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幕間コーナー:観客からの質問タイム

(スタジオ内の照明がやや柔らかくなり、客席にもスポットが当たる。

あすかが司会席から中央に戻り、穏やかに語りかける)


あすか(朗らかに)

「ここで少し、熱戦の合間に――観客の皆さんからのご質問に、お答えいただきましょう。

現代に生きる“聞き手の声”は、時代を超える対話を、よりリアルなものにします。」


(客席を映すカメラがゆっくり動く。挙手をしている観客の中から、スタッフの案内で2名が選ばれる)



---


◆ 質問者①:経済学専攻の女子大学生


(前方の席に座る、清楚な白いブラウス姿の女子大学生がマイクを持って立ち上がる。目には真剣な光がある)


女子大生(やや緊張しながらもはっきりと)

「私は経済学を学んでいる大学生です。

ケインズさんとハイエクさん、それぞれにお聞きしたいのですが……」


(客席とステージに一瞬静寂が走る)


女子大生

「お二人の理論は今でも世界中の教科書に載っていますが、現代社会はどちらの理論を選んでも問題を完全には解決できていないように思います。

それでも、“選ばねばならない”としたら――私たちは、何を基準に“どちらの考え方”を選ぶべきなのでしょうか?」


(会場から感嘆の声。あすかが目を見開き、うれしそうに)


あすか

「……深いですね。“選択”の覚悟を問うた問い。さあ、おふたり、お願いします!」



---


◆ ハイエクの答え


ハイエク(腕を組んで、少し考え込んだ後)

「君のような若い人が、私とケインズを並べて冷静に捉えてくれていることに、私は希望を感じる。

“どちらを選ぶか”という問いに、私はこう答えよう。」


(視線をまっすぐ彼女に向ける)


ハイエク

「選ぶべきは、“人間の自由をどこまで信じるか”という信念だ。

自由には、リスクと不平等が伴う。だがそれでも、人間の自律性と、時間をかけて育まれる秩序を信じるなら、私の道を選ぶべきだ。」



---


◆ ケインズの答え


ケインズ(彼女をじっと見てから、やや柔らかく)

「私はね、選ぶべきは“今、誰が困っているか”だと思う。

理論は時に、人間の苦しみに無関心になる。私の道を選ぶというのは、“いま目の前の痛みに応えよう”という姿勢を持つことだ。」


(ふっと笑みを浮かべる)


ケインズ

「……だから君がどちらを選んでもいい。ただし、その選択が“誰を救うか”を、忘れてはいけない。」


(女子大生、感極まりながら深々と頭を下げる。客席から自然な拍手)


あすか(目を潤ませて)

「……どちらも、“人を見て”語ってくれた答えですね。ありがとう、学生さん。」



---


◆ 質問者②:自営業の中年男性


(続いて、少し奥の席にいた体格のよい男性が、立ち上がる。作業着の上にジャケットを羽織った姿。声は大きく、どこか飾らない雰囲気)


自営業の男性

「どうも、町工場をやってる者です。景気が上がったって話、ニュースじゃよく見るんですけど、

こっちは“実感”があんまり無くてですね……

安倍さん、渋沢さん、“実感できる経済”って、どうやったら作れるんでしょうか?」


(あすかが身を乗り出して)


あすか

「“実感なき好景気”――現代日本が抱える、根深い問いですね。では、安倍さん、渋沢さん?」



---


◆ 安倍晋三の答え


安倍(真剣な顔でうなずき)

「私の耳にも、その声は届いていました。“数字ではよくなってるのに、俺たちの暮らしは変わらない”と。」


(一呼吸置いて)


安倍

「政策が、企業の内部にとどまり、賃金や地域経済にまで十分に届かなかった。その責任は、私にあります。

“実感”とは、給料明細に書かれる数字であり、通っている道がきれいになっていることでもある。

その一歩を、もっと丁寧に積み重ねるべきでした。」


(静かな拍手)



---


◆ 渋沢栄一の答え


渋沢(深くうなずいて)

「おっしゃるとおり、“実感”というのは、言葉や数字の先にある“体験”です。」


渋沢

「私は、企業が地域と共に生きることこそが、真の経済成長と信じています。

町工場で働く人の誇り、子どもがその姿を見て“かっこいい”と思える社会。

それを支える“仕組み”をつくることが、政治と経済の責務です。」


渋沢

「あなたの工場に、“町の未来”が宿っている。

だから私は、あなたの“実感”を真ん中に据えた経済こそが、あるべき姿だと申し上げます。」


(男性、言葉に詰まりつつ、頭を下げる。会場に温かな拍手が広がる)



---


あすか(柔らかく)

「選ぶということ。伝わるということ。

それがどれほど“難しい”ことで、“美しい”ことなのか――今の問いと答えが、教えてくれましたね。」


あすか(中央に立ち直り、声に力を込めて)

「それでは、いよいよ最後のステージへ参りましょう。

《アベノミクス》という名の物語、その“結びの一手”を、4人の賢者に語っていただきます!」


(静かに照明が落ち、タイトルが浮かび上がる)


《Final Round:アベノミクスの評価と未来への提言》


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