってくれました。

 やったー!黒ドラちゃんはまず光が閉じ込められているような石を手に取ってみました。

 黄色い透明な石の中に、キラキラと光が見えています。


「これ、なんで光るのー?」

 黒ドラちゃんが尋ねると、ブランが思いもよらないことを教えてくれました。


「僕の魔力を吸収したんだ」


「へ?」


「ここにある石は、最初はみんなそこらへんにあるただの石なんだけど、僕がここにしまいこんで何度も触ったりしているうちに輝くようになるんだ」


「えー!じゃあ、あの一番大きくてブランの瞳みたいなきれいなやつもそうなの?」

 黒ドラちゃんが指した先には、黒ドラちゃんくらいの大きさのとても綺麗な緑色に光る石がありました。いや、石というよりもう岩って感じです。


「うん、これはね、僕が産まれた時にこの岩穴のフタになっていたんだ。それを開けて外に出るために少しづつ奥に動かしてきたんだ」


「産まれた時!すごいね!その頃からブランの魔力を吸収しているの?」


「そう、初めは普通の岩だったけど、だんだん緑色になってきて、それから段々透き通って輝くようになった」


「はあーっ!なんかものすごいんだね、この岩」


「うん、僕もこの岩だけは特別な感じがしているよ。これだけは譲れないなぁ」


「ゆずる?誰かにあげちゃうの?」


 もったいない!黒ドラちゃんが驚くとブランがまた教えてくれました。


「僕はここにある石を、来る時に出会ったゲルードとか、ああいう魔術師に譲るんだ。そういう約束なんだ」


 あんなに仲が悪そうだったのに、こんなにきれいな石をあげちゃうなんて、ほんとは仲良しさん?





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