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使いどころを間違えたら大変

 さて、ひとしきりセルフ羞恥プレイで己が心を焼き尽くさんかとした俺はというと・・・


「はぁ〜、空が綺麗だな・・・」


 草むらに寝転がって現実逃避していた。

 幸か不幸か俺がキメキメっで魔法のポーズを練習している時も誰もやってこなければ、神の啓示的なものも一切無かった。本当にぼっちなんだなーと心底思った。

 日は傾き、夕闇が迫っていた。さわさわと冷たい風が頬を撫でる。夜になればきっと冷えるのだろう。洞窟で夜風を防げるのはいいが、布団もないし水も飲めないし本格的にやばくなってきた。

 ため息をついて起き上がる。

 諦めて洞窟に戻ろうかとしたが、最後にもう一回だけ魔法に挑戦してみることにした。

 もうこれがダメだったら明日は服を裂いてでも火おこしの道具を作るべきだし、食糧集めや人がいる集落を探す事もやらなくてはならないだろう。

 水を入れた壺の前にたつ。

 俺は深呼吸をして瞳を閉じた。

 深呼吸をして神経を集中させる。内なる力を強く信じ、体の中に湧き上がる流れを感じようと、体の中に意識を向ける。


  『炎を!』


 燃えたぎる炎を思い浮かべながら強く念じると、下腹から何かがずくりと湧き上がって来るのを感じた。俺はその流れを一旦ぐっとこらえ、腹にためる。そしてそれをこね回す様にして大きな灼熱に練り上げた。脳裏に浮かんだ力持つ言葉を叫ぶのと同時に一気に灼熱を放出する。


「フォイエル!」


 カッと見開いた俺の目の前に巨大な炎が現れた。


「てか、ドイツ語かよ! ドイツ語かよ! ドイツ語かよ!」


  俺が叫んだ言葉は近頃のラノベ等でよく見かけるドイツ語だった。

  俺は己の厨二病に恥ずかし死にしそうになって再び草むらにダイブしようとした。

 ところが、何とである! 巨大すぎる炎が壷の周りどころか先ほど俺が寝転がっていた草むらにも燃え移り周囲を焼き尽くさんかという勢いで燃え広がっていたのだ!


「や、やべぇ・・・」


 俺は必死で井戸の水を何度も何度も汲んではぶち撒けるのを繰り返し、夜通し消火にあたったのであった。


 次の日の朝。


「やっと、消えた・・・ハハ、ハハハ・・・」


 どろっどろでぐしょぬれな体を引きずり乾いた笑い声をあげる俺。朝日が目に染みるぜ・・・。

 そしてホッとした途端、ストンっと腰が抜けてペタンと地面に尻もちをついた。

 何度も何度も桶を運んだせいでプルプルと震える両腕を抱え、俺は力尽きてそのまま地面に倒れこみ深い眠りに落ちていったのであった・・・。

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