EP15〜エクス・テンシオン〜
時は遡る。
「…………綺麗だな」
目についたのはその店でも一際光り輝く髪飾りであった。
「なぁジィさん、この髪飾り気になるんだけど……」
「おお、これか?………すまんな兄ちゃんこれはもう買い手がついておる。丁度今日受け取りに来るんじゃ」
「売れるまでは、客引きの為に飾ってたってことか」
「そのとうりじゃ」
「…………これって唯の髪飾り?」
「…………何故そう思う?」
「いや、なんとなくなんだけど。前にこれと似たような雰囲気の物があってさ………」
「ほう……それが何かはわしは知らんが、この髪飾り同様異質な物だったということかの?」
「まぁそんな感じだ。………ってか普通の髪飾りじゃないの認めるんだ」
「別に隠してる訳じゃありゃせんよ」
「ふーん……で、この髪飾りなんなの?」
「これは神器だよ」
横からいかにも高そうな装飾を服にジャラ付けした男が話しかけてきた。
「神器………」
やっぱりそうか、どうりで『黒のレガリア』と似たようなオーラを放っているのか。てか、なんでこんな辺鄙なお店に神器があるんだ?
「知らないかい?神器とは名前の通り神の力が使える道具の事だよ」
「…………これはどんな力を使えるんだ?」
「…………まぁ君になら特別教えてやろう。この神器はな、身に付けた者に1回だけなんでも願いを叶えてくれる能力を持つ神器だ」
「…………凄すぎないか?」
「だろ!いやー良い買い物をしたと思わないかい?…………ステイ・セント君」
「なっ!」
「君、有名人だもん。バレバレだよー」
そう言うと男は俺の指名手配書をなびかせた。
「クソがっ」
俺はこの男が俺と会った事を忘れさせようと『脳内点検』で触れようとした………が。
「あー、ちょい待ちちょい待ち。俺君と敵対する意志無いから」
軽々と避けられてしまった。
「あ?信じられるか」
「本当だって、なんなら感謝してるくらいだよ」
「感謝?」
「あぁ、俺実はこう見えて悪魔族の王様なんだ」
「はぁ!?」
「本当だよ」
「………………」
まぁ初対面の俺に嘘つく理由もないか。
「君がオースティンを殺してくれたおかげで俺は自由に交易できる様になったんだよ」
「…………………僕は殺してないです」
「そうなのか?………まぁ正直そんなことどうでもいい」
「オースティンと何かあったんですか?」
「…………それはこんな所で話すつもりは無いよ。場所を移そう、近くにオキニのカフェがあるんだ」
「………あんた名前は?」
「『エクス・テンシオン』だ」
そう言うとテンシオンは髪飾りをジィさんから受け取り歩き出した。
「よっこらせっトゥー」
「………凄い店ですね」
「でしょ、俺のいきつけなんだ。利用出来るのは俺みたいな王族か一部の貴族だけだよ」
連れてこられた店は金色の装飾が至る所に散りばめられており、いかにも成金が好きそうな場所だった。
「へー」
「あんま興味無い感じ?」
「まぁ、そうですね。眩しくて目がチカチカするし」
「ハッハッハ、目が貧しいな」
「……………」
「……………そうだな、さっきの話の続きをしよう。えーと………………なんの話だっけ?」
「オースティンの話ですよ」
「あーそれだ。……………オースティンはなクズなんだよ」
「知ってます」
「そうか、君も彼の被害者なのかい?……」
「まぁ、間接的にですけど」
「被害者がそう遠慮するな。被害が及んだ以上どんな形であれ直接の被害者だ。今君が言ったことはとても失礼だよ」
「……………」
「本題に入ろう。オースティン、彼は悪魔差別主義者でね。俺のする事全部に嫌がらせしてくるカスだったんだ」
「悪魔差別……………だいぶ前の思想ですよね」
「まぁ最近だと古い思想かもしれないけど、まだ世の中には悪魔を良くない見方をする人は大勢のいるんだよ。君は悪魔についてどう思う?」
「…………契約絶対の思考さえ無ければ普通の人と変わりませんよ」
「ハハッ、それは無理だなっ。その思考は誰かに教えられて得るような安易なものじゃないんだ。生まれた時から備わってる性なんだ」
「……………まぁでも僕は悪魔族大好きですよ」
「仲の良い友人でもいるのか?」
「はい」
「これからも仲良くしてくれよ」
「当たり前ですよ」
その時、脳内で点と点が繋がった音がした。
「……………テンシオンさん、もしかしてその髪飾りって」
「………………………まぁそういうことだ。俺は悪魔族が迫害されず安心安全に暮らせる世の中にする為にこの髪飾りを使う」
「…………………」
この時のテンシオンの顔は自信と確信で満ち満ちていた。
「でもねー、この神器使うと結構キツい代償あるのよ」
「……代償?」
「そうそうこの神器、願い事叶えるとその人の1番大事なものが消えちゃうんだよ」
「………僕だったら使わないですね」
僕がもし使ったらクレンが消えてしまう。
「そうなんだよ、俺も買ったは良いものの怖くて使えないんだよー」
「………………どうするんですか?」
「奴隷を使う」
「奴隷…………絶対上手くいきませんよ」
奴隷がこんな神器使ったら世界終わるぞ。
「まぁ、そこは俺の頑張りしだいで何とかするつもりだったんだけど……………」
「つもり?」
「君のその魔法『脳内点検』で奴隷達の思考を俺の思い通りにしてくれよ」
「ッ!!?……………なんで知ってる?」
「俺、人の考えてる事わかっちゃうんだよね」
「はぁ?」
魔法か?
「魔法じゃないよ」
こいつ本当に僕の思考を。
「ただ、わかっちゃうんだ。読心術みたいなものだよ」
「………………」
僕は納得しようとも納得出来ずにいた。
「理解してくれとは思わないよ。それで、使ってくれる?『脳内点検』」
「…………金、次第だ」
「もちろん言い値で出すよ!」
「…………わかった、やる」
「うん!君はそう言うと知っていたよ」
僕テンシオンの満面の笑みを見て、ふと思ったしまった。
「………………奴隷の1番大切な物ってなんなんだ?」
「それは自身の命じゃないかな」
「やっぱそうだよな……」
「人を殺すのに抵抗があるのかい?」
「………………そりゃあるだろ」
「君が今更何十人救ったとしても、地獄行きなのは変わらないよ」
「………………………それもそうだな」
「じゃあ行こっか」
テンシオンは僕の手を握り締めた。
それから3日、僕はお金の為に奴隷達の命を使いテンシオンが目指す悪魔族にとって理想の社会を作っていった。
「なぁ、テンシオン。今更だけどこの神器って名前あるの?」
「さぁ?知らないな」
「ふーん………」
「確かに名前があった方がカッコいいね」
「買ったお前がつけろ」
「そうだなー……………決めた」
「どんなだ?」
「この神器のお陰で俺たち悪魔族がなんの不自由無く太陽の下を歩けるようになった。だからこの神器は『アマテラス』そう呼ぶよ」
『アマテラス』の最初の持ち主は地球から転生してきた日本人で、転生特典である『アマテラス』を使い「この世界に存在する女性全員から好かれる」と願ったが1番大切な物が自分の命だった為もため死亡した。




