ビール・・・・・
《探偵事務所》
「・・・・・ただいま~」
落ち込みながら帰宅した新田の目にいつもと変わらない光景があった。
「いいかげん あきらめろ ゆうき」
「剛に求愛したって無駄だぜ。剛は三次元には興味がねぇーから」
新田が事務所に着くと、関口 剛ともうひとり女性がいた。
その女性は新田と関口の知り合いで、なぜか関口が座っている足の上に色気たっぷりに座っていた。
[え~ だって剛くん カッコイイんだもん]
[こんなにカッコイイのに彼女もいないなんってもったいない]
女性の名前は仲田ゆうき この事務所の秘書で、絶世の美女である。
『邪魔』
絶世の美女が足の上に座っていても淡々と心境を語った。
[ひどいー]
ゆうきは社長と親子で、昔から新田達から可愛がってもらっていた。
「社長は?」
[知らない~]
「なんで知らないんだよ。お前秘書だろ」
[だっていつも ふら~っていなくなるだもん]
「いつもふら~っとどこに行っているのかねぇー」
「あ 剛さっきサブローの冤罪ついでにマサル見つけたからまたマスターから報酬もらってきたから」
[それはよかった]
新田の後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「え? 社長」
[報酬は現金ですか?]
「え? はい」
[では]
ふら~っといなくなった社長兼大家がふら~っと現れて、社長として報酬を回収するために手を出した。
「いつもいいタイミングで現れやがって」
「・・・・・はい」
新田は社長に聞こえないように悪口を言ってから大人しく報酬を手渡した。
[ゆうき お願いします]
新田の手から社長に渡り、社長から秘書である ゆうきに手渡された。
ビールも報酬も失った新田は素直に落ち込んでいると事務所の廊下を走る音が響いた。
〔新田助けて~〕
大声で事務所の扉を開け、走り込んで来たサブロー。
「ビール!!」
サブローのSOSを無視して、サブローが買って来たビールを回収した。
〔助けてくれよ新田!〕
「もういいよ。お前は冤罪でいいから捕まれ!」
〔そんなこと言うなよ~〕
〔ビール奢るから~〕
「残念。今の手にはもうビールがある!」
新田が待ちに待ったビールを開けたら・・・・・・
「うわ~!!!!」
待ちに待ったビールを開けたら、ここまで走って来たサブロー。もちろんビールも袋の中で走っていた。
新田の意思とは関係なく、ひとり祝勝会状態になった・・・・・・。
そんな悲惨な状態を招いた張本人サブローは、ビールが無くなったこと確認してにやりと笑ってつぶやいた。
「ビール奢るから 助けて」
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