パズル開始!
《新田の頭の中》
新田は軸となる真実から自分が気になっていることを整理し始めた。
「サブローが酒を飲めないのは事実だ」
【酒が飲めないサブロー】
サブローはアルコールアレルギーで、顔や全身が真っ赤になり湿疹からの痒み、手のむくみという症状がサブローを襲う。
そんなサブローが酒を盗む理由がない。
金目的なら、素直に現金を盗むだろう。
それにサブローは酒屋の入口で飛び出す影を見ている。
【飛び出してきた影】
サブローしか影を見ていない。
サブローだけの証言だけでは真実とは断定できない。
しかしすれ違ったという証言を仮定すると、また見える景色が違ってくる。
【サブローがすれ違った奴が犯人だと仮定したら】
やはり犯人がサブローでないとしても、金目的なら素直に現金を盗むだろう。
酒屋の主人のバースデーワインを盗む理由があったのだろうか?
そもそも酒であれば、なんでもよかったのだろうか?
それにバースデーワインを割った犯人は、ワインを割ったことで動揺したのか。
なにも盗まないで逃げたのか?
【アレルギー反応】
サブローは複数のアレルギーを所持しているからこそ、アレルギーを反応からどんな原因でアレルギー反応が出たのか。
アレルギー反応が強い症状ほど、詳しくアレルギーを言い当てることができる。
そんなサブローが動物アレルギーだと言うのだから、動物が酒屋にいたのだろう。
けれど酒屋のおっちゃんは動物を飼ったことがない。
これが一番気になる。
新田が冷静に分析し、一つ一つピースとなる推理をしていると、新田の携帯が鳴った。
「おっ! メール」
新田の電話が鳴った。
宛名は関口だった。
「剛からだ」
関口から届いたメールには、とてもシンプルな単語達が並んでいた。
『マスター・依頼・以上』
とてもシンプルな内容のメール。
関口のメールはいつも単語で、感情が伝わらないメールを送る。
しかし、いつもと変わらないメールをもらった新田だが、どうやら最後のピースが見つかったようだ。
「犯人が見つかった」
にやりと笑った新田。
〔本当か!〕
「いや、犯人じゃないか」
〔はぁ!?〕
新田の意味のわからない発言にあきれたサブロー。
「おっちゃん。サブローは犯人じゃないぜ」
「今俺が捕まえて来るから、ちょっと待ってて」
「それまでサブロー預かっておっちゃん」
〔預かるって俺物じゃねぇ~よ。って待ってよ新田~〕
新田がサブローを生け贄にしてこの場を立ち去ろうとしているように見えてひきとめた。
「大丈夫だって! まあ待ってろ」
「おっちゃん サブローよろしく」
『おう』
〔え~ いや え~〕
酒屋の主人の同意のもと、サブローを生け贄に・・・・・・もとい。
酒屋の主人の同意のもと、サブローを預けて事件解決に新田は酒屋を飛び出した。
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