ぺっぺっ
いきなり食糧問題にぶち当たる俺、どうしよう。
とりあえず、洞窟内にあった木の実を見る。わざわざ壺にいれてあったって事はだ、うん、これは食えるって事だよな、そうだよな、そう思いたい。
木の実を手にとってじっと眺める。いくつかの種類が混じっているが、その中の細長いタイプの木の実は殻を剥いだらそのまま食べれるはずだ。
取り敢えず、剥いて口にいれる。
ポリポリ・・・
うん、食える。
太い丸っこい木の実はおそらくアク抜きをしないと食えない。
駄目元で丸っこいのも殻を剥いて食ってみる。
ポリポリ・・・
ぺっーぺっー!!!
しっぶー!!!!
やっぱりそのままじゃ食えないか・・・って、あれ? 俺記憶なかったんじゃないっけ? うーん、と頭をひねらすも俺の脳内よくわからん。前の世界で似たようなものがあったんだろう。知識としては色々ある様だが、俺個人の記憶は一切思い出せなかった。
取り敢えず、水欲しい。 口の中の渋みがひどい。
顔をしかめながら周囲を見渡すと 洞窟の入口付近に草に埋れた井戸を見つけた。
井戸用と思われる桶もそのまま放置してあったので、これ幸いと水を汲む。そのままダイレクトに水を飲もうとしたが・・・井戸は放置された為か水に黒いものがたくさん混じっていて、とてもじゃないが飲める気がしない・・・。
俺は洞窟内にあった壷を持ってきて井戸水で洗った。汚いけど洗わんよりはマシ。
ジーパンにTシャツ、その上に長袖を着ている俺はTシャツだけを脱いで壷の上にかけて水を濾すことにした。水は飲めそうだなと思えるぐらいには透明になってきた。まあ、水道の水に比べればまだまだだけど。
だがしかし、やっぱり飲める気がしない。
こんな正◯丸もないところで下痢ったら脱水症状で多分死ぬ。いや、多分じゃない。確実に死ぬ。
異世界に来て即死、そして死因が下痢とか恥ずかしすぎる。
まだ勇者様とか可愛い女の子に呼ばれてもないし、魔王とも戦ってない。それどころか人にすら会ってない。
取り敢えず、水には火を通してみようか・・・。
服の袖を軍手がわりにして草を抜き煮炊きできるようなスペースを作る。そして枯れ草や枯れ枝を集めた。
そして火。てか火か・・・喫煙者でもない俺はライターなんぞ所持してないし、洞窟内にも火が起こせそうな道具は無かったぞ・・・。
火を起こすには、木の棒と板をこすり合わせてあれこれすればいいんだよな・・・。
木の枝を幹から引き裂くように履いでとった比較的な板に近い木と枝を必死にこすり合わせてみることにした。
それから数時間は経ったんだろうか。太陽が真上に来て影が短くなる。真昼になったんだろう。
結論からいうと火はつかなかった。
手で散々板と棒を擦り付けて見たが全く発火する気配もなく、正直疲れただけだった。おそらくもっと効率よく棒を回転させる道具が必要なんだろう。
俺は落胆して、そのまま食べることの出来る木の実をあるだけ食って洞窟でふて寝した。
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