仲田ゆうきの真実
第二章【証拠はEの中】
新田がひとり祝勝会をしてから、またまたサブローの無実を証明してから数日後。
いつもと変わらず関口に求愛している ゆうきの姿を見ている新田。
新田が気になるのは関口への求愛行為ではなく、冷蔵庫をいくら探してもないビールだった。
「ゆうき ビールないぞ」
ゆうきは関口への求愛をしながら答えた。
[だって買ってないもん]
「・・・なんで?」
[依頼もないし、お金もないし]
「えー ビール・・・・・・」
ビールが事務所に存在しないことをゆうきに聞かされると、ゆうきが関口に求愛している間に割り込んで新田も関口に求愛を始めた。
「ねぇ~剛ちゃん お金貸してぇ~」
『無理だ』
「そんな冷たくしないでさぁ~ お金持ちの剛ちゃん! お金貸して!」
『無理だ』
「なんだよ!! お前株で儲けているじゃんか!」
「少しくらい いいじゃんか!」
『無理だ』
「っく」
「・・・・・・うわ~~~~~~」
関口に冷たく断られ悔しかったのか、新田は大声を出しながら事務所を飛び出した。
新田が求愛に失敗して飛び出して行っても関係なく、ゆうきは関口に求愛を続けて、関口はゆうきの求愛を無視して、パソコンに打ち込み続けた。
「あ・・・ あの~」
弱弱しい女性の声が事務所を飛び出した新田と入れ違いに事務所のドア越しに聞こえた。
「す すみません」
呼びかけを無視して、求愛を続けるゆうき。
「あ あれ?」
呼びかけに反応がないことに不安に思い、女性はドアノブを回した。
ドアノブを回すと鍵がかかってないのでドアが開いた。
「すみませ~ん え? きゃ!」
ドアを開けて事務所を覗くと、パソコンを操作する男性の足に座り、求愛する女性という光景が目に入った。
女性の悲鳴でやっと ゆうきは関口から離れた。
[チッ]
ゆうきは舌打ちをして、女性を睨みつけながら事務所から出て行った。
「え すみません・・・・・」
睨みつけられて謝る女性。
ゆうきがいなくなり、恐る恐る事務所の中に入った。
「あ・・・ あの!」
事務所にひとり、パソコンを操作している男性に話しかけた。
『・・・・・・』
「すみません?」
『・・・・・・』
「ここ探偵事務所ですよね?」
『・・・・・・』
「あれ? 違います?」
『・・・・・・』
「あれ・・・・?」
『・・・・・・・』
[そうですよ。ここは探偵事務所ですよ]
[なにかご用ですか?]
関口と女性との返ってこない会話のキャッチボールに救世主が現れた。
「え?? あ! こちらの方です?」
[そうです一応ここの社長をやらせて頂いています。名前だけですが]
[関口君 ダメじゃないですか。いくら女性恐怖症だからと言って、大事なお客様なんですから]
社長が仲立ちになって関口を注意すると関口はコクリと頷いた。
「え? でもさっき美人な女性とイチャイチャしてましたけど」
依頼人の女性は疑問をもった。
先程関口とゆうきがイチャイチャしていたことに疑問に思い、つい口に出してしまった。
[女性? あー]
[ゆうきのことかな?]
[ゆうきは私の息子なんですよ]
「息子?」
社長は可笑しなこと言った。
絶世の美女と言っても過言ではない ゆうきのことを息子であると社長は言った。
「え? ? え! え!! え~~~~~」
依頼人の女性が混乱していると、関口に冷たくされた新田が大声で叫びながら走って帰ってきた。
「うわ~~~~~~~~」
「クソ金持ちオタク!! クソオカマ!! どっちか俺にビールを奢れぇ~~~~~」
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