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転生したら竹取物語の翁だった。なんか、かぐや姫が可愛くない上にめっちゃ蹴るんだけど!

作者: 上貝 颯空
掲載日:2026/02/13

竹取物語(かぐや姫)ベースの話です。

かぐや姫の話ふわっと知ってれば、多分読める(はず!)です。

気づいたら山の中で、斧を持って突っ立っていた。

え?おれ何してたっけ?飯食って昼寝して……それでなんで凶器持って立ってんの!?


それに体重いし——ってジジイになってる!?

うわしかもなんか竹光ってる!?

情報量多いって!


なにこの竹、中見ろってこと?

……嫌な予感がするなあ。

見ずに帰っていい?


っておうっと!

足を滑らせて、そのまま五歩ほど前につんのめった。

それによって嫌でも竹の中が見える。

バッチリ目が合った。

いやご都合主義がすぎるだろ。


光る竹の中には、10センチくらいの幼い女の子がちょこんと座っていた——が。


「今は平安時代で間違いありませんか?」

「竹に戻れ」

「では西暦何年ですか?」

「全然話聞かねえな!」


コイツ全然可愛くねえ!


「落ち着いてください」

「誰のせいだよ……」


この体、全然体力ねえな。

ちょっと突っ込んだだけで一気に疲れた。


「で、えーっとかぐや姫、で合ってる?」

「いいえ、私はなよ竹のかぐや姫。大事な部分が抜けていますよ」


そこ大事なんかい。

ほとんどの人が覚えてねえよ。


「えーっと、この後どうするの?おれ正直、君を連れて帰りたくないよ?」

「ひどい人ですね。こんな幼気な女の子を放置するのですか?」


自分で幼気とか言うなよ……。

いや、確かに幼気だけどさっ!

おれは根負けして連れて帰ることにした。

しかし重大な事実に気付いた。


「……なあ、かぐや姫」

「なよ竹のかぐや姫ですよ。どうかしましたか?」

「おれ、帰り方わかんないんだけど」

「はあっ!?何を言っているんですか!もうボケてるんですか!?」


しゃーないだろ、気づいたらここにいたんだから。


「仕方ありません、私が案内してあげましょう」

「助かる」


自分より他人の方が自分の家を知っているとは、これいかに……。


まあこのようにして、おれはかぐや姫と出会ったのだった。



◇◇◇◇◇



「まあまあ、可愛らしい子ねぇ」

「ありがとうございます。私、帰るあてがないんです。どうか育ててもらえませんか?」

「全然大丈夫よぉ」


とんとん拍子に話が進んでしまった。

ていうか、ばあさんや、10センチの人がいて、しかも喋ってることに突っ込んでくれ。

おれがおかしいかと思っちゃうだろ!


かぐや姫を、ばあさんはそれはもう可愛がった。

おかげでかぐや姫は、10日で15センチも身長が伸びた!

いやおかしいだろ!!

ばあさん、普通みたいな顔してるけど、異常だからね??

おれがおかしいんじゃないからね??

……あれか、そういやかぐや姫って3ヶ月くらいで大きくなるんだっけ。

子供の成長は早いなあ。



◇◇◇◇◇



なぜか竹から金がバンバン取れるので、貧乏から一転、人生イージーモードになったおれは、家を建て直した。

で、その家には今、男どもが大量に押しかけて来ていた。

借金取りじゃない。

おれのモテ期が来た——ってわけでも無くて、理由はもちろんかぐや姫だ。

しばらくは連日大盛況だったが、かぐや姫の塩対応によって大体の人は諦めた。

——そう、5人を除いて。


「「「「「私と結婚してください!」」」」」

「ならば、私の欲するものを持って来てください。あなたは『仏の御石の鉢』を、あなたは『蓬莱の玉の枝』、あなたは『火鼠の(かわごろも)』、あなたは『龍の首の珠』、あなたは『燕の産んだ子安貝』……は死んじゃうんだっけ、うーん……まあいっか!無理はしないでくださいね」


全部聞こえてるぞ、かぐや姫よ。

てか原作知識あるんかい。


で、やっぱりこの難題をクリア出来た人はいなかった。

これでかぐや姫の周りは平穏になったかと思いきや——帝が来た。


「なんて美しい。連れて帰ろう」


なんでやねん。

おれが止める間もなく、帝はかぐや姫に近づく。

するとかぐや姫の体は光輝いて——

帝にドロップキックをかました!


なんでやねん!!


流石に帝は帰った。

だが、帝はかぐや姫にちょくちょく手紙を送ってくるようになった。

あれだけ拒否られてもめげないなんて……うん、すごいな。

帝は特殊性癖の持ち主かもしれない。



◇◇◇◇◇



なんやかんやで3年が経った。

最近、かぐや姫は月を見て愁いることが増えた。

これは……そろそろだな。


「母上、お話があります。実は私は月の都の者で、15日後には月に帰らねばならないのです」

「まあっ!」


やはりか……だがちょっと待て。


「かぐや姫、なんでおれにはお話がないんだ?」

「?だって父上は知っているでしょう?それと私はなよ竹のかぐや姫です」


いや知ってるけどさぁ。

やっぱ本人の口から聞きたいじゃん!


「ついにかあ。じゃあ帝を呼んで、準備して…」

「あ、帝は呼ばないでください。ウザいし、意味ないので」


……なんか、帝が可哀想になって来たわ。



そうして迎えた8月の十五夜。

おれはかぐや姫とばあさんと3人で、団子を食べながら月を見上げていた。

きれいだなぁ。


「なんか、締まらないですね……」


そう言うなって。

中秋の名月に月見しないでどうするよ。


「あ、来た」


見ると、月から雲に乗った一団が来ていた。

どうでもいいけどあれ落ちないのかな。


造麻呂(ジジイ)よ、出て参れ。少しお前が善行をしたからといって——」


うんうん、長い。要約プリーズ。

そういえば、かぐや姫ってなんの罪を犯したんだろう?

竹取物語では出てこなかったから、分からんな。


おれに話し終えた王っぽい人は、今度はかぐや姫に話しかける。


「さあかぐや姫。帰ろう」

「はい。でもその前に……」


おれの視界が潤む。

やっぱりいざ別れってなると寂しいなあ。


「私はっ!かぐや姫じゃなくて、なよ竹のかぐや姫ですっ!」

そう言ってかぐや姫は王っぽい人にドロップキックをかました。


は??


王は目を回してふらりと倒れた。

周りの天人たちが途端に騒ぎ始める。


「かぐや姫様!あなた様は()()こんなことを……!刑期は延長ですっ!反省なさい!」


そう言い捨てて天人たちは慌ただしく帰っていった。


は????


「というわけで」


かぐや姫はくるっと回ってこちらを向くと、いたずらっぽく笑った。


「刑期伸びちゃったので、もう少し置いてください」

「あ、ああ。ところで、月で犯した罪ってもしかして……」

「あ、はい。王を蹴っちゃいました。ムカつくと足が出ちゃうんです」

「そうか……」


少し鼻声になってしまった。

かぐや姫が顔を覗き込んでくる。


「あれ?もしかして寂しくて泣いちゃったんですか?あれれ??」

「……あたりめーだろうが」


かぐや姫は驚いたように目を丸くした。

その隙に、かぐや姫の頭をわしゃわしゃと撫でる。


ほんと。

かぐや姫のくせに全然可愛くねえ。




不満そうな顔で撫でられていたかぐや姫だったが、思い出したかのようにニヤッと笑った。


「まあ刑期()()なのでまた来るんですけどね」


おい!

今の終わる流れだっただろうが!

終わらせろよっ!!

お読みいただきありがとうございました!


一応原作と大きく変わったとこだけ言っときます。

ドロップキック→しません。原作はもっとお淑やかです。

刑期延長→ないです。原作かぐやはドロップキックしないので。

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