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ラウンド2:財政出動は“未来への投資”か、“ツケの先送り”か?

(赤く染まった照明の中、タイトルが浮かび上がる。「Round 2:財政出動は未来への投資か、ツケの先送りか?」)


(スタジオの照明が戻る。あすかは中央に立ち、表情を引き締めつつも声には明るさを宿している)


あすか

「ラウンド2のテーマは……“財政出動”!

アベノミクスの第二の矢は、“機動的な財政政策”。公共事業や補正予算で景気を押し上げようとしました。」


(背後のモニターに「政府支出の推移」「国の債務残高」のグラフが映る)


あすか

「インフラ整備、防災対策、地方再生――まさに“未来への投資”という名の矢。

けれど……借金も積み上がったのは事実。今日は、皆さんに“この借金、正義か罪か”を徹底討論していただきます!」


(あすかの視線が対談者たちを順に横切る)


あすか(すっと身を引いて)

「それでは、安倍さんからお願いします!」



---


◆ 安倍晋三の発言


安倍晋三(ゆっくりと力強く)

「財政出動は、決して“バラマキ”ではありませんでした。

震災復興、老朽インフラの更新、子育て支援。未来を生きる人々のために、“先に払う必要のあるコスト”だったのです。」


(力を込めて語る表情。会場に緊張が走る)


安倍

「私は“未来にツケを回した”とは思っていません。むしろ、“未来のために火を灯した”と信じています。」



---


ハイエク(すぐさま口を挟む)

「それは違う。“火を灯す”どころか、“火薬庫に火を投げ込んだ”ようなものだ。」


あすか(少し身を引きながら)

「おっと、ここでハイエク砲、着火しました!」



---


◆ ハイエクの発言(感情の爆発)


ハイエク(明らかに声を強めて)

「政府が“好景気”を買おうとすればするほど、社会はその代償を払わされる。

財政出動は、“中央の意志”による介入。

それが正義であるというなら、いったい誰が“未来”を代表しているのか?」


安倍(表情が険しくなる)

「ならば聞きたい。あなたは、あの震災の被災地に、“市場の力に任せよ”とでも言うのですか?」


ハイエク(鋭く)

「私は感情ではなく、制度の安定を語っています。

一時の支援は必要かもしれない。しかし、“支援を常態化”することは、国家を“依存症”にする!」


ケインズ(両手を机に叩きつけて)

「だからそれが、“血の通わない理屈”だって言ってるんだよ!」


(スタジオ内にどよめき。あすかは軽く口を開いたまま、目を見開く)



---


◆ ケインズの発言(感情の爆発)


ケインズ(怒気を含みながら)

「貧困、失業、老朽化した学校、崩れかけた橋――

それらを前に、“市場が判断するまで待て”と?

“制度”の名の下に、人間の苦しみを無視することこそ、私は“暴力”だと思う!」


ハイエク(鋭く反撃)

「そして君の“正義”こそが、国家を肥大化させ、やがて自由を殺すのだ!」


ケインズ(皮肉を込めて)

「自由ね……貧困の中で“自由”を叫ぶ子どもの姿を見たことがあるか?」


安倍(険しい顔で間に入る)

「両者の言い分、どちらにも理がある。しかし、現実の政治は“人を守る責任”も背負うんです!」



---


◆ 渋沢栄一の発言(重く静かに)


(静まりかけた空気の中、渋沢が水のように滑らかに声を出す)


渋沢

「……皆さま。火のようなご議論、しかと受け止めました。

ですが、私は一つ……見過ごしてはならない問いを提案したいのです。」


(全員の視線が渋沢に集まる)


渋沢

「“そのお金は、誰の手に渡ったのか”。

財政出動があったことは事実です。しかし、それが“誰を助け、誰を忘れたのか”……そこが問われねばなりません。」


ケインズ(落ち着きを取り戻しつつ)

「……同感だ。支出の“質”が問われるべきだ。」


ハイエク(沈黙ののち)

「……分配の正義は、誰にも完全には管理できない。それこそが、私の恐れだ。」


安倍

「私も、全てが理想通りとは思っていません。“届くべき人に届いたか”。それは政治の永遠の課題です。」



---


◆ あすかの進行(火種を引き継ぎつつ、冷静に)


(あすかがゆっくりと立ち上がり、深く一礼してから口を開く)


あすか

「まるで火山のように、マグマが噴き上がったラウンド2。

財政出動とは、正義か。依存か。投資か。浪費か。

……でもその奥に見えたのは、“人を思う心”でしたね。」


あすか(やや意地悪に微笑みながら)

「さて、幕間を挟んで……次のラウンドは“格差と成長”がテーマです。

今度こそ、爆発しないで済むと……思います?ねぇ、ハイエクさん?」


ハイエク(片眉を上げる)

「私の言葉が火をつけるなら、それは……聞き手の心に、灯るべき問いがあったということでしょう。」


ケインズ(ため息をつきながら笑う)

「言葉の炎には、時々、消火器も必要なんだがね。」


渋沢(そっと目を閉じて)

「では、私は水を用意しておきましょう。」


安倍(小さく笑いながら)

「それでも、未来は進んでいくんですね。」



---


(カメラが引いて、静かに次のタイトルが浮かび上がる)


《Round 3:成長戦略と格差――経済は誰のために?》


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