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【完結】地味でも大冒険!『古の森の黒ドラちゃん』  作者: 古森 遊
4章☆貝をお耳にあてるんだ!の巻
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14-出ていくよ

ロータは無事に戻れた、と黒ドラちゃんは言いました。


ラウザーはその言葉を聞いて飛びあがって喜びました。

思わずそのまま竜に戻ってしまい、空中で何回もクルクル回転していました。


お祝いムードの中、一人だけ何も知らないゲルードが黒ドラちゃんに声をかけました。


「あの、古竜様、先ほどのアレは?……あの者はどこに消えたのですか?」


黒ドラちゃんが答える前に「もちろん、ナゴーンさ!」とブランが答えました。

「いや、しかし、クマン魔蜂のことを知っていたり、フジュの花のことを知っていたり、どうもおかしいではないですか」

ゲルードも簡単には納得しません。

「そうなか?別におかしくないけど」

ブランはとぼけ通すつもりのようです。

「しかし魔力の揺らぎのこともありますし、このまま何も無かったことにはできません」

ゲルードも退きません。


ブランとゲルードは睨みあいました。


「ブラン、もう良いよ。無事にロータは戻れたんだし、俺、ゲルードに本当のこと話すよ」

ゲルードが、おや?という表情でラウザーを見ます。


「でも、ラウザー……」

ブランが止めようとしましたが、ラウザーは首を振って言いました。


「俺のせいでみんなを巻きこんじゃったんだ。ゲルードには俺から話すよ」


ラウザーは再び人間の姿に変身しました。


「ゲルード、魔力の揺らぎは俺が起こしたんだ。さっきの人間は、その時に違う世界から引き寄せられてきたんだよ」

ゲルードがびっくりして目を見開きました。


「陽竜殿が揺らぎを?しかし、これまで陽竜殿が揺らぎを起こすほどの魔力をお持ちとは存じませんでしたが……」

「うん、俺もまさか揺らぎが起こるとは思ってなかった」

そう言って、ラウザーは淋しくて叫んだら揺らぎが起こったこと、そして海の中からロータが現れたこと、全部話しました。


あ、可愛い娘さん達の話を盗み聞きして、砂漠に逃げ帰った話は省略しましたけどね。


高熱を出してロータが寝込み、ラウザーが看病して元気になって、色々な話をして、お互いの世界が全然違うことがわかったことも話しました。


そして、帰りたいと願うロータの為に、マグノラさんに相談して黒ドラちゃんの魔力なら帰せると教えられて、ブランたちをだましてここに連れてきたということも。


「そのようなこと……。いくら竜の皆様の魔力が優れているとはいえ、揺らぎは解明されていないことの多い事象ですぞ!?」


やはりゲルードに知らせたら、反対されたでしょう。

だから相談できなかったんだよ、とラウザーは言いました。


「絶対に帰してやるって約束したんだ、俺」

ラウザーはニギニギしていた尻尾を手放すと、ゲルードに言いました。


「この国から出て行けって言うなら、出て行くよ。それほどのことをしたっていうのはわかってる」

「そんな!」

ブランと黒ドラちゃんは驚いてラウザーを見ました。


ゲルードはしばらく考え込んでいましたが「これは私だけでは決められません。王にご報告いたします」と言いました。

そして「陽竜殿も早まらないでください。国を出て行って解決、などという方法を王がお選びになるとは思えません」そう続けました。






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