EP14〜溢れた鎖〜
「…………ねぇ」
バッセンから帰ってきて3人でご飯を食べているとクレンが眉をひそめ話しかけてきた。
「どうしたクレン?」
「あんた達、距離近すぎじゃない?」
「そうですか?いつも通りっすよ」
「いやいや、明らかに近すぎよ!なんでご飯食べてるのにジュース君はステイに抱きついてんのよ!」
「まぁいいじゃないか、俺は別に迷惑とか思ってないから」
「せんぱーい、やさしー」
「………なんかゲイっぽいわ」
「……………ネェさん、変な事言わないで下さいよ」
あぶねー、一瞬ヒヤッとしたー。
「な、なぁクレン。そんなことよりどうだった?」
「何が?」
「何がって、検査だよ検査」
「…………問題なかったわよ」
そう言うとクレンは俺から目をそらした、クレンの瞳孔は斜め上を向いていた。
「……………そうか。なら心配要らないな」
俺はジュースの手前、指摘するのを辞めた。
「早くお2人の赤ちゃん見たいっすねー、絶対可愛いですよ」
「あぁ、そうだな」
「………あっそうだ。ジュース君、これあげる」
クレンは胸内ポケットからタバコとライターを出した。
「クレン、インプラント入れてから吸ってないよな…」
「当たり前でしょ、たまたま服の中にあったのよ」
「だよな………」
「『メビウズ』ですか………」
「なによ悪い?」
「いえ、ありがたく貰います。………じゃあ早速一服してきまーす」
ジュースは家の外へ出て行った。
「……………変な気ぃ使わせちまったな」
「………そうみたいね」
「……………………………………で、どうなんだ?」
「インプラント自体に問題は無かった」
「…………」
「でも私自身に問題があるって言われたわ。細かく言えば卵巣がダメになってるみたいなの。そのせいで卵子が出来ないんですって」
「………つまり、子供は絶対出来ないのか?」
「絶対では無いわ、可能性が低いってだけよ。………医者が言うには限りなく0だけどね」
「…………………」
「まぁ、インプラントをつけてからはちゃんと生理は来てるし機能はしてるんだけどね…………」
「………0ではないんだな」
「……………えぇ、そうらしいわ」
「だったら大丈夫だ、できるまで何回でもやれば良いだろ」
「………ッ何が『大丈夫』よ!!」
クレンは手元にあったフォークを俺の頭に突き刺した。
「私が今までどんな気持ちでいると思ってるのよ!!そんな薄っぺらい言葉で励まさないで!3000年以上一緒にいるんだからそんくらいのこと考えられるでしょ!!……………………もう疲れたの!子供が出来ない自分の体に!そのことを考えるのに!子供が出来ないとわかっててするあんたとのセックスに!!!」
「……………………………クレン」
彼女はとっくに限界だったのだ。
「はっ……………………ごめんなさい、……………………………言いすぎたわ」
あのクレンがここまで不満を我慢してしまったのは俺が不甲斐ないからだろう。
「…………………ごめんクレン、言葉の配慮が足りなかった。許してくれ」
「…………………」
「それとクレン、やっぱり諦めるのは間違ってる。可能性が0じゃない限り、やらなきゃわからないだろう………」
俺の意見を聞いたクレンは椅子から立ち上がりこちらに向かってきて。
スゥ
クレンは右の掌を振りかざし俺の頬へビンタをした。
「ク、クレ…?」
「うるしいわねっ!!私だってそんなことわかってる!…………正論なんか要らないから…………私を慰めてよ!」
そう言うとクレンは泣きながら抱きついてきた。
「………………………あぁ、そうだなクレンは頑張ってるよ、人の何千倍も。今日はもう寝よう、俺たちには時間があるんだから」
「……………えぇ」
俺はクレンを担ぎベットに運んだ。
「…………おやすみクレン」
「えぇ、おやすみステイ」
クレンはあっという間に寝てしまった、それほど疲労していたのだろう。
「はぁ……………」
なにやってんだ俺は。
クレンがベットについて少したってジュースが家に戻ってきた。
「先輩すいません、全部聞いてました」
「あぁ、分かってたよ」
「………………これからどうしますか?」
「…………神器だ」
「へ?」
「神器『アマテラス』を使えば解決する」
「あー確かに『アマテラス』ならいけますね。………でもあれ神器の癖に結構エグい代償ありましたよね?」
「あぁ、それが唯一の懸念点なんだよ」
「で、それどこにあるんですか?」
「…………今は『藍虎』にある」
「『藍虎』ってこの街で一番売り上げが高い会社ですよね」
「あぁ、そしてあそこには『ガウス・デッド・ダウン』がいる」
「あー………先輩、もし戦う事になったら勝てますか?」
「……………わからん、奴のインプラントによるが……ギリってとこだな」
「まじすか…」
マジだ。奴は俺以上の魔力を保有しており常人では1つでも付けれるかわからない強力なインプラントを全身に装着している。奴を知らない人はこの街には存在しない、『藍虎』がこのイかれた街でトップの会社になれたのも奴がいたからだ。
「まぁ、見つからずに『アマテラス』を回収すればいいだけだ」
「……………頑張りましょう」
「あぁ」




