異世界にやってきたんだけどね!?
感想とか誤字脱字とか教えて貰えると嬉しいです。
俺は手のひらを上に向け『火よ灯れ』と念じる。へその下辺りから僅かに熱いものが湧き上がり、手のひらまで流れるのが分かる。きっとこれが魔法の元となる魔力ってモノなんだと思うんだが・・・
「 ん? 出ないな〜」
火の玉が出ない。異世界なら魔法だろって思うよな。
魔力っぽいモノも何となく感じるわけで、いけそうな気がするんだが、どうなってるんだ?
森の中、俺は頭をグルグルとさせ、どうやったら魔法が使えるようになるのか座り込んで考え出した。
そもそも何でこんな森の奥でこんなことをやっているかと言うと・・・
目が覚めたら真っ暗だった。
まだ夜かと思ってまた寝直そうと横向きに寝返りを打つ。
「うう〜ん・・・う?」
オヤ、枕が無い。枕どころか掛け布団の重さも敷き布団の柔らかさも感じない。ゴツゴツとした冷たい床の感触しかない。
「うあっ・・・!?」
何で床で寝ているのかとガバリと体を起こして考えるも、何にも思い出せない。
昨夜の記憶どころか、俺自体の個人的な記憶が一切思い出せない。
ここはどこ? 俺は誰?
忘我の境地とはこの事かと一人納得・・・ってそうだけどそんな事考えてる場合じゃない。
真っ暗の中恐る恐る周りに手を這わせながら周囲を探ってみた。
どうやら俺が今いる場所は四畳半ぐらいの石壁に囲まれた部屋の様だ。扉もある。そっと扉を開けると先ほどよりは明るい廊下が見える。ホッとする。光だ。
廊下の先にもう一つ扉があってそこについている窓から光ーおそらく太陽の光だと思うーがさしているのだ。
俺は急いでもう一つの扉へ。
何かに期待する様に俺の心拍数が上がる。そして期待と共に扉に震える手を差し出す。
光あふれる世界へ。俺の心にはただただ歓喜の感情が。
そうだ、俺は異世界に来たのだ。何が何だかわからないが、とにかく異世界にきた事だけははっきりと分かる。分かるというか感じる。どう説明していいやら分からないがそれだけは自分の中で明確に認識されていた。
さて、扉の向こうはどうなっていたのかというと、鬱蒼としげる森だった。振り返ると斜面に洞窟があって扉がついているだけの簡素な家(果たして家なのかどうか)がある。
思うに異世界に来るんだったら、神様とか女神様が現れてチート的な能力とかくれるんじゃねーの? せめて勇者召喚とかした魔法使いとか王様とかが「勇者様、我らの世界を救って下さい」とか涙目でお願いしてくるんじゃねーの?
「いきなりぼっちとかどういうことだー!」
俺の声が虚しく森の中に響き渡った。