事件解決!?
《数時間後》
〔・・・・・・〕
『・・・』
〔・・・・・・・・〕
『・・・・・・』
〔新田~ 新田~ まだかよ~ 新田~〕
新田の帰りを今か今と待つサブロー。
〔ん~ う~ まだかよ~ ん~〕
『・・・・・・』
サブローがソワソワしているのとは裏腹に酒屋の主人は沈黙を続けている。
〔ん~ ん~ う~〕
〔ん~ う~ んん~〕
『うるさい!』
〔ん! ・・・・・・う~〕
〔・・・・・・・〕
酒屋の主人の一喝でピタリと止まった。
〔・・・・・・〕
沈黙とひきかえに酒屋の外から走る足音が聞こえてきた。
『おっ!』
〔来た~!!〕
「待ったか? サブロー」
〔待ったよ!!!!〕
間髪をいれずに即答したサブロー
「悪かった~ 悪かった」
「でもちゃんと捕まえてきたから」
サブローの心配など関係なく、軽く謝った新田の頬には傷があった。
〔で で で っで 犯人は? 犯人は?〕
新田が軽く謝るのはいつもことのようで、サブローは犯人の詳細を聞いた。
〔ん? って・・・・・犯人は?〕
新田が走ってきた後には誰もいない。
『ほれ見ろ 誰もいないじゃねぇーか』
『やっぱり犯人は・・・・・・ お前だろ!!』
新田の後ろに誰もいないことを確認した酒屋の主人が大声で叫んだ。
「いいや 違う」
「違うよ おっちゃん」
「犯人は いや 犯人じゃない。人じゃなかったんだ」
にこりと笑って後ろに隠していた動物を酒屋の主人とサブローに見せた。
「こいつだ!」
【ニャー】
〔猫・・・・・?〕
『猫?』
「そう 喫茶店のマスターのマサルだよ」
「サブローの動物アレルギーと事件発生時間を照らし合わせると一致していること」
「この地域でペットを飼っているのはマスターだけだと言うこと」
「それほら! マサルの後ろ足みて」
新田がマサルの後ろ足を見せると、マサルの足は赤く染まっていた。
〔え? これ赤ワインか?〕
サブローはマサルの足に付いた赤いしみを嗅いだ。
〔ヘックシュン!〕
〔ダメだ! 猫アレルギーが強過ぎる!!〕
当たり前である。猫の足を直接嗅いだら猫アレルギーのサブローには自殺行為である。
〔ヘックシュン! 大丈夫だ・・・・・・ズル〕
『赤ワインだ』
『たしかにバースデーワインだ』
酒屋の主人は見ただけでわかった。
自分のバースデーワイン間違う訳がない。
『いや~ うちのマサルちゃんがごめんね~』
新田の後ろからマサルの飼い主の喫茶店のマスターが訪れた。
『ごめんね~ 弁償するから許して~』
喫茶店のマスターは軽く謝り、その勢いに酒屋の主人は押されてあっという間に許してしまった。
いや 許すしかなかった・・・・・・。
改めて言うが喫茶店のマスターはオカマではない。
酒屋の主人が簡単に許してしまったので、サブローの冤罪は晴れ、無事探偵事務所に帰ることになった。
《酒屋から探偵事務所へ帰る道》
〔新田~ ありがどう~ ズル〕
涙の感謝ではなく、先程のアレルギー症状で鼻が壊れてしまったために鼻声なだけだ。
「うん」
「てか! 報酬どころじゃなかった・・・・・・」
「ビール・・・・・」
「サブロー お前がビール奢れよ・・・・・・」
事務所にあったビールを飲みそびれたから酒屋での報酬を期待していたが、それどころじゃったことに落ち込む新田。
〔わかった わかった〕
〔新田 本当にありがとう〕
〔じゃあ俺! 新田に感謝を込めて買ってくるから〕
〔よし!!〕
「え? ちょっ ちょっと」
猪突猛進という言葉があるくらいサブローは走ってまた酒屋に走って戻った。
サブローが猪突猛進で走って行く姿を見送る新田。
「・・・・・・帰ろう」
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