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序章 我が仇よ、忠を誓いし主君よ
時系列があっちへ行ったりこっちへ行ったりするかもしれません。
百余年に渡る乱世は終わりを告げ始めていた。
我が主君の成した偉業だ。
誇らしく思う。
この国には私の名が広まり始めている。
兄の仇の忠臣として。
今より二十余年前、近江国。
武士の端くれともいえぬ下賤の輩に目をつけられ、襲われた私を庇って跡継ぎであった兄は死んだ。
その時から私の、私の家族の命運は凄まじい勢いで変わっていった。
父は隠居を、自らの道を歩み始めていた次兄は全てを諦め、死んだ長兄に代わって跡継ぎになることを受け入れた。
そして私は、兄の仇である男、新しく一帯の領主となった男の小姓として側に侍る事となった。
兄を殺した男の、全てを奪うために。
全てを隠して。




