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火山の浮世絵

「それは実に面白い浮世絵なんですよ」


 古書店の奥に置いてあった噴煙の上がる山を描いた浮世絵を眺めている青年に店主がそう話しかけてきた。青年は面白いと言うとどういうことかと聞いてみると、この煙は毎日少しずつ形や量を変えているのだという。


「日によっては煙がほとんどなくてそれはそれはきれいな山も見えるんですよ」


 店主の言葉を聞いてその青年はその浮世絵を買うことに決めた。仮になにも動かないとしてもそもそもその浮世絵が気に入った、ということもあった。



 家に帰り床の間にその浮世絵を飾った青年は一人で満足そうに頷く。やはりいい絵だ。


 翌日に目を覚ました青年は浮世絵を眺め、たしかに昨日とは煙の形が少し違うような気がする。これはたしかに面白い。

 それから毎朝青年はその絵を眺めるのが日課になっていた。

 そんなある日のこと、朝起きて確認をしてみると煙の中に白い線が走っていることに気が付いた。よくよく見てみると稲妻である。


「こんな現象もあるのか」


 青年はそう呟くと仕事へと出かけていった。



 その日の夜、青年が寝静まった頃。

 浮世絵の中からは、ゆっくり、ゆっくりと溶岩がこちら側へと近づいてきていた。

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