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守護霊様はひいおじいちゃん?

「ねえ夏希、何か怖い話ない?」

そう言ったのは凛子と共に待ち合わせ場所の喫茶店にやって来た茜だった。

彼女は大の怪談好きである。

「私が知ってる話なんて、たいして怖くないよ?自分で見た訳じゃない他人事だもの。」

「他人事じゃなくて、夏希の場合は親族事じゃない?」

凛子が余計なことを言う。

「いいじゃない。夏希の親戚って憑かれやすいんでしょ?」

「人聞きの悪いこと言わないでよ。」

茜の言葉に私は思わず顔をしかめた。

「でも、小学生の頃だっけ?ほら、以前に話てくれたことで、霊能者?を頼った親戚の話ってなかった?」

コーヒーを口にしながら凛子。

「ああ、してたね。うん。」

と、同意する茜。

「・・・確かにある意味憑かれやすい人なんだろうけどね。因みにその子供達も言わずもがなな安定の取り憑かれ易さだけど。」

「子供達って、夏希のいとこ達なんでしょ?」

「凛子も知っているあの子達だよ?」

「おおっ!!?・・・なんか体験談聞きたいかも。」

「・・・でも記憶にないかもよ?あの子達。」

「あれ、高校の修学旅行の時だっけ?ほら、某ダム湖に向かう道にでる追いかけてくる幽霊車の話。」

凛子はすでにノリノリである。

「ああ、あれか!・・・一時期、凄い話題だったね。その後だったかな、いとこ達が心霊ツアーで出掛けてたみたいだけど。」

「心霊ツアー・・・素敵な響き。」

「茜、いとこ達に紹介しようか?あの子達、憑かれやすい癖にその手の話が好きなのよね。」

私はオカルト好きないとこ達を思い浮かべながら溜め息を一つ。

「そういえば、夏希も霊能者にあったことあるの?」

「凛子・・・。霊能者に出会うことなんて・・・あるわけないでしょう?」

「夏希なら、避けて通られてるかも。」

茜が要らぬ発言をする。

「私はね、子供の頃からおばあちゃんに『君子危うきに近寄らずよ』って念押しされてるの。」

「え?それ本気で言われたの?」

声を潜めて凛子。

「そうよ。・・・いや・・・あれ?あ~~まてよまてよ?・・・よーく考えてみれば霊能者に会ったことが・・・あるような、ないような・・・?」

「何それ!?」

「いやね、おばあちゃんの所によく来ていた友達って人が・・・確か霊感がある人だったのような?」

「霊感!なんて素敵な響き!」

「茜、そこまで。話が進まないよ。」

「そう、そうだよ。そうそう、あれはおじいちゃんの死後だったかな?うちの母とおばあちゃんから聞いた話だったと思うんだけど。確か、そう・・・確か、おじさんが若い頃にあった話をしていて。なんだか、おじさんがやたらに危機一髪な事故に合っていたらしくてね。うちの母とおばあちゃんが心配していたのようなのよね。」

「夏希のお母さんが心配するような事態だったの!?」

「どういう意味よ凛子?」

「まあまあ、それで?」

と、茜がとめた。

「なんだか、結果的には確かに酷い怪我をするものではなかったけれど、やけに大きな事故に遭遇するらしくて。おばあちゃんがよくお茶を飲みに来るお友達にぼやいていたらしいの。」

「それが霊感のある人?」

「確か、そういう話だった。」

「で?」

「うん。そのお友達がね、ある日おばあちゃん家でおじさんに遭遇したみたいでね。そうしたら、おばあちゃんに言ったらしいんだ。おじさんの後ろから、しっかり襟首掴んでいる守護霊がいるわねって。」

「「は?」」

「おじさんの守護霊って、強力らしいのよね。」

「なんで守護霊って分かるの?」

「いや、似たような色を持っているから親族だろうっていうのと、おじさんは無鉄砲に走って行くみたいなのを、危険から遠ざけているみたいだから、守護霊だろうって。」

「首根っこ掴んで?」

「そう。危ない所から引き離そうとしているみたい。」

「・・・。」

「それで、おばあちゃんはお友達に聞いたんだって。その守護霊様がどんな姿だったのか。」

「ああ・・・。」

「そうしたら、凄く詳しい人相だったんで、おばあちゃんもそれが誰かピンときたらしいんだけどね。」

「誰?」

「おばあちゃんの父親にあたる人だったの。早死にした人みたいだけど。」

「んー、夏希のひいおじいちゃんてことかな?・・・でも、おばあちゃんのお友達なら写真とかで姿を知っていたとかいわない?」

「それがね、おばあちゃんて養女だからね、そのお友達が知っているはずがない実の父親と一致する特徴だったらしくてね。」

「でも、写真の一枚くらい・・・。」

「なかったみたい。」

「・・・その後、どうしたの?」

「薦められて、お寺に行ったみたい。」

「・・・お寺?」

「そう。で、そこの住職さんに心霊相談したら、住職さんが言ったんだって。住んでいるところから北の方向に親族がいるだろうって。」

「アバウトだね。」

茜が言う。

「まあね。でも、話はここから。」

「え?」

「実はね、住職さんが更に言ったらしいんだけどね。『その親族の家には庭に古い倉が二つ以上あって、その中の一つに大きな箱のような物がある。その大きな箱の中には血塗れの何かがあって、それが障りになっているようだ。』って。」

「・・・こわっ!」

「・・・何?その詳細だか、おおざっぱだかわからない話・・・。」

「さあ?・・・でも、おばあちゃんには心当たりがあって、すぐにその親戚の家に行ったらしいんだ。」

「で?」

「確かに倉があってね、その一つの二階に長櫃が幾つかあったんだって。で、半信半疑だった親戚も真剣になって開けてみたら、刀がいっぱいに入っていたらしいよ。」

「・・・刀?」

「そう。使用済みのね。刃こぼれして錆びだらけ、所謂赤鰯の。調べてみたら、多分手入れもろくにしていない血刀を大量にしまってあったらしいよ。」

「・・・。」

「で、その親戚は慌てて自分達が檀家になっているお寺に運び込んでお祓いというか、祈祷というかしてもらって、お経上げてもらったらしいのよね、母の話では。で、それ以降おじさんは事故に遭わなくなった。めでたしめでたし。」

「どっちのお寺の住職さんも凄いね。」

茜が溜め息混じりの感想を言うと、凛子も同意したかのように頷いた。

「やっぱり、霊能住職さんがいるお寺とツーカーになっていたほうが安心みたいだね。」

「「・・・茜、話が違うと思うよ。」」

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