表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
荏田村の悲劇  作者: 吟 朔弥
村長と領主
1/4

始まり

※R15指定です。15歳未満の方は、閲覧をご遠慮下さいませ。

 私は荏田えだ すみれ、十六歳。私の住む荏田村の村長の孫娘だ。

 村長である祖父、荏田 康生こうせいは、村民からの人望も篤く、無くてはならない人だった。私もそんな祖父を誇りに思っていた。


「菫。この村はなぁ、大昔に大きな国があって、その国の一部だったんだよ。この家は丁度、その国を治めていた領主の家があった場所なんだ」


 私が十六歳になった日、祖父は自分の部屋に私を呼んで村の話をしてくれた。村興しをした初代荏田一族のこと。

 村長の代を継ぐ子供が十六歳になった日に、村の話をすることもだ。

 ……その次の日の朝、祖父が亡くなった。謎の病で、村医者ではどうすることも出来なかった。


「叔父様……」


 私はただ、祖父の亡骸を抱きしめて泣きじゃくる事しか出来なかった……



 その日、村民の意見も有り、私が二十四代目村長として、村を支える事となった。私も村の為に頑張ろうと思った。でも……


「私の主人が、朝になったら居なくなってたんです!」


 新たに村長が決まった次の日から、相次いで男性が村から消えていった。女子供は家族の帰りを待ち続けたが、何日経っても戻ってくる様子はなかった。

 待つことに耐えられなくなった者は次々と村を出て行った。その中の一人の女性が、村に帰ってくると、一言こう言った。


「皆、あの大きな家に吸い込まれるように歩いていったんだよ!私は見たんだ!信じてくれよ!……うっぐえっ!!!」


 泣き叫んで私の家に上がりこんで来た彼女は、それだけ言うと泥水を吐き出すように大量の血を吐いて死んでしまった。それを見た他の村民は祟りだと言い、荏田村を出て行ってしまった。

 去る者追わず、私は独りで荏田村に残っていた。そして、現在の私に至る。


「……はぁ」


 私は小さく、溜息を吐いた。


(どうしてこうなってしまったのだろうか。私はこのまま独り、飢えて孤独に死んでしまうのか)


 私は自分の布団に潜り込んだ。このまま苦しまずに楽に逝きたい……


「御主はまだ生きねばならん」


 突然、頭上から男性の声が聞こえてきた。


「っ!?」


 驚いてがばっと起き上がると、頭上ではなく目の前にその声の主の姿があった。高級そうな袴を着た年老いた男性だった。


「御主は生きて、この村を救わねばならん」

「誰……なの?」

「御主は、戦わねばならんのだ。荏田村の二十四代目として……もはやこれは運命さだめなのだ」


 それだけ言うと、高級そうな袴を着た年老いた男性は、踵を返して消えた。


「何……だったの……?」


 私はぼーっと男性の消えた壁を見つめる。すると、突然呼び鈴のじりじりという音が聞こえて我に返った。

 急いで玄関の方へ走っていく。


「……はい、どちら様でしょうか?」


 玄関の引き戸をガラガラと開けると、蓑笠を深くかぶった一人の男の子が立っていた。顔が見えず、一目見て違和感を覚えた私は、空腹ということもあり冷たくあしらった。


「こんな辺鄙な村に何か御用ですか?」

「すみません、人を探しています」

「この村にはもう私しか居ませんよ」

「そうですか……」


 言うと彼はにやりと笑い、私を見上げて言う。


「では、貴女が村長さんですか?」

「そうですが」


 彼は私の言葉に少し反応したが、ぴくりとも動かなくなった。様子がおかしい。


「……あの?」

「……見つけた」

「え……きゃっ!?」


 男の子はいきなり私の胸倉を掴んで叫びだした。顔を見ると角を生やした化け物だった。


「領主様がお呼びだぁ!悪いが来てもらうぞぉ!?」

「離してっ!やめっ……!」


 抵抗も空しく、ふっと……急に視界が真っ暗になった。何が起こったのか、考えることすら出来なくなって、私は暗闇に飲み込まれた――

 こんにちは。はじめましての方、はじめまして。

 吟 朔弥と申します。本作品は、私の第四作品目となりました。

 ホラーをどれだけ追求できるか、自身とても楽しみです。

 今後も宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ