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ふえ

 ふにふにと頬に何かがあたる感触がする。

 うざったいので顔を横に向ける。


 ふにふに。


 ああ、まただ。うざったい。

 ふるふると顔を振る。


 しばらくしてやっぱりまたあの感触が来る。


 ふにふに・・・

 ふにふにふに・・・

 ふにふにふにふにふにふにふに・・・


「ああああああ、しつけぇえええええええええ・・・え?」


 勢い目覚めた俺の目の前には驚いた顔をした女の子がいた。

 どうやらこの女の子が寝ている俺の頬をつついてたらしい。

 女の子をじっと見る。結構整った顔つきをしている。これは可愛い女の子って言っていいんじゃないかな。

 そうだ、待望の可愛い女の子・・・・目玉がクリクリとしてちょこんとあるべき場所に存在する鼻、そして薔薇色の頬。

 そして誰がみてもかわいいと言えるその低い身長・・・。

 うん、女の子は幼女だった。

 お兄さんもねー、あと10年経ってたら君の事ほっとかなかったよー?


  「ねえ、君! どこから来たの!? 近くに街があるの?! ここはどこなの!?」


 俺は女の子に身を乗り出して矢継ぎ早に質問を繰り出していった。


「ふ、ふ・・・・」


「ふ?」


 ふって何だろう。


「ふぇええええええ〜ん!」


 女の子は大粒の涙をこぼしながら泣き出してしまった。

 俺は超焦った。小さな女の子に泣かれるとどうしていいか分からない。

 多分、女の子は驚いたのと俺が怖かったんだろう。こんな森の中に、ぐしょぐしょで泥と燃えかすだらけの汚い男が倒れてて、それが突然迫って来たら泣いちゃってもしょうがないと思う。


「えーん! ふぇぇぇえええええーん!」


 そうこう考えているうちに女の子の泣き声はどんどん大きくなっていく。

 あわわわわ、どーしたらいいんだ!?

 そうだ! 変顔だ! 小さい子には変顔がいいんじゃないか!?


「いない、いないばぁ〜!」


 俺は自分の頬をひっぱたりつねったり、豚鼻にしたり必死に変顔した。その甲斐あってか女の子の泣き声がおさまってきた。


「ぐすん、ぐすっぐすっ」


「よおし! 高い高いだあ〜!」


「!? ・・・きゃきゃ! わぁーい!」


 俺が女の子を持ち上げてぐるんぐるんと回したり持ちあげると、最初は驚いたみたいだけど、完全に泣き止んで笑い声をあげ出した。それを見た俺も釣られて笑出す。


「きゃっきゃははー! わーい! わーい!」


「あはっ、あははは! あはははー! 」


 しっかし、世の親ごさん達は大変だな~。こんな小さな女の子をちょっと持ち上げるだけで、すごく体が怠くなってくるぞ。それに何だ頭がガンガン痛み出して寒気がすごいする。

 

「あははははは・・・は・はは・・・・・」


 ドサッ・・・・


 俺は何とか女の子をそっと地面に下ろすと後は膝から崩れ落ちる様に倒れていった。

 そして女の子が不思議そうに俺を見下ろしているのを最後に意識を手放したのだった。

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