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(原案)バツライフ  作者: The kid 王
第一部:アバンチュールゼアー
6/58

EP5〜僕の師匠はヴァンパイヤ〜

 トトロ町を出発し、一ヶ月がたった。ブロウ町まであと一週間以内には到着すると、リリスさんは言っていた。

 「それにしても、本当に速いですね。リリスさん」

 「まぁな、だが俺様なんかまだまだだ。世界には俺様より強い奴がゴロゴロいる」

 リッキーもその1人だろうか?

 「リリスさん、もしリッキー・グランド・ケーキと戦ったら勝てますか?」

 「…無理だな」

 「そうですか…」

 リリスさんでも勝てない相手か、正直どんなに頑張っても勝てる気がしない。

 「なんだ、ステイはリッキーに勝ちたいのか?」

 「は、はい」

 「ハハハハッ!」

 「無理だと思いますか?」

 「いや、無理とは言わない。だが勝てるようなるためには正攻法では絶対無理だな。おっ、そろそろだぞ」

 「何がですか?」

 「ステイ、クレン着いたぞ。ここがブロウ町だ」

 「え?あと一週間位かかるんじゃないんですか?」

 「一週間は大体だ、まぁ早めに着いたんだからいいだろ」

 「は、はい。ありがとうございました」

 これだから長命種は。

 「ちなみにお前らはなんでこの町に来たんだ?」

 「それはですね、ジケイ会館のステゴロ部に用事があるんです」 

 「まじか、俺様もそこに用があるんだ」

 「本当ですか!ちなみに場所わかります?」

 「もちろん、あそこだ」

 リリスさんが指を指した場所は、空だった。

 「どうゆうこと?」

 「あのでかい山の頂上ってことだ」

 気が遠くなってきた。

 

 僕は今、クレンと一緒に山を登っている。リリスさんは依頼が終わったので、「先に行ってる」と言い残し飛んで行ってしまった。

 「クレン、大丈夫か?」

 「もう、無理。そろそろ休憩」

 「そうだな」

 山を登り初めて2時間、頂上はまだまだだ。2人とも体力が無さすぎる、クレンはもう限界に近い。

 

 山を登り初めて、4日がたった。今日は1日休みをとることにした。

 「ステイ、お腹減ったー。あったかい物が食べたい」

 「おう、ちょっとまってろ」

 「それにしてもここは寒いわね」

 「そうだな、上に行くほど寒くなってるな」

 「ブエックション!」

 「大丈夫かクレン、寝ててもいいぞ」

 「大丈夫よ」

 

 次の日。

 「クレン、起きてるか?」

 「ええ、おはよう」

 「1時間後に出発する。いけるか?」

 「わかったわ」

 「朝飯何がいい?」

 「アヒージョがいい」

 「ごめん油はもう火の燃料用にしかないんだ」

 「じゃあ、ピクルスでいいわ」

 「そこのバックに入ってるよ」

 「やっぱ、朝はピクルスにかぎるわよね」

 「丸々食うやつ初めて見たわ」

 今更だが、クレンは味覚がバグっているのだろか?

 

 1時間後。

 この山は幸いなことに魔物が少ない。

 「ステイ、あれ頂上かしら?」

 「ああ頂上だ、クレン」

 「やったわね」

 「あぁ、それにしてもなんでこんなとこにステゴロ部があるんだ?」

 「知らないわよ。どうせ体を鍛えるとかでしょ」

 「じゃあまたこの山登るのかな?」

 「そうじゃない?頑張ってね」

 「クレンはやらないのか?」

 「私はサポート役として頑張るわ」

 クレンがサポートか、不安だ。

 

 僕たちはようやく頂上に着いた、着いた時にはもう日がくれていた。

 「やっと…ついたわ」

 「あぁ、やっとだな」

 すると、近くの宿からリリスさんが出てきた。

 「よう、ステイ、クレンようやくきたな師匠も会いたがってたぜ」

 「師匠?」

 「そうだ、ここのステゴロ部の館長は俺様の師匠だ」

 「リリスさんの師匠ですか、とても強いんでしょうね」

 「そりゃそうだ、お前たちじゃ死ぬまで勝てねぇよ」

 「修行させて貰うのは僕だけです」

 「そうか、じゃあ早速案内するぜ」

 「お願いします」


 リリスさんは二時間歩いた所にある小さな道場に案内してくれた。

 「ここだ」

 「案外小さいんですね」

 「まぁな、基本的に修行は外でやるからな」

 「なるほど」

 「ちょっと待ってろ、師匠を起こして来る」

 「はい、わかりました」

 起こしてくるとはどうゆうことだろう?

 


 5分後。

 「お待たせしたかな、二人とも」

 道場の奥から着物を着た妙にヒョロ長い男の人が出てきた。

 「初めまして、ステゴロ部に入部する為にきました。ステイ・セントと申します。よろしくお願いします」

 「私はステイのサポートとしてきました。クレンと言います、よろしくお願いしますわ」

 「よろしくね、ステイくん。クレンくん。早速だがステイくん、中に入って1度手合わせしてみよう」

 「わ、わかりました」

 いきなり手合わせか、でもまぁわかりやすいか。

 

 それにしてもこの人は大丈夫なのだろか、肌は青白く、肋骨が浮き出ている。一見ただの病人にしか見えない。正直8歳の僕でも勝てそうだ。

 「私が弱そうに見えるかい?」

 「…は、はい正直」

 「大丈夫だ、思いっきりおいで」

 「わかりました、思いっきりいかせてもらいます」

 「リリス掛け声を頼む」

 「おう、それじゃあいくぜ…………『始め!』」

 『始め』の合図とともに僕は殴り掛かるため走り出した、その時だった。 

 メリッモリモリという音があの人の体から鳴り始めたのだ。

 「な、なんだあれ」

 今にも倒れそうな体は湯気を出し始め、筋肉は膨張し、太い血管が全身に浮かび上がってきた。

 「来ないなら、私からいくぞ」

 先程の様な優しい声は聞こえず、鼓膜が受け取った声は全身に渡り動けなくなっていた。

 「あ、」

 僕の記憶はそこで途絶えた。


 「リリスさん、ステイが起きたわよ」

 「おお、顎は大丈夫かステイ」

 顎?本当だ顎が痛む。見えなかったが、あの時殴られたのだろうか。

 「ステイくん立てるかね?」

 「は、はい」

 「自己紹介がまだだったね、私は最後のヴァンパイヤ族のキリコ・ブロード・ケーキだ、これからよろしく」

 「ケーキ…もしかしてリッキーの……リッキー・グランド・ケーキの親戚ですか?」

 「ああそうだよ、リッキーについてなにか聞きたいことでも?」

 「いや、なんでもないです」

 「そうですか、では今日はもう休んでいい。明日から本格的に修行を始めます」

 「あ、あの僕とリリスさん以外に弟子とかは?」

 「いませんよ」

 「え?」

 「今どき素手で戦う人は極小数ですからね、リリスのような変わり者と、私の様な呪われた者ぐらいじゃないですかな」

 「呪われた物?」

 「ええ、私は昔に『武器を持てなくなる呪い』をかけられたんですよ」

 「そうゆうことなんですね」

 この世界には呪いがあるのか。

 「はい、他に質問は?」

 「とくには」

 「そうですか、ではまた明日」

 「はい、また明日」

 出会ったキリコさんはリッキーの親戚だった。だが今は関係ない、強くなるだけだ。

 

 「よし、死ぬ気で頑張ろう」

 この時は本気でそう思っていた。

 

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