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【第一の被害者:白沢透】


「ネイビス? 僕やめちゃったけど。

 あぁ、事件のこと聞きたいの?


 場所は二問目の近くだね。

 あそこら辺ウロウロしてたら、いきなり後ろから殴られてさ。

 壁にたたきつけられて、ナイフ出されて……。

 いやぁ、情けない話だけど、あれほど真剣に命乞いしたのは初めてだよ。

 カツアゲかと思ったけど、えぇとなんて言うんだっけ?

 あの銀行強盗とかが被る黒い帽子。

 そうそう、目出し帽ってやつを被っててさぁ、本格的じゃん、そういうの、怖いじゃん。

 しかも背高くてガタイ良くってさ。

 絶対アレ、喧嘩慣れてるヤツだぜ。


 だからさ、金ならやるからつって。

 そしたらそいつ、『ゲームをやめろ』とか言ってきてさ。

 僕ぶっちゃけ、何の話か分かんなかったんだけど、『分かった』って返事して。

 そしたらこう……左腕の上のところをかすめるようにして壁にナイフ突き刺して、『ゲームをやめなかったら、今度は刺す』とか耳元で言って脅してきたんだ。

 ちょっと切れちゃったんだぜ、ほら、制服切れちゃってるだろ。

 代えの制服来るまでずっとこれだよ、僕。

 最悪だよな、あいつ。


 ……確かに重傷じゃなくてよかったけどね。


 しかも殴られた時に落ちたメガネをわざわざ拾って、そのまま胸んとこ殴ってきてさ。

 痛いしメガネのフレームは折れるし、本当最悪。

 制服にメガネだぞ、高校生の財布事情分かってんのって話じゃない?

 え? メガネ?

 すぐ新しいの買ったけど?

 ほら、今かけてるこれ。


 壊れたやつ?

 捨ててはいないけど、もう予備としても使えないだろうなぁ。

 ……いや、特に拭いたりしてない、と思うけど。

 あの日から触ってないし。

 借りたい? 別に良いけど、何で?

 え? 『Ripper』の正体が分かるの?

 アハハ、まっさかぁ。ま、別にいいよ、どうせ使わないし。


 他に思いつくこと、かぁ。

 そう言われてもな。

 僕、実は第二問目の場所なんて知らなかったんだよね。

 雰囲気が住宅街だから、あそこら辺だろうなって思って路地裏を巡ってただけなんだよ。

 二人目も同じような場所で襲われたらしいね。

 そういや『Quga』が二人目の被害者の場所は、第二問の場所って言ってたんだっけ?


 あの男……『Ripper』さぁ。

 あいつ、あんなところで何してたんだろうね。


 え? 警察?

 行くわけ無いじゃん。

 コードハント禁止されてんのに、やってるのバレちゃうし。

 僕、枠数少ない推薦狙いだから、内申に響くのヤなんだよね」


---------------------------------------------------------


【第二の被害者:相田誠治】



「なんだよ、お前もしかして『Ripper』の手先とかじゃないだろうな。

 まだ怪我痛ぇのに、また襲われたりしたら嫌なんだけど。


 ……え? 話聞いてこないと殺される? 誰に?

 ……わ、分かったよ。そこまで言うなら教えるって。泣くなよ。

 と言っても、別にこれと言って教えられることなんて、ないんだけどな。


 俺さ、第二問目のあの場所、前から知ってたんだよね。

 昔あそこら辺に住んでて、ゴミ捨て場がちょうどあそこだったの。


 でね、第一問目で出遅れたから、これで遅れ取り戻せるなって思ってさ。

 学校に行きがてら、ちょいちょいっと解いてやろうって思ったら、感動のご対面。

 あんな朝っぱらから、『Ripper』のヤツ張ってやがったのかな。

 格好は、革ジャンに真っ黒の覆面。

 でかかったな、多分一八〇はあったと思うぜ。

 動きに無駄がなかったし、力も強かった。


 後ろからナイフ持って来て、それで振り向きざまに、こう、俺の方に振り下ろしてきたんだ。

 驚いて躓いてケツ打ったけど、今思えばラッキーだったよな。


 それで確か……『ゲームをやめろ』とか言ったな。

 ほら一人目が襲われた後に『Ripper』が掲示板で脅迫文書いてたじゃん?

 だから、あぁこいつが『Ripper』なのか、って思って。


 そしたら腹立ってきてさ。

 俺、こう見えても結構コードハントこなしててさ、何度か賞金も貰ってんだぜ。

 中には不正を働く奴もいるけど、あんな風にしてぶち壊そうとする奴がいるなんてな。


 俺が怯えてると思ってたのか、ナイフ下げたから、思いっきり体当りしてやったんだ。

 それで怯んだ隙に逃げようと思ったんだけど、鞄を思いっきり掴まれ引きずり倒されて……で、これ、このザマ。

 反撃されたのが腹立ったのか、死ねとかクソヤロウとか散々罵りながら、ボコボコに殴ってくれやがってよ。

 右目はまだ腫れ引かなくて見えねぇし、肋骨なんてヒビ入ったんだぜ。

 で、ここ、ほっぺた切られてさ。

 まぁぶっちゃけ、他のところが痛すぎて、それが痛かったかどうかも分からなかったけど。

 傷残ったらどうしてくれるんだろうな。


 ネイビス?

 さすがにやめたよ。

 ダチにもやめろって言っておいた。

 だってそうだろ。

 たかがゲームでこんなん、割に合わねぇよ。


 それに……あんまり言いたかねぇけど、結構マジで怖かったんだよ。

 ゴミみてぇに転がされて、蹴り続けられて、マジで殺されるんじゃないかって思った。

 早く終われってよ。

 ナイフで顔撫でられた時なんか、もう、声も出なかった。

 マジで惨めだぜ、あれ。


 まぁ、そんな感じ。


 鞄? これだけど。

 ……いや、別に拭いたりはしてないと思う……欲しい? なんで?

 持って帰らないと四肢切断?

 お前顔真っ青だぞ、大丈夫か?

 金くれるの?

 まぁ、それなら良いけど。ちょうど欲しいカバンあったし。


 ……あぁ、ありがとよ。

 お前もネイビスやってんなら、せいぜい気をつけろよ。

 最近の雰囲気、ちょっと冗談じゃなくヤバいからさ」


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